【2017年4月26日 ニューヨーク発】
毎年4月24日から30日は世界予防接種週間です。世界予防接種週間は、世界中で多くの幼い命を守っているワクチンの重要性について再認識してもらうために設けられています。
© UNICEF/UN058144/Vishwanathan |
ユニセフ(国連児童基金)は、世界予防接種週間に際して、2016年に予防接種用ワクチン25億回分を調達し、世界の5歳未満児の半数近くにのぼる約100カ国の子どもたちに提供したと発表しました。この数字は、ユニセフが子どもたちのためのワクチンの世界最大の購買者であることを表しています。
ナイジェリア、パキスタンおよびアフガニスタンは、ポリオの感染が確認されている最後の3カ国で、もっとも多くのワクチン提供を受けている国々でもあります。その量は、ナイジェリアは4億5,000万回分、パキスタンで3億9,500万回分、アフガニスタンで1億5,000万回分です。ユニセフは、「世界ポリオ根絶のためのイニシアチブ」(Global Polio Eradication Initiative:GPEI)の、主要なワクチン購買機関です。
予防接種を受けることで、ワクチンで予防できる疾病を原因とした5歳未満児の死亡率は劇的に低下し、世界はポリオ根絶に近づくことができました。2000年から2015年の間に、5歳未満児のはしかによる死亡数は85%減少し、新生児破傷風による死亡数は83%減少しました。肺炎による死亡数は47%減少し、下痢性疾患を原因とした死亡数も57%減少しました。これらの成果も予防接種によるものです。
しかし、毎年世界の推定1,940万人の子どもたちは、受けるべき予防接種を完全に受けることができません。世界の予防接種を受けられない子どもたちの3分の2は紛争の影響を受ける地域に暮らしています。また、脆弱な保健システム、貧困、社会的不平等により、世界の5歳未満児の5人に1人は命にかかわる予防接種を受けることができていません。
© UNICEF/UN060138/Noorani |
「すべての子どもたちは、彼らがどこに住んでいようと、どんな環境に暮らしていようとも、命を危険に晒す疾病から守られ、生存し健康に生きる権利があります」とユニセフ本部予防接種部長のロビン・ナンディは述べました。「1990年以降、予防接種は子どもの死亡率の顕著な低下に大きな役割を果たしてきたものの、毎年150万人の子どもたちが予防接種で防ぐことができる疾病のために命を落としています」
世界の裕福な国と貧しい国の子どもたちの間には格差があります。世界の5歳未満児の死亡件数の80%を占める国々では、最貧の子どもたちの半数以上が完全には予防接種を受けていません。世界的に見ると、最も貧しい子どもたちは、最も豊かな子どもたちと比較して、2倍近くが5歳になるまでに亡くなります。
「保健などのサービスへのアクセスが制限された農村部に暮らす子どもたちに加えて、都市部の過密地帯やスラムの住居で暮らす子どもたちの中で、予防接種を受けていない子どもが増加しています」とナンディは言います。「過密、貧困、劣悪な衛生状態や不十分な栄養と保健ケアは、それらの地域で子どもたちが肺炎、下痢やはしかに罹る危険性を高めます。これらの疾患は予防接種で防ぐことが可能なのです」
ユニセフは、2030年には、主にアフリカとアジア地域で、4人に1人が都市部の貧困地域に暮らしていると推測されることから、予防接種活動の主要な対象や投資は、これらの地域と子どもたちの個別のニーズに合わせて策定されなければならないと指摘しました。
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■ユニセフの予防接種事業についてユニセフは、世界保健機関(WHO)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、GAVIアライアンスなどと協力して、特に最も支援が届けにくく最も脆弱な子どもたちも含めたすべての子どもたちが確実に予防接種に守られるよう活動しています。
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