【2017年10月27日 ジュネーブ発】
本日、国連ジュネーブ事務所における定例プレスブリーフィングで、ユニセフ(国連児童基金)の広報官マリキシ・メルカドは、ロヒンギャ難民の子どもの栄養状態について下記の通り報告しました。
© UNICEF/UN0139579/LeMoyne |
私たちは、急性栄養不良に陥っているロヒンギャ難民の子どもたちの実態を明確に把握するための努力をしているところで、現在実施している栄養に関する調査のデータは11月に揃う予定です。私たちがすでに把握しているのは、難民が暮らす仮設住居では、栄養不良、劣悪な衛生環境および感染症などの病気の状況が重なっており、子どもたちに悲劇的な結果をもたらす危険があることです。
最近新たに難民となった子どもたちの状況:最近大量の難民が流入した10月16日から18日には、何千人もの難民が国境付近で足止めされ、ユニセフは340人の子どもたちの栄養状態を検査しました。これは、緊急に命を守るための治療を必要とする子どもたちを見つけるための緊急的な簡易検査です。国境近くで検査した340人の子どものうち、33人が重度の急性栄養不良に陥っていると診断されました。また国境なき医師団が運営する診療所に連れてこられた103人の病気の子どものうち、14人が重度の急性栄養不良の状態にありました。
8月25日以降にバングラデシュに到着した難民に対して、ユニセフとパートナー団体は10月25日までに、5万9,604人の子どもを検査し、1,970人が重度の急性栄養不良、6,791人が中度の急性栄養不良に陥っていると診断しました。これらの数字は、危機が始まる前の2017年5月に仮設住居で実施された調査ですでに緊急事態を示す値を超えた、全急性栄養不良(Global Acute Malnutrition) 21.2%および重度の急性栄養不良3.6%とほぼ同じ割合です。
ラカイン州の状況:大多数の難民が暮らしていたMaungdaw および Buthidaungでは、危機発生以前から緊急事態を示す値を超えていました。全急性栄養不良はMaungdawで19%、Buthidaungでは15.1%、重度の急性栄養不良はMaungdawで3.9%、Buthidaungでは2%でした。8月25日以降、私たちはラカイン州北部へのアクセスが得られず、重度の急性栄養不良の4,000人の子どもたちの治療の中止を余儀なくされました。
© UNICEF/UN0139607/LeMoyne |
最近新たに流入した難民と以前に流入した難民の両方で、はしかの感染が報告されています(詳細は以下に記載)。また、65万人を対象とし実際はそれを上回ったコレラの予防接種キャンペーンが実施されたものの、感染性下痢症や赤痢の危険は極めて高いままです。
ユニセフは、パートナー団体と協力して、栄養治療センターの設置に重きを置いており、これまでに移動診療所1カ所を含む計15カ所を設置し、さらにほとんどの新しい難民が向かっているKutupalongなどの新たな地域に6カ所を設置する予定です。現在、2,000人近くの子どもたちが重度の急性栄養不良の治療を受けています。私たちは、重度の急性栄養不良の子どもたちの治療に使う栄養治療食の調達をすでに済ませ、到着を待っています。ユニセフは保健分野のパートナー団体と協力して、栄養不良を悪化させる下痢症や肺炎の子どもを発見し治療し、予防接種を実施し、また母親たちが乳幼児の子どもたちに適切な食事を与えられるよう支援を提供しています。私たちは重要な活動として、より多くの難民に安全な水と衛生環境を提供するための支援を続けています。
私たちが人道支援に必要な資金として求めている7,600万米ドルのうち、獲得できたのはわずか18%で、資金的に厳しい状況が続いています。危機下にあるロヒンギャ難民の子どもたちと家族に、人道支援を届けるユニセフの活動を支えるため、日本ユニセフ協会は『ロヒンギャ難民緊急募金』を受け付けています。
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はしか:
栄養不良の定義について:
急性栄養不良は誰にでも起こり得ますが、特に懸念されるのは、治療を施さなければ死に至るリスクの高い5歳未満児です。
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