【2019年12月6日 ニューヨーク/パナマ発】
カリブ海諸国(注1)で暴風雨や洪水により避難を余儀なくされた子どもの推定数は、過去5年間で6倍に増加したと、ユニセフ(国連児童基金)は、本日、新しい報告書のなかで述べました。
ユニセフのチャイルド・アラートシリーズ『ふるさとを奪われたカリブ海の子ども:気候変動にともなうハリケーンの強大化によって避難する子どもたち(原題:Children Uprooted in the Caribbean: How stronger hurricanes linked to a changing climate are driving child displacement)』では、カリブ海諸国で推定76万1,000人の子どもが、もっとも被害の集中した5年として記録された2014年から2018年の間に、暴風雨を理由として国内避難したことを指摘しています。その前の2009年から2013年までの5年間に避難した子ども17万5,000人と比べ、約60万人の増加です。(注2)
「この報告書によって、気候危機は子どもの権利の危機であることがはっきりと思い起こされます」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「世界中の、暴風雨や洪水に見舞われやすい国の子どもたちは、自らの生活と権利を守ることにおいてもっとも弱い立場に置かれています。彼らがすでに気候変動の影響を感じているなかで、政府と国際社会は今、もっとも壊滅的な結果を回避するために行動しなければなりません」
報告書では、強制的な避難が劇的に増えた主な原因は、2016年から2018年の間に、4つのカテゴリー5と2つのカテゴリー4の嵐を含む、一連の壊滅的な熱帯低気圧あるいはハリケーンであることを指摘しています。2017年だけで、カリブ海諸国の40万人以上の子どもたちが、ハリケーンによって家を離れることを余儀なくされました。
また、気候変動の影響を緩和するために緊急に行動しなければ、深刻な暴風雨の割合が高まり、今後数十年の間、同様の大規模な強制避難をもたらす可能性が高いと警告しています。
© UNICEF/UN0345624/LeMoyne |
ハリケーンからの強制的避難は、コミュニティが家、道路、橋、電力網、農業、学校、病院、および水と衛生システムを再構築するために要する時間に応じて、比較的短期間で済むか、あるいは数年間続く場合があるでしょう。子どもが親を失っていたり、家族と離ればなれになっている場合、避難の間は特に弱い立場に置かれます。避難している子どもは、はしかや呼吸器感染症などの日和見感染症のリスクが高くなります。これらの感染症は、過密状態の避難所で流行する恐れがあります。
さらに、避難している子どもたちは、教育、保護、保健ケアなど、成長するために不可欠なサービスへのアクセスが限られているか、まったくアクセスできないままになっている可能性があります。
報告書はまた、政府に対し、コミュニティへの支援(壊滅的な暴風雨への備え、またその被害からの回復)を促し、気候変動にともなう災害によって避難した子どもたちを保護するための措置を講じるよう求めています。その内容の一部は次のとおりです:
© UNICEF/UN0341859/Moreno Gonzalez |
ユニセフは、災害の発生前、発生中、および発生後、カリブ海諸国全域のパートナー団体と協力しながら、子どもたちを守り、支援しています。気候変動の緩和、開発政策、レジリエンス(回復力)計画により、ユニセフは子どもに焦点を当て、強制的避難を少なくし、復興期間を短くし、そして家族が家に帰ることができるよう災害リスク削減戦略の確立に取り組んでいます。この取り組みには以下が含まれます:
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(注1)報告書では、カリブ海の以下の小島嶼開発途上国における避難を調査しています:
アンギラ、アンティグア、バーブーダ、アルバ、バハマ、バルバドス、ベリーズ、バミューダ、英領バージン諸島、ケイマン諸島、キューバ、キュラソー、ドミニカ、ドミニカ共和国、グレナダ、グアドルーペ、ガイアナ、ハイチ、ジャマイカ、マルティニーク、モントセラト、プエルトリコ、セントクリストファーネイビス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、シントマールテン、スリナム、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、および米領バージン諸島。
(注2)これらの推定値は、ユニセフと国内避難モニタリングセンター(Internal Displacement Monitoring Centre)によるデータに基づいています。
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