【2017年11月3日 ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)、ラカイシャ財団(“la Caixa” Foundation)およびビル&メリンダ・ゲイツ財団は、毎年90万人近くの5歳未満児が肺炎で命を落としている事態を受けて、公的機関および民間セクターに対して、この予防可能な病気による死亡終わらせる取り組みにより深く関与するよう求めました。彼らは、このパートナーシップは、酸素とその派生物に関連した保健分野の先端技術へのアクセスを加速させる上で非常に重要だと指摘しました。
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この要請は、ユニセフが本日ニューヨーク本部で開催した専門家会議 「SDGsの実現に向けて:予防可能な肺炎による子どもの死をなくすためのパートナーシップとイノベーション(SDG in Action: Partnerships and Innovation to End Preventable Child Deaths from Pneumonia)」において発表されました。この会議には、民間企業、市民社会、学術分野および国連の専門家や代表者が結集しました。
「グローバル・ヘルス(国際保健)の分野には、研究開発を活気づけるための投資が必要です」とユニセフ物資供給センターのイノベーション・チーフKristoffer Gandrup-Marinoは述べました。「ユニセフはこの重要なパートナーシップを通じて、民間企業が子どものための非常に重要な保健技術の研究開発を加速させるためのインセンティブを提供することができます」
専門家達は開発途上国で受けることが可能な肺炎の予防と治療の改善の必要性を強調し、中でも重度の肺炎の治療である酸素療法へのアクセスに重きをおいて議論しました。
「圧倒的な数の子どもたちが酸素療法を必要としています」と、ユニセフのスペイン委員会専務理事Javier Martosは述べました。「肺炎は先進国では予防も治療も可能な病気ですが、いくつかの開発途上国では依然として命に関わる病気で、2015年には子どもの死亡件数の6件のうち1件を占めていました」
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肺炎を原因とした乳児死亡数は2000年から2015年の間で47%減少し、年間170万人から92万人に減少しましたが、2016年には、すべての5歳未満児死亡数の16%を占めました。
「過去数十年間で肺炎との闘いには前進があったものの、根強く残る側面があります。それは貧困の病気として存在しているという事実です」とビル&メリンダ・ゲイツ財団の肺炎担当ディレクターのDr. Keith Klugmanは述べました。「今こそ、私たちの共同の努力に投資を増やすときなのです」
ユニセフのデータは、肺炎を患う子どもの約13%にあたる年間186万人に、低酸素血症(血液中の酸素分圧が異常に低くなる症状)があることを示しています。あまりに多くの子どもの死亡原因となっているのは、低酸素血症の診断が難しく、また必要な機材が古く、保健スタッフが適切な訓練を受けていないために酸素療法を受ける機会が限られているからです。
「ラカイシャ財団は、グローバル・ヘルスを国際協力の最優先課題のひとつとしています」とラカイシャ財団のディレクター・ジェネラルJaume Giróは述べました。「私たちは、ユニセフとのこの共同事業を通して、子ども誰ひとりも肺炎などの予防可能な病気で命を落とさせないために、病気の診断の技術革新を進めていく所存であり、また、民間企業が協力することの重要性を世界に知って頂きたいのです」
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