【2018年7月26日 ラマッラ(パレスチナ)発】
報告書「パレスチナ:非就学児に関する国別報告書(原題:State of Palestine: Country Report on Out-of-School Children)」によると、パレスチナの6歳から9歳の子どものほとんどは就学しています。しかし、15歳までに男の子の25%近く、女の子の7%が中退しています。
この報告書は、ユニセフ(国連児童基金)パレスチナ事務所とユネスコ統計研究所(UIS)がパレスチナ政府教育省と協力して、なぜ子どもたちが学校に通えなくなるのか、複数の、そして往々にして相互に関係するその要因を明らかにしています。
15歳までの義務教育年齢で学校に通っていいない子どものうち、14歳と15歳の男の子が半数近くを占めます。報告書は、この年齢グループの男の子で教育を受けていない割合は西岸で18.3%、ガザで14.7%としています。
学校を中退する主な理由として、教育の質の問題、実生活に適していないと思われがちな教育内容、校内での教員や生徒同士による身体的・精神的暴力、そして武力紛争が挙げられます。
「青少年期の男の子など中退の危険が最も高い子どもたちに対して、手遅れになる前に彼らが直面している問題に対処することが、彼らを学校に繋ぎとめるために極めて重要なのです」とユニセフ・パレスチナ事務所代表ジュネビエーブ・ボウティンは述べました。「若い卒業生たちに雇用を創出することも優先事項です。特にガザでは若者の60%以上が失業しています」
© UNICEF/UN0222667/Izhiman |
報告書は、特に授業についていけなくなるなどの生徒それぞれのニーズに応えるテーラーメイド教育ならびにサポートサービスの提供が、いかに中退の減少に貢献できるかを指摘しています。それらには、柔軟なカリキュラム、学校における複数タイプの補習の機会、ならびにカウンセリングサービスが含まれます。
「安全な学習環境で質の高い教育を受けられるようにすることが、結果として、すべての子どもたちが学校に通い続け、人生を前進させるために必要な知識と技術を身につけることに貢献するのです」(ボウティン)
パレスチナの若者には、通学時に直面する特殊な問題があります。西岸では、通学時に多くの子どもたちが、検問所や道路が閉鎖された場所を通り、イスラエル人入植地を迂回することを強いられます。特に10代の男の子たちは学校に向かう途中に止められ、尋問を受けることがあるので、この問題は深刻です。
ガザの学校では、1つの教室に平均37人が学ぶ過密状態にあります。1年生から10年生の約90%が二部制の学校に通っています。そのために、子どもたちの学習時間削減され、特に学習・行動障がいのある子どもたちに教員が適切に対応する能力も制限されています。
「授業についていけなくなった子どもたちは、より中退する傾向が高く、その結果、学校の外で虐待や搾取の危険により晒されやすくなるのです」とボウティンは言います。
報告書は、暴力が教育に及ぼす多様な影響についても指摘しています。1年生から10年生の3分の2以上が、学校内で精神的または身体的暴力に晒されたと報告しています。また、紛争の影響を受けて、2017年には学校、生徒、あるいは教員に対する170回の攻撃および攻撃の危険があり、2万9,000人以上の子どもたちの勉強が中断されたことも出席率に影響しています。
© UNICEF/UN0222686/Izhiman |
パレスチナのすべての子どもたちの教育を受ける権利を実現するために、ユニセフは以下のことを求めています。
■本報告書に関する補足説明:
報告書「パレスチナ:非就学児に関する国別報告書(原題:State of Palestine: Country Report on Out-of-School Children)」は、結果を導き出すために、以下の4つの主要なアプローチと資料を使用しています。
*ガザでは、両親と若者は、出来るだけ長く学校に通うことが、ストレスの高い生活における保護的措置かつ対応戦略であると考えています。ガザからあるいはガザへの移動は制限され、雇用も限られています。学校や大学は若者に活動の機会を提供するため、大学就学率は高い。両親と子どもたちは、諸問題を抱えながらも、教育を彼らの将来と捉え、教育費を捻出するためにあらゆる手を尽くしています。
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