【2017年8月8日 アクラ(ガーナ)発】
「答えは4です」とパトリシアちゃん(10歳)は、黒板に問題の答えを書く前に、自信いっぱいの笑顔で言いました。
© UNICEF/Kafembe |
ガーナのアッパー・イースト州北部、サンデマ地域にある小学校。今日の算数の授業は、割り算についてです。パトリシア・アデボリンサちゃんも、先生の話に耳を傾けます。
何の変哲もないガーナの授業風景のようですが、注意深く様子をうかがうと、何人かの児童は軽度から中等度の障がいがあることが分かります。
パトリシアちゃんもその一人です。軽度の脳性まひがあり、自らの意志で身体を動かすことは困難です。4歳で初めてこの学校に来たとき、鉛筆を持つこともできませんでした。
この学校で脳性まひがある生徒はパトリシアちゃんだけですが、そのことによって、クラスメイトがパトリシアちゃんを特別扱いにすることはありません。
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このように、学校では多様な生徒を受け入れる取り組みが行われており、パトリシアちゃんの先生であるシルビア・アバグリミさんは、他の友だちと変わりなくパトリシアちゃんと接するよう児童たちに指導しています。「彼女が取り残されないように、注意して見ています。児童たちもパトリシアちゃんを見守り、隣の席のサラム君は作文などを手伝っています」
校長のパウリナ・アデカルドゥさんも、パトリシアちゃんの成長を願い、彼女を見守っています。「授業の後、鉛筆を持って書く練習を一緒にしました。それができるようになった今は、他の児童と同じように授業に参加しています」
ガーナでは、脳性まひなどの障がいのある子どもたちは、コミュニティ内で隠されると言われています。2010年の人口・住宅調査によると、子どもの3人にひとりに障がいがあり、それが原因で学校に通えていません。
コミュニティや教師のサポートを得られない中で、大半の親たちは、障がいのある子どもは拒絶され、学校に通って充実した生活を送るための支援制度もないと、考えています。
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そうした不平等を是正するため、2年前、政府が始めたインクルーシブ教育政策を取り入れたサンデマは、軽度から中等度の障がいのある子どもたちが学校に通い、教育の恩恵を受けられるよう、一致団結したのです。
ユニセフと米国国際開発庁(USAID)の支援を受けたプログラムを通じて、親たちに、障がいの有無に関わらずすべての子どもに教育を受ける権利があることを伝えました。
「障がいについて親たちと話し、学校での支援が受けられることを伝えました」とサンデマの特別支援教育調整員 ケネディ・アファガチエは話します。教師に対しても、基礎試験の実施方法や、どのようにすべての子どもを支援するかなどについて、助言を行っています。
教師は、視覚、聴覚、身体、行動障がいに関する理解を深め、このような障がいがある子どもたちが教育を受けるに際し最善の方法を見つけています。
今日、450人以上の教師がインクルーシブ教育の研修を受けており、サンデマの83の学校で障がいがある子どもたちを受け入れています。
パトリシアちゃんと話をすると、学校に来ることをどれほど楽しんでいるかがよく分かります。学校に来ることが、なぜあなたにとって大切なのかと聞くと、「だって、学ぶことができるから」と目を輝かせて答えました。
教育は、すべての子どもに与えられた権利です。しかし、障がいのあるガーナの子どもたちの多くが、その権利を享受できずにいます。それでも、サンデマで暮らす子どもたちにとって、勉強や遊び、学校生活を経験することは現実になりつつあり、パトリシアちゃんがそのことを証明しています。
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