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日本ユニセフ協会
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エボラ出血熱ワクチン
世界的な備蓄体制を構築 ユニセフ、WHOなどが発表

【2021年1月12日  ニューヨーク/ジュネーブ発】

国際保健・人道分野で活動するユニセフ(国連児童基金)、世界保健機関(WHO)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、国境なき医師団(MSF)の4組織は、将来的なエボラ出血熱の流行に対応するため、世界的なエボラワクチンの備蓄体制を構築することを本日発表しました。

リスクの高い人のためにワクチンを迅速に確保

母親がエボラ出血熱の治療を受けている間、マンジナにあるユニセフが支援する保育所で世話してもらう赤ちゃん。(コンゴ民主共和国、2020年1月撮影)

© UNICEF/UNI312451/Brown

母親がエボラ出血熱の治療を受けている間、マンジナにあるユニセフが支援する保育所で世話してもらう赤ちゃん。(コンゴ民主共和国、2020年1月撮影)

この取り組みは、4組織が参加するワクチン提供に関する国際調整グループ(ICG)が主導し、GAVIアライアンスの財政支援を受けて進められてきました。この備蓄によって、エボラが発生した際に各国はリスクの高い人々のためのワクチンを迅速に確保でき、将来の感染拡大を食い止めることができるようになります。

単回投与の注射可能なエボラワクチン(rVSV∆G-ZEBOV-GP、生ワクチン)は、Merck, Sharp & Dohme (MSD) Corp.が製造し、米国政府からの財政支援を受けて開発されました。欧州医薬品審査庁が2019年11月に承認したほか、現在はWHOによる品質承認を受け、米国食品医薬品局およびアフリカ8カ国からも承認されています。

このワクチンは、承認前にも、ギニアや2018~2020年の発生時のコンゴ民主共和国で、35万人以上に対してコンパッショネート・ユース(compassionate use)として投与されていました。

病気の発生時には、備えが鍵

ワクチンの在庫や保管状況を確認するユニセフの保健スタッフ。(コンゴ民主共和国、2020年6月撮影)

© UNICEF/UNI340383/Desjardins

ワクチンの在庫や保管状況を確認するユニセフの保健スタッフ。(コンゴ民主共和国、2020年6月撮影)

ユニセフは、備蓄ワクチンの配分や出荷の決定機関となるICGを代表し、その備蓄体制の管理を担います。備蓄ワクチンはスイスに保管されており、緊急事態が起きた際には当該国からの要請を受けて48時間以内に配分の決定が行われ、決定後48時間以内に製造会社が超低温輸送用の梱包をして出荷する準備を整えます。備蓄ワクチンが各国に届くまでの配送期間は、全体で7日間を目標としています。

ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは、「今後起こりうるエボラ出血熱の発生を迅速に抑制するための前例のない取り組みに参加できたことを誇りに思います」と述べました。「私たちは、病気の発生時には、備えが鍵となることを知っています。今回のエボラワクチンの備蓄は素晴らしい成果であり、ワクチンを最も必要としている人々に可能な限り迅速にワクチンを届けることが可能になります」

今回のエボラワクチンは、医療従事者や最前線で働く人々を含む、エボラに感染するリスクが最も高い人々を守るために、発生時の対応用に確保されるものです。エボラ出血熱の発生は比較的稀で予測不可能なため、エボラワクチンの市場はありません。ワクチンは備蓄体制の確立によってのみ確保され、その数量は限られています。現在、6,890回分が使用可能ですが、今後備蓄量を増やしていきます。

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