【2019年7月4日 キエフ(ウクライナ)/ジュネーブ発】
ユニセフは本日、ウクライナ東部における武力衝突の悪化で、50万人の子どもを含む320万人への安全な水の供給が脅かされ、破損した水道施設を修復する作業員の命も危険に晒されていると発表しました。
© UNICEF/UN0150334/Gilbertson VII Photo |
ウクライナ東部では紛争により、6月の最終週に、政府管理下にある地域と非政府支配地域とに分断する「コンタクト・ライン(接触線)付近の上下水道施設が被害を受ける事態が5件発生しています。
6月29日の早朝には、ドンバス地方のHorlivka(ロシア名:Gorlovka)で炸裂した砲弾によりコンタクト・ライン両側の300万人以上に水を供給する水道管が破損しました。同じ夜、ドネツク州のVasylivka近くの第一揚水場が砲撃を受け、夜勤の作業員たちは敷地内にある防弾シェルターに向かって命をかけて走らなければなりませんでした。
「ユニセフは、直ちに重要な社会インフラ施設に対する無差別な攻撃を止め、水道事業従事者の保護をするよう、あらためて求めます。彼らは、子どもたちや家族が、すべての人々の基本的人権でもある、きれいな水の供給を受けることができるように命をかけているのです」とユニセフ・ウクライナ事務所副代表ローラ・ビルは述べました。
今年に入ってから、紛争の影響を受ける地域において武力衝突が原因で、320万人が依存する水の供給が部分的あるいは全体的に停止した日数は29日間にのぼり、上下水道施設が破損した回数は58回にのぼります。紛争開始から、犠牲になった水道施設作業員は9人、負傷者は今年の3人を含めて26人で、すべての作業員は、紛争の影響を受ける地域の子どもと家族のために水の供給を続けようとして犠牲になりました。
「水の供給が制限されたり、停止すると、子どもたちと家族は、汚染された水や安全でない衛生環境に頼るしかなくなります。これは、夏の暑さの中で非常に危険な事態です」とビルは言いました。「4月には、断水が始まった数日後に胃腸炎が流行しました。武力衝突が終わらなければ、より多くの子どもたちが苦しむことになります」
© UNICEF/UN0243086/Morris VII Photo |
ユニセフとパートナー団体は、2019年1月から5月の間に、コンタクト・ラインの両側の約93万人がきれいな水を得られるようにするために、水の輸送、浄水剤の提供、および脆弱な水道施設が喫緊に必要としている修復や改善を支援しました。
ユニセフが今年、ウクライナ東部における水と衛生分野での緊急支援に必要な資金1,330万米ドルのうち、これまでに獲得できたのは15%です。ユニセフが今年、ウクライナ東部全体の緊急人道支援に必要な2,100万米ドルのうち、これまでに獲得できたのは30%に止まります。
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