【2017年8月1日 ジュネーブ/ニューヨーク発】
8月1日~7日の「世界母乳育児週間」に際し、ユニセフのアンソニー・レーク事務局長と世界保健機関(WHO)事務局長Tedros Adhanom Ghebreyesusが共同で声明を発表しました。
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母乳育児は、各国、各コミュニティ、各家庭が実行できる、最も賢明な投資の一つです。毎年の世界母乳育児週間には、世界170カ国以上で母乳育児の促進と乳児の栄養改善を目指した取り組みが行われています。
2017年の世界母乳週間のテーマは、『母乳育児をともに支える(Sustaining Breastfeeding Together)』。政府、意思決定者、開発パートナー、専門家団体、学術機関、メディア、アドボケイト、ステークホルダーを含む私たちは皆、より持続可能な未来をつくるため、既存のパートナーシップを強化するととともに、母乳育児に投資しサポートする新たな方法を打ち出すべく、協働しなければなりません。
母乳育児は、子どもたちが世界のどこに生まれても、人生における最良のスタートを切る手助けとなります。抗体が含まれる母乳は、子どもの最初のワクチンとしての働きをします。母乳は、とても大切な人生のはじめの2年間、そしてその後の人生においても、子どもたちを守り、健やかな成長と発達を支えます。母乳育児はまた、母親にとっても、乳がんや卵巣がん、糖尿病のリスクを減らすという利点があります。
母乳育児は、母親と赤ちゃんにとって良いというだけではありません。母乳育児は、SDGsの多くの目標達成のために必要不可欠です。栄養の改善(目標2)や、乳幼児死亡を防ぎ、非感染性疾患へのリスクを減らし(目標3)、認知的発達や学びを助けます(目標4)。母乳育児はまた、貧困をなくし、経済成長を促進し、格差を是正することの鍵にもなります。
母乳育児は、保健ケアにかかる費用を減らし、教育の成果を向上させ、その結果として生産性があがることから、国内経済にも寄与します。母乳育児は実に、最も費用対効果が高く、利用可能な投資の一つなのです。低中所得国に分類される国々においては、母乳育児支援に1米ドルが投資される毎に、推定35米ドルの経済的利益を生み出します。一方で、母乳育児率が低ければ、何十億米ドルもの生産性の損失となり、予防可能な病気や慢性疾患を治療するための保健ケアに費用がかかることになります。
世界の保健と開発分野における母乳育児の重要な役割が認識されるなか、2012年、194カ国が集った世界保健総会(WHA)において、生後6カ月間の完全母乳育児率を、ベースライン値である2012年の37%から50%へ増加させるという目標が定められました。その後、国連は『栄養のための行動の10年』(2016年-2025年)を宣言し、母乳育児を支えるための数多くの方法が含まれた行動枠組みの実行を、各国に求めました。
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母乳育児への女性の意思決定をより良くサポートし、世界のより多くの子どもたちが健康に育つ機会を保障する政策やプログラムへの投資があれば、飛躍的な進展は可能です。
ユニセフとWHOは、20の主要な国際機関およびNGOとともに、世界母乳育児共同体(Global Breastfeeding Collective)を、世界母乳育児週間の初日となる8月1日に立ち上げました。世界母乳育児共同体は、政府、ドナー、その他のステークホルダーに向けて、より多くの母親が母乳育児を行えるようにする政策やプログラムを求めています。
それらの政策やプログラムには、次のことが含まれます。
母乳育児は、女性ひとりの仕事ではありません。母親たちは、子どもたちが人生の最良のスタートを切れるよう、保健ケア提供者、家族、雇用主、コミュニティなど、周囲からの力添えやサポートを必要としています。私たちはともに、女性の母乳育児を支え、未来の世代の健康とよりよい人生を守ることができるのです。
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