【2020年1月29日 バルセロナ(スペイン)発】
肺炎による子どもの死亡について警鐘を鳴らすため、ユニセフ(国連児童基金)など保健や子どもの専門機関9機関は本日、スペインで開催される小児肺炎に関するグローバルフォーラム(注)にて、世界規模での対策強化を呼びかけます。
「子どもたちの命を本気で守りたいなら、肺炎との闘いに真剣に取り組まなければなりません。現在の新型コロナウイルスによる肺炎の発生が示す通り、その闘いとは、まず、早急な検知と予防の改善策です。また、正しい診断と治療、そして、肺炎による死亡の主な原因となっている、栄養不良、ワクチンや抗生物質の不足などにも同時に対処し、さらに困難な課題である大気汚染に取り組むことも意味します」(ユニセフ事務局長 ヘンリエッタ・フォア)
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© UNICEF/UNI279458/Modola |
小児肺炎に関する世界初のフォーラム(1月29〜31日)がスペイン・バルセロナで開催されるにあたり、肺炎と闘うための対策を強化すると、約900万人の子どもが肺炎やその他の主要な病気により死亡することを回避できる可能性があると、ユニセフは新たな分析結果を共同で発表しました。
ジョンズ・ホプキンズ大学によると、肺炎の治療と予防サービスの規模を拡大すれば、5歳未満の子ども320万人の命を救うことができます。また、これは、他の主要な小児疾患による570万人の子どもの死亡をも同時に防ぐ波及効果を生み出します。統合保健医療サービスの必要性は明らかです。
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肺炎は細菌、ウイルス、または真菌によって引き起こされ、肺に膿と体液が溜まると、子どもたちは呼吸が苦しくなります。昨年は最大80万人、つまり39秒にひとりの子どもの命を奪った、子どもの最大の死因です。肺炎にはワクチンで予防できるものもあり、適切に診断すれば低価格の抗生物質で簡単に治療できるにも関わらず、何千万人もの子どもが未だにワクチン接種を受けておらず、症状のある子どもの3人にひとりは必要な医療を受けていません。
肺炎による子どもの死亡は、世界で最も貧しい国々に集中しており、最も苦しんでいるのは、最も立場が弱く、取り残された子どもたちです。現在の傾向では、2020年から2030年の間に、630万人の5歳未満児が肺炎で死亡する可能性があると予測されています。その場合、今後10年間でナイジェリア(140万人)、インド(88万人)、コンゴ民主共和国(35万人)およびエチオピア(28万人)で最も多くの子どもが亡くなるでしょう。
子どもが肺炎で死亡するリスクを減らす重要な手段、即ち栄養改善、抗生物質の提供、ワクチン接種率の向上、母乳育児率の向上を目的とした支援によって、同時に下痢(210万人)、敗血症(130万人)、はしか(28万人)による数百万人もの子どもの死亡をも未然に防ぐことができるでしょう。
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米ワシントン大学保健指標評価研究所(Institute for Health Metrics and Evaluation, IHME)によると、屋外の大気汚染は、世界の5歳未満の子どもの肺炎による死亡の17.5%(5分の1近く)に影響を及ぼしています。さらに、調理用の固体燃料を屋内で使用することは家庭内の大気汚染につながり、19万5,000人(29.4%)の死亡に影響を与えています。
世界の人口の91%は、大気汚染に関わるWHOの環境基準を上回る外気に晒されています。大気汚染の規模が深刻であれば、肺炎関連の支援強化の成果が弱まってしまう可能性があります。
肺炎による死亡の他の原因には、栄養不良、ワクチンや抗生物質へのアクセス不足が含まれます。ジョンズ・ホプキンズ大学のモデリングによると、今後10年間で回避できるすべての原因による890万人の死亡のうち、390万人は、栄養不良の程度を改善することで守られるのです。
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(注)小児肺炎に関するグローバルフォーラムについて補足事項:
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