【2017年3月27日 サヌア(イエメン)発】
中東の最貧国イエメンで紛争開始から2年が経過、3年目に突入するにあたり、ユニセフ(国連児童基金)は本日、報告書『見過ごされる子どもたち(Falling through the Cracks)』を発表し、2年間の残虐な紛争の結果、イエメンの家庭では子どもたちを守るために、今まで以上に非常手段を迫られていると指摘しました。
紛争の激化によって問題に対処するメカニズムは崩壊し、イエメンは世界で最も食糧不足と危機的な栄養不良を抱える国の1つとなりました。多くの家庭は食事の量を減らし、より栄養価の低い食べ物を食べ、食事の回数を減らしています。重度の急性栄養不良に陥る子どもの数は、2014年から200%増加し、50万人近くとなっており、飢きんのリスクを高めています。
極度に貧しい人や弱い立場にある人の数が急速に増加しています。80%近くの家庭が借金を抱え、人口の半数が一日2米ドル以下での生活を強いられている、と報告書は指摘しています。
家庭の資産は減っていき、ますます多くの子どもたちが紛争当事者たちに徴用・徴兵され、早婚を強いられています。女の子の3分の2は18歳になる前に結婚させられています。紛争が激化する前は50%でした。戦闘が激しくなるにつれて、より多くの子どもたちが武装勢力に利用されるようになっています。
イエメンの保健システムは崩壊寸前で、1,500万人近くの人々には保健サービスを受けることができません。2016年10月に流行したコレラと急性の水様性下痢は拡大し続け、疑いのある症例が22,500件と106人の死亡が確認されています。
1,600近くの学校が、破壊や損傷、避難民の避難所としての使用や紛争当事者による占領のために使用できなくなっています。そのために、約35万人の子どもが学習を続けられなくなっており、学校に通えない子どもの合計数は2百万人に達します。
© Yemen/UNICEF/2016 |
「イエメン紛争は、子どもたちの命と将来を脅かし続けています」とユニセフ・イエメン事務所代表のメリチェル・レラノは述べました。「容赦なく続く攻撃と破壊は、子どもたちの人生に傷跡を残しています。家族は貧困状態に置かれたまま、何とか対応しようともがいています」
2016年3月以降、イエメン紛争で死亡した子どもの数は、その前年の同時期と比較して70%増加し、負傷した子どもの数と戦闘に徴用・徴兵された子どもの数はほぼ倍増しました。
ユニセフが発表した報告書『見過ごされる子どもたち(Falling through the Cracks)』は、国連が確認したデータを用いて、過去1年の数字を報告しています。
ユニセフはパートナーと協力して、最も弱い立場にある子どもたちに対する、予防接種、重度の栄養不良児への治療食や治療の提供、教育支援、心理社会カウンセリングや現金給付を含む、緊急に必要とされる命を守るための支援を引き続き提供していきます。
ユニセフは、イエメンの子どもたちに代わって、下記の緊急的措置を訴えます。
「私たちは瀬戸際にいる家族たちを引き戻すために、今すぐ行動しなければなりません。この状況が世代を超えて及ぼす影響は極めて高いのです」(レラノ)
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