【2020年12月18日 ジュバ(南スーダン)発】
本日発表された最新の統合的食料安全保障レベル分類(IPC)報告書において、南スーダンのジョングレイ州ピボール郡の一部では食料が底をつき、人々が壊滅的なレベルの飢餓に直面していることが明らかになったことを受け、ユニセフ(国連児童基金)、FAO(国連食糧農業機関)、国連WFP(国連世界食糧計画)の国連3機関は、ただちに人道的アクセスが必要であると警鐘を鳴らしています。
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深刻な飢餓は、情勢不安、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響、経済危機、洪水による生計手段への打撃によって引き起こされていると報告書は指摘しています。命を守り、支援の届きにくい地域において人々の生活が崩壊するのを防ぐためには、人道支援が必要です。ユニセフをはじめ3機関は、他の人道支援機関とともに支援活動を拡大しています。
「重度の急性栄養不良に苦しむ子どもたちの数が増えていることを非常に懸念しています。これらの子どもたちの命を守るためには、緊急の治療が必要です。データから、政府、ドナー、人道支援従事者など、私たち全員が一刻も早く手を取り合って、こうした子どもたちが必要な治療を受けられるようにしなければならないことに疑いの余地はありません。同時に、そもそも子どもたちが栄養不良にならないようにするための活動にもっと投資する必要があります」と、ユニセフ・南スーダン事務所代表のモハメド・アヨヤは述べました。
報告書によると、10月から11月の間に、南スーダンでは650万人が深刻な急性の食料不安に陥り、緊急の支援を必要としています。そしてこの数は、2021年4月から7月の時期には724万人にまで増加すると予測されています。
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先週には、IPCグローバル・サポート・ユニットが2つの独立した報告書を発表しており、ピボール郡では数万人の人々が飢きんの状態に直面する可能性があることを示唆していました。こうした状況下では、多くの家族が非常に深刻な急性栄養不良に陥り、死亡率さえも高くなっています。また、他の5つの郡(アコボ、アウェイル南、トンジ東、トンジ北、トンジ南)では、いくつかのコミュニティが壊滅的な状況に直面していることが、独立分析で明らかになりました。
本日の報告書によると、2021年には、生後6カ月から5歳までの約140万人の子どもたちが急性栄養不良に陥り、命を守る治療を必要とすると予測されています。この中には、重度の急性栄養不良に苦しむ子ども31万3,000人と、中度の急性栄養不良の子ども100万人以上が含まれています。同時に、48万3,000人の妊娠中または授乳中の女性も急性栄養不良で治療を必要としています。
ユニセフは、子どもたちの命を守るために、最も被害を受けている郡の治療センターや安定化センターへの支援をさらに拡大していきます。今年、ユニセフはすでに重度の急性栄養不良の子ども17万人に治療を行い、回復率は94%に達しています。重度の急性栄養不良の治療のためには、治安状況の悪い地域を含め、さらなるサービスの拡大が急務です。ユニセフは、栄養不良の根本的な原因であるマラリアや下痢性疾患などを引き起こす、清潔な水の不足や衛生環境の欠如に引き続き取り組み、母乳育児や適切な栄養を摂取できる幼児期の食事の促進によって、栄養不良の予防に投資していきます。
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