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日本ユニセフ協会
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イエメン
コレラ感染拡大、前例にない規模に
1カ月で7万件、600人が死亡
今後2週間で13万件に上る恐れ

【2017年6月2日  サヌア(イエメン)/ジブチ(ジブチ)/アンマン(ヨルダン)発】

前例にない規模のコレラの流行に見舞われているイエメンを訪問し、ユニセフが実施している支援活動を見届けたユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所代表ヘルト・カッペラエレが、以下の声明を発表しました。

* * *

コレラ感染、前例にない規模に

コレラが疑われる症状のある子どもとユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表ヘルト・カッペラエレ (イエメン・サヌア)

© UNICEF/UN066513/Fuad

コレラが疑われる症状のある子どもとユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表ヘルト・カッペラエレ (イエメン・サヌア、アル・サビン病院、2017年5月30日)

イエメンでは信じ難いほど急速にコレラの感染が拡大しており、子どもたちを取り巻く状況は、以前の厳しさに増して、惨事と化しています。この約1カ月の間に、コレラ感染が疑われる症例は7万件近く、死亡者数は600人近くと報告されています。コレラ感染が疑われる症例は、今後2週間で13万件に拡大すると見込まれています。

現地で機能している数少ない病院の一つで、トリアージが行われていたところを訪問した私は、瀕死の状態にある子どもたちの痛ましい光景を目にしました。体重が2キロにも満たない小さな赤ちゃんが、必死で生きようとしているのです。

その子どもたちのうち何人かは、夜のうちに命を落としたのではないかと危惧します。

多くの家族は、子どもを病院に連れてくる費用を、必死で工面しました。

しかし、この子どもたちはまだ恵まれています。イエメンでは、コレラや下痢性疾患、栄養不良など、簡単に予防や治療が可能な疾患が原因で、毎日数えきれない数の子どもたちが、静かに命を落としているのです。

これ以上多くの子どもの命がコレラによって奪われないよう、限られた時間の中、懸命に活動する保健員たちに会いました。彼らは、約9カ月間も給料が支払われていないのにも関わらず、献身的かつ決意をもって取り組んでいます。彼らは、イエメンにおける陰の英雄たちです。私たちは、彼らが切実に必要とする医療物資やその他の支援を提供するために、あらゆる手を尽くさなければなりません。イエメンのすべての関係当局は結束して、公務員の給料の支払いを再開しなければなりません。

命を守るための懸命な活動

イエメン・サヌアのサビン病院で治療を受ける、重度の下痢性疾患あるいはコレラに感染したとみられる子ども。(2017年5月12日撮影)

© UNICEF/Alzekri

イエメン・サヌアのアル・サビン病院で治療を受ける、重度の下痢性疾患あるいはコレラに感染したとみられる子ども。(2017年5月12日撮影)

コレラの流行が4週間前に始まってから、ユニセフはパートナー団体と協力して支援を実施しています。現地で活動するユニセフのチームは、イエメン全土の100万人以上に安全な水を提供し、医薬品、経口補水塩、下痢性疾患キット、点滴液を含む、命を守るための救援物資40トン以上を届けました。

保健、水と衛生、栄養、コミュニティへの啓発における緊急支援を迅速に提供するためには、国際社会によるさらなる努力が必要です。ユニセフは、コレラのさらなる流行拡大を防ぐための活動資金として、直ちに1,600万米ドルを必要としています。

しかし、最も重要なのは、すべての紛争当事者が、イエメンの子どもたちのことを最優先に考え、政治的合意により平和的に紛争を終結させるべき時が来ているということです。それが、イエメンの子どもたちの命を守り、彼らが健康に成長することを助ける究極の方法なのです。

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