【2018年11月30日 ジュネーブ/ダカール(セネガル)/バンギ(中央アフリカ)発】
首都バンギが流血の惨事に陥ってから5年が経過した今、中央アフリカ共和国で生きることは、子どもたちにとってより厳しく、より危険にさえなっています。危機が激化しているにも関わらず、国際社会からの資金援助や関心は、極めて低いままです。
ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した新しい報告書『中央アフリカ共和国の危機:顧みられない緊急事態の中で、支援と保護、そして未来を求める子どもたち(原題:Crisis in the Central African Republic: In a neglected emergency, children need aid, protection – and a future)』は、次のように指摘しています。
「この危機は、世界でもっとも貧しく、もっとも開発が遅れ、そしてもっとも人道支援従事者にとって危険な国のひとつで起きています」とユニセフ中央アフリカ事務所代表のクリスティーン・ムヒガナは述べました。「子どもたちの状況は、非常に深刻です」
© UNICEF/UN0149417/Sokhin |
中央アフリカの危機は、ダイヤモンドや金、ウランを豊富に含む大地を巡る十数の武装グループの対立によって引き起こされています。武装グループはしばしば、互いの組織ではなく市民を標的にし、保健施設や教育施設、そこに従事する人々、モスクや教会、避難民の人々が身を寄せる避難所をも攻撃します。
恐怖におびえた家族は家を追われます。9月末時点で、中央アフリカ国内には64万3,000人の国内避難民が存在し、その少なくとも半数は子どもです。また57万3,000人以上が、周辺の国々へ逃れ難民となりました。保健ケアや安全な水、衛生施設へのアクセスが非常に限られる状況と相まって、強制的な避難生活は子どもの栄養危機につながります。過去2年間で調査が行われた18の国内避難民の居住地区のうち16地区で、重度の急性栄養不良率が緊急事態を示す基準値を超えていました。森の中に逃げ込まざるを得なかった子どもたちの状況は、より一層切迫したものでした。
この危機は、開発における緊急事態の中で広がっています。中央アフリカは、乳児死亡率と妊産婦死亡率が世界で2番目に高く、初等教育を何とか修了できる子どもは5人中3人に満たず、人口のほぼ半数は安全な水を手に入れることができません。平均余命、収入、教育の進展の度合いを測定する国連の人間開発指数では、189カ国中188位に位置します。
© UNICEF/UN0248779/Le Du |
ユニセフは、ときに非常に危険な環境下にいる切迫した状況の子どもたちに支援を届けるべく、以下を含む活動を続けています。
戦闘激化や避難民の増加という状況にも関わらず、ユニセフが2018年に必要な資金として求めた5,650万米ドルに対し、10月末時点で確保できているのはわずか44%に留まります。「中央アフリカの子どもたちは、あまりにも長きにわたり見捨てられ続けています」とムヒガナは述べました。「今、そしてこれから先も継続的に彼らに目を向け、手を差し伸べることが必要です」
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