【2017年12月15日 ニューヨーク発】
もし各国が移民の子どもたちの安全と健康を確保した成功例に倣ったなら、2018年はそうした子どもたちにとって記念すべき年にすることができると、ユニセフ(国連児童基金)は本日、12月18日の「国際移住者デー」に先駆けて述べました。
© UNICEF/UN077995/Romenzi |
世界では5,000万人の子どもたちが移動しています。多くの移住は前向きなもので、子どもたちやその家族が自主的かつ安全に移動します。しかし、何百万人もの子どもたちは、自主的でもなく安全でもない、リスクと危険に満ちた移動を経験しています。
約2,800万人の子どもたちは、紛争により家を追われました。多くの場合、子どもたちと家族は、安全で正規の移動ルートを確保できず、彼らの安全を非常に高いリスクに晒す密輸業者、人身売買業者や非正規ルートに頼るしかないのです。
そのひとつの例が、リビアからイタリアへ渡る危険な地中海中央ルートです。今年だけで、1万5,000人近くのおとなの同伴者のいない子どもが海を渡ってイタリアに辿りつきました。彼らの旅は密輸業者や人身売買業者が仲介する典型例です。ユニセフの推定では、今年だけでこのルートで400人以上の子どもが命を落とし、リビアで滞在中に何千人もの子どもたちが虐待、搾取、奴隷のような扱い、拘束を経験しました。
「数えきれないほどの子どもたちにとって、移住は安全できちんとした手続きに則ったもので、彼らや家族、そしてコミュニティが成長し変容することを手助けします」とユニセフ本部プログラム局長エドワード・チャイバンは述べました。「しかし、何百万人もの子どもたちにとっては、移住は極めて危険でまた自ら選択したものではないという現実があります。この地中海中央ルートは、ヨーロッパに渡るのに安全で正規のルートを選べない何千人もの弱い立場にある子どもたちが、毎年命を危険に晒していることを示す代表例です。
© UNICEF/UN028113/Zehbrauskas |
来年は、国境を越えた移民のあらゆる側面を捉えた画期的な政府間の国際合意となる、「移民のためのグローバル・コンパクト」の交渉と採択がなされる予定です。難民・移民に関する「ニューヨーク宣言」および「子どもの権利条約」に則って、移民の子どもたちを支援するための行動について各国政府が合意する瞬間となります。
コンパクトの内容について交渉が継続する中、ユニセフは加盟国に対して、ふるさとを追われた子どもたちの権利、保護および福祉を最終的文書の中心的な約束事として含めるよう求め続けてきました。
「移住は、特に子どもたちにとって、危険なものである必要はないのです」とチャイバンは言います。「移民の子どもたちにリスクを負わせる、政策、行動および態度を変えなければなりません。2018年こそ、それをすべきで、「移民のためのグローバル・コンパクト」はそのためのひとつの機会となります」
世界の多くの国、地方政府や自治体が、移民の子どもたちを保護しケアするための前向きな措置をすでに取っています。ユニセフが発表した報告書「国境を越えて(原題:Beyond Borders: How to make the global compacts on migration and refugees work for uprooted children)」が紹介した、移民の子どもたちの保護と支援の成功事例には以下のものが含まれます。
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ユニセフは各国政府およびパートナー団体に対して、ふるさとを追われた子どもたちを保護し、彼らの健康を確保するための6つの具体的な行動を提示したアジェンダの適用を求めています。アジェンダが掲げる行動目標には以下が含まれます:
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