メニューをスキップ
日本ユニセフ協会
HOME > ニュースバックナンバー2017年 >

世界の子どもたち

東ティモール
子どもの就学前教育を実現する
地域幼稚園の取り組み

【2017年9月25日  ヴィケケ(東ティモール)発】

東ティモールでは、公立幼稚園の数が足りず、遠隔地に住む子どもたちが就学前教育を受ける機会を失っています。ユニセフは、文部省・村議会・保護者と協力し、子どもたちが人生で最高のスタートを切れるよう、地域幼稚園の建設を支援しています。

すぐそばにある幼稚園

幼稚園で、楽しく学ぶ楽しむ子どもたち。

© UNICEF Timor-Leste/2016/BSoares

幼稚園で、楽しく学ぶ子どもたち。

「いち、に、さん、し、ご、ろく、なな、はち。学校で勉強するの大好き。楽しいな楽しいな、朝起きて学校に行くのは」

ルゼリア・オルナイちゃん(3歳)が、ユニセフの支援を受けるヴィケケ県の59の幼稚園の一つ、オッスにある地域幼稚園で、他の子どもたちと一緒に「ba eskola (学校に行こう)」という歌を歌っています。

地域幼稚園がなければ、ルゼリアちゃんは就学前教育を受けることはできませんでした。一番近い公立幼稚園は、家から3キロも離れた場所にあるからです。

通園に必要な交通手段が整備されていないため、ルゼリアちゃんが暮らす地域では、子どもたちは幼稚園には通えず、近くの小学校に歩いて通える年齢になるまで待たなければなりませんでした。その結果、子どもたちの24%が小学校1年生から2年生に進級できずに留年していることが、教育省の2016年のデータで示されています。

「家の近くに幼稚園ができて本当に嬉しいです。地域全体で子どもたちを育てていくことができるのですから」と村議会のメンバーで地域幼稚園の学校運営委員会(SMC)のメンバーでもあるマニュエル・ルアスさんは話します。「子どもたちはとても喜んでいます。幼稚園に通うために、長い距離を歩く必要もありません」

2人の孫がこの幼稚園に通うルアスさんは、「SMCのメンバーとして、子どもたちを見守っています」と話します。村の幼い子どもたちへの教育に貢献していることを誇りに思っています。

未来への準備

ユニセフの支援する地域幼稚園に通う、ルゼリア・オルナイちゃん(前列左)とお友達。

© UNICEF Timor-Leste/2017/LHelin

ユニセフの支援する地域幼稚園に通う、ルゼリア・オルナイちゃん(前列左)とお友だち。

ルゼリアちゃんの母親であるアンジェリカ・オルナイさん(27歳)も、ルゼリアちゃんと兄のディオニルドくん(5歳)が幼稚園に通うことができ、とても嬉しく思っています。

「私も毎日幼稚園に行って、子どもたちの世話を手伝っています。子どものおやつや幼稚園で使う資材の購入資金として、私たち保護者もそれぞれ25米セントを出して貢献しています」

アンジェリカさんをはじめとする親たちは、しっかりとした就学前教育プログラムが、その後の学校教育への準備になることを理解しています。

「子どもたちは、幼稚園で文字や数を学んでいます。たくさん歌を歌って、他の子どもたちと関わりを持っています」とアンジェリカさんは言い、1年生になるための準備をすることで、子どもたちが小学校でうまくやっていくための自信になっている、と付け加えました。

ルゼリアちゃんや、ディオニルドくんのような子どもたちにとって、幼稚園は脳の発達を支える刺激的な環境です。子どもたちは、問題の解決方法や分け合うことの大切さ、ソーシャルスキルなどを、遊びを通して身につけていきます。これらは、この複雑な世の中で生きていく道しるべになるのです。

質の高い就学前教育は、健全な投資であり、子どもたちが人生で最高のスタートを切ることを約束するものです。

遠隔地の子どもたちに手を差し伸べる

地域幼稚園で絵本を読む子ども。

© UNICEF Timor-Leste/2017/LHelin

地域幼稚園で絵本を読む子ども。

地域幼稚園の建設は、ユニセフが取り組む支援の一つであり、都市から遠く離れた遠隔地の子どもたちに就学前教育を届けるための、東ティモールの教育省にとって革新的な取り組みです。

2015年の人口調査によると、72パーセントの国民が農村部に暮らしています。しかし、公立幼稚園の数は限られている上、都市部や首都圏に集中しています。東ティモール全土での幼稚園への就園率は、2016年時点で約16.9パーセントにとどまり、南アジアの国々でもっとも低い国の一つです。

東ティモール国内の13県のうちモデルケースとして選ばれた2県で、地域幼稚園が設置されたのは今回が初めてです。ユニセフは、地域の幼稚園に子どもたちを通わせる保護者を対象にした教育セッションもサポートしています。

ユニセフが支援する地域幼稚園の土台をなすのは、地域の人々が当事者として関わることであり、そうした状況は、幼稚園を設置する前の準備段階における協議を通じてつくられます。

地域の人々や保護者がボランティアで積極的に関わることで、ルゼリアちゃんとディオニルドくんのような子どもたちが、幼稚園での就学前教育を通じて、より明るい未来を掴むチャンスを得ることができるのです。

シェアする


トップページへ先頭に戻る