【2017年5月15日 ラバト(モロッコ)発】
ユニセフ(国連児童基金)は、最近実施した中東・北アフリカ地域11カ国(*)の分析調査により、この地域の子どもの4人に1人に相当する少なくとも2,900万人が貧困の影響を受けていると報告しました。これらの子どもたちは、基礎教育、適切な住居、栄養のある食事、質の高い保健ケア、安全な水、衛生、情報へのアクセスといった生活に必要な最も基本的な要素のうち2つ以上において、必要最低限のレベルさえ満たしていません。
© UNICEF/UN020100/Khuzaie |
「子どもの貧困とは、家庭の収入だけを指すのではありません。それは、質の高い教育や保健ケアを受けられるか、家があり安全な水が手に入るか、という問題も含んでいます。子どもたちがこのような基本的な生活をはく奪されたなら、かれらは貧困の悪循環に捕らわれる危険に晒されます」とユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表ヘルト・カッペラエレは、モロッコのラバトで開催された子どもの貧困に関する地域会合で述べました。
中東・北アフリカ地域において、各国レベルの子どもの貧困に関する情報が初めて統合されました。ほとんどの国では、貧困を削減するために重要な進展がみられたものの、貧困下に暮らす子どもの数は依然として高いままです。紛争の影響を受ける国々では、過去数十年に築いた成果が急速に後退しています。
主な分析結果には、以下が含まれます:
© UNICEF/UN013953/Shamsan |
貧困が子どもに及ぼす影響を測ることや貧困の撲滅に向けた共同行動を起こすことには、いくつかの大きな課題があります。まず、地域の国々では暴力や避難生活が広範囲で進行しており、貧困に関する定期的な情報の収集はなされず、紛争の影響を受ける地域の情報を得ることは極めて困難です。最も疎外され表には出てこない子どもたちの状況を含め、子どもたちの置かれている現状について十分な理解が不足していることは、現行の政策や行動では子どもたちの貧困問題に効果的に対応できないという危険性をはらみます。
「今、最も弱い立場にある子どもたちに投資することで得られる利益は、将来の地域の平和と繁栄です」とカッペラエレは言います。「そのためには、各国政府、市民社会、民間企業、個人そして国際社会による、真のリーダーシップと勇気ある公的・民間投資の統合が必要なのです」
注*:11カ国とは、アルジェリア、コモロ、エジプト、イラク、ヨルダン、モーリタニア、モロッコ、パレスチナ、スーダン、チュニジアおよびイエメン。これらの国々の人口は中東・北アフリカ地域全体の4分の3を占めています。
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