【2016年3月29日 ニューヨーク/ダカール(セネガル)/ナイロビ(ケニア)/アンマン(ヨルダン)発】
水不足、不適切な衛生環境、不十分な衛生習慣そして感染症の流行が、ナイジェリア北東部、ソマリア、南スーダン、イエメンの重度の栄養不良の子どもたちを更なる脅威に晒している、とユニセフ(国連児童基金)は本日発表しました。
© UNICEF/UN055942/Gilbertson |
飢きんの脅威に直面する4カ国では、2,700万人近い人々が、栄養不良の子どもたちにとっては命に関わる下痢性疾患を引き起こしかねない、安全でない水に依存しています。
「栄養不良、汚れた水、そして不適切な衛生環境が重なることで、多くの子どもたちにとって回復不可能な悪循環が引き起こされます」と、ユニセフ緊急支援プログラム部長のマヌエル・フォンテーヌは述べました。「安全でない水は、栄養不良を引き起こし、また栄養不良を悪化させる原因となります。栄養不良の子どもたちは、安全でない水を飲んでいる限り、どれだけ食べても良くなることはありません」
ナイジェリア北東部の紛争の影響を受ける地域では、75%の水と衛生設備が破壊されたり破損し、380万人の人々が安全な水へのアクセスを絶たれています。避難民たちは、受け入れコミュニティの既に疲弊した保健と水システムにさらなる負担をかけています。最も被害の大きいボルノ州では、700件ある保健施設の3分の1が完全に破壊され、同数の施設が機能停止に追い込まれました。
ソマリアでは今後数週間で、水と衛生へのアクセスを必要とする人の数が、330万人から人口の約3分の1に相当する450万人に増えると推定されています。多くの水源は、枯渇あるいは汚染され、トイレは不足し、水に起因する感染症が蔓延しています。今年に入ってから、昨年同時期の約5倍にあたる1万3,000件以上のコレラあるいは汚れた水による急性下痢疾患が報告されています。水の価格は、遠隔地域では6倍にも高騰し、最も貧しい人たちには手が届かなくなっています。
南スーダンでは、510万人が安全な水や適切な衛生環境が不足する中で暮らしています。国内の半数の給水所は破損または破壊されました。乾季の影響で水位が下がり、人々や動物による水の奪い合いが激しくなり、少ない水源が濫用されています。適切な衛生設備の不足や不十分な衛生習慣により病気が拡大しています。2016年6月に流行したコレラは、5,000件以上の症例と100人以上の死亡者を出しました。
イエメンでは、紛争が続き多数が避難を余儀なくされており、少なくとも1,450万人が適切な水や基本的な衛生環境を手に入れられず、水設備の破損も続いています。2016年10月に発生したコレラと水に起因する急性の下痢疾患は広がりを続け、感染疑いの症例が2万2,500件、死亡例が106件報告されています。紛争勃発以前から、5歳未満児の死亡原因として2番目に高い下痢性疾患の危険に、現在も200万人以上の子どもが晒されています。国内のプライマリ・ヘルスケアのシステムは崩壊寸前で、何百万人もの子どもの命が危機に直面しています。
© UNICEF/UN055941/Gilbertson |
ユニセフはパートナー団体と協力して、4カ国で飢きんと水不足の脅威に対応する支援を行っています。
「私たちは、できるだけ早く、1人でも多くの命を守るべく、時間と戦いながら活動しています」フォンテーヌは言います。「しかし、これらの国を苦しめている紛争を終結し、支援を必要としている子どもたちへの継続的かつ制限のないアクセスとさらなる資金がなければ、私たちが全力を尽くしても十分ではありません」
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