【2017年5月11日 パナマ・シティ(パナマ)発】
ユニセフは、ECPAT Internationalおよび世界宗教者平和会議(Religions for Peace)と協力して、世界の宗教コミュニティによる、子どものインターネット上の性的搾取に対する予防、対処及び終結に向けた取り組みを強化することを目的とした、新たなガイドブック「インターネット上の性的搾取から子どもたちを守る(Protecting Children from Online Sexual Exploitation)」を発表しました。
© UNICEF/UN014984/Estey |
子どもの性的虐待に関するコンテンツがネット上で驚異的に拡散するなど、情報通信技術(ICT)とインターネットは、子どもたちを新たな、また進化する形態の性的搾取の危険性に晒しています。性的なテキストメッセージまたは写真を携帯電話間で送るセクスティング(sexting)のような行為もまた、子どもたちを性的虐待と搾取の危険に晒します。
新しいガイドブックは、宗教を基盤とした組織や宗教指導者たちが、この問題に関する考え方に影響を与え、議論を喚起し、基準を設定するなど、道徳的権威を活用した活動ができるユニークな立場にあると考えます。また、彼らは、加害者が助けを求めたときに行動を起こしたり、家族に対して子どもを守るためのアドバイスやツールを提供することも出来る立場にあります。
「もし、世界がインターネット上での子どもの性的搾取を根絶しようとするならば、世界で最も影響力のある組織がその役割を果たさなければなりません。そして、宗教コミュニティ以上に影響力を持つ団体はないに等しいのです」とECPAT InternationalのDorothy Rozga事務局長は子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)第5回フォーラム(5th Forum of the Global Network of Religions for Children (GNRC)で述べました。「彼らは最も大きなかつ相互に結び付いた社会的団体です。約50億人に上る世界のほとんどの人々が宗教コミュニティに属していていることを考えれば、彼らには潜在的に、この恐ろしい犯罪との戦いを先導できる大きな可能性があるのです」(Rozga事務局長)
© UNICEF/UN018606/UNICEF/UN018606/Zehbrauskas |
ガイドブックは、インターネット上で子どもたちが晒されるリスク、ネット上の子どもの性的搾取の影響、加害者および人身売買やあっせんを行う仲介者の歪んだ動機について説明しています。この犯罪に対処するための宗教コミュニティの重要な役割を示し、彼らの精神的、道徳的、社会的影響ならびに子どもに対する暴力を終わらせるための義務についても指摘しています。さらに、子どもの保護についての異なる宗教の視点を提供すると同時に、宗教指導者やコミュニティが子どもの正義と保護を追及するために取るべき行動についても、以下のように示しています。
「世界中の子どもたちは、インターネット上の性的搾取に対して脆弱です。私たちは、宗教団体が子どもたちへの性的虐待という犯罪を確実に防止するために、このガイドブックを活用して、彼らが持つ最も深い道徳的・精神的能力を発揮することを強く求めます。世界の多様な宗教コミュニティは、世界中で起きているこの問題に、コミュニティ、国家レベル、および地域横断的に、一致して取り組むべきです」と世界宗教者平和会議の国際事務総長Dr. William Vendleyは述べています。
「インターネット上の性的虐待と搾取は、男の子にも女の子にも関係する、世界的に悪化している問題で、多くの場合、それは家の中やコミュニティの中で最も親しい間柄の人々の手によって行われ、子どもたちは黙って耐えるしかありません。宗教コミュニティや宗教を基盤とした組織は、彼らが持つ信条(価値)、道徳的権威や広範なネットワークを通して、この犯罪を取り巻く沈黙を破り、子どもたちをこの非道な行為から守り、影響を受けた子どもたちには傷を癒し保護するために必要不可欠な支援サービスに繫ぐという重要な役割を果たします」と、ユニセフのプログラム局長エドワード・チャイバンは述べました。
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■子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)第5回フォーラム(5th Forum of the Global Network of Religions for Children (GNRC))について
子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)第5回フォーラムは、5月9日~11日に、「子どもたちへの暴力を終わらせる:活動する宗教コミュニティ(Ending Violence Against Children: Faith Communities in Action)」というテーマのもと、パナマで開催されました。
■ECPATについて
ECPATは、世界86カ所に95のメンバー団体を有する、子どもの性的搾取を終わらせるという共通のミッションを持つネットワークです。
■世界宗教者平和会議について
世界宗教者平和会議は、世界最大規模かつ世界最大数の多様な宗教が参加する共同体で、平和に関する多宗教間の合意の形成や、戦争の終結、極度の貧困の撲滅、環境保護のための具体的行動等を通して、平和のための共通のアクションを促進しています。
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