【2018年3月1日 ニューヨーク発】
毎年世界で生まれる赤ちゃんの14%に当たる1,900万人近くが、人生のはじめの時期におけるヨード(ヨウ素)の不足により、予防可能にもかかわらず生涯にわたるダメージを脳に受け、認知機能が低下するリスクがあることを、ユニセフ(国連児童基金)と栄養向上のためのグローバル同盟(Global Alliance for Improved Nutrition: GAIN)は本日発表しました。こうした子どもの4分の1以上にあたる430万人は南アジアに住んでいます。
報告書『明るい未来へ:乳幼児期の脳の発達はヨード添加塩で守る(原題:Brighter futures: Protecting early brain development through salt iodization)』によると、ヨードの不足は、世界で、予防可能な脳障がいを引き起こす主要な原因の一つとなっています。胎児期から幼年期においてヨードが不足すると、神経的・精神的障がいが生じ、子どもの知能指数(IQ)が8から10下がります。これは、国全体で認知面の資本が失われることを意味し、社会経済的成長にも影響を及ぼします。
「人生のはじめの時期に子どもが摂取する栄養物は、脳の発育に一生影響を与え、豊かな未来へのチャンスを作り出すこともできれば壊すこともできます」ユニセフのシニア栄養アドバイザーRoland Kupkaは述べました。「幼少期に子どもの成長を守り、助けることで、生涯にわたって大きな影響をもたらすことができます」
塩のヨード添加に必要な費用は子ども一人当たり0.02–0.05米ドルに留まり、効率的且つ経済的にも有益です。ヨード添加によって将来の認知能力が向上し、1ドルの投資あたり30米ドルの収益が得られると推定されています。
© UNICEF/UNI189129/Quarmyne |
南アジアでは、危険に晒されている赤ちゃんの数が最も多い一方で、人口の87%がヨード添加塩を摂取しているといわれています。これは世界で二番目の高さであり、東アジアや太平洋地域の91%に次ぐものです。最も割合が低い東部・南部アフリカでは、25%の人々がヨード添加塩を摂取しておらず、毎年390万人の赤ちゃんがヨード欠乏症の危険に晒されています。
「ヨードは子どもの成長に不可欠です」と、GAINのGreg S. Garrett食糧政策部長は述べました。「政府、産業界、市民社会、ユニセフやGAIN等による協働の結果、すべての子どもが持続的にヨードを摂取することがまさに可能となりつつあります。しかし、ヨード欠乏症をなくすにはさらなる努力が必要とされ、ヨード添加塩を最も届きにくい地域に届けるためにも、より多くの方々に協力していただきたいと考えています」
「胎児期から2歳になるまでの人生のはじめの時期は、子どもの成長にとって最も大切な時期です。生まれて最初の1,000日に、守られ、遊びや早期学習といったよい刺激となる活動とともに得る栄養が、生涯にわたる脳の発育を形作っています。
© UNICEF/UNI189144/Quarmyne |
赤ちゃんの脳の発育における精神的障がいの危険性を減らすためには、以下の手段が緊急に必要であると報告書は述べています。
過去10年間、ユニセフとGAINはともに、ヨード欠乏症と闘っています。
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