メニューをスキップ
日本ユニセフ協会
HOME > ニュースバックナンバー2021年 >

困難な中でも、確実に支援を届ける
2020年、ユニセフから世界の子どもたちへ
命と健康、未来を守るために

【2021年1月29日  コペンハーゲン(デンマーク)発】

2020年10月、南米の拠点に届いた、新型コロナウイルス感染症対応のための個人用防護具など保健分野の支援物資の内容を確認する、ユニセフのスタッフ。

©UNICEF/UNI390188/Serra

2020年10月、南米の拠点に届いた、新型コロナウイルス感染症対応のための個人用防護具など保健分野の支援物資の内容を確認する、ユニセフのスタッフ。

1年前の2020年1月29日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応のための最初の支援物資が、コペンハーゲン(デンマーク)のユニセフ物資供給センターから輸送されました。

ウイルス感染が拡大し、各国がロックダウンの措置をとる中、世界は数週間のうちに一変しました。世界は、過去何世代もの間で最大の危機に直面しています。かつてない変化に対応するには、前例のない行動が必要です。

都市の封鎖、飛行機の休航、国際輸送の制限、救命物資の不足など数々の困難に直面する中、ユニセフは最も弱い立場にある人々に支援を届ける方法を模索し、その実施に奮闘しました。

この記事では、未曽有の危機に見舞われた2020年、ユニセフが世界の子どもたちの安全と健康を守り、学びの継続を支援するために届けた支援物資の一例をご紹介します。

約5億点の個人用防護具
最前線で働く医療従事者を守る

バングラデシュの病院で看護師の統括をしているアバさん(55歳)。2020年5月にコロナウイルスに感染しましたが、幸運なことに回復し、6月には仕事に復帰して患者を診ています。

©UNICEF/UN0391027/Himu

バングラデシュの病院で看護師の統括をしているアバさん(55歳)。2020年5月にコロナウイルスに感染しましたが、幸運なことに回復し、6月には仕事に復帰して患者を診ています。

パンデミック対応の最前線に立つ医療従事者を感染から守るために、医療用マスクやガウンなどの個人用防護具(PPE)の調達と供給は、最重要事項の一つでした。

ユニセフは、2020年1月15日から12月31日までの間に、5億点近くの個人用防護具を世界各地に供給しました。内訳は、約2億枚の医療用マスク、1億9,500万枚の手袋、1,490万枚のN95マスク、570万枚の医療用ガウン、100万枚のゴーグル、270万枚のフェイスシールドなどです。

ユニセフは、個人用防護具(PPE)の物資を最も必要としている医師、助産師、看護師などの元に確実に届けることで、第一線で働く医療従事者を感染症から守ることに尽力しました。そのことが、新生児ケアや子どもの予防接種など、重要な保健医療サービスを安全に継続することにもつながります。

1歳のマルセロくんに定期予防接種のワクチンを接種する、保健員。新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、ユニセフ支援物資の個人用防護具を身につけている。(ベネズエラ、2020年7月)

©UNICEF/UNI347496/Urdaneta

1歳のマルセロくんに定期予防接種のワクチンを接種する、保健員。新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、ユニセフ支援物資の個人用防護具を身につけている。(ベネズエラ、2020年7月)

 

子どもたちが学び続けるために
スクール・イン・ア・ボックス(箱の中の学校)13万セット

ユニセフの支援物資がサイクロン被災地域に届いた様子 (フィジー、2020年12月)

©UNICEF/UN0384335/Stephen/Infinity Images

ユニセフの支援物資がサイクロン被災地域に届いた様子 (フィジー、2020年12月)

2020年、ユニセフはスクール・イン・ア・ボックス(箱の中の学校)13万セットを、危機下に置かれた世界各地の学校現場に提供しました。生徒40人分と教師用の教材・学用品が含まれているスクール・イン・ア・ボックスは、緊急事態下でも子どもたちの学びの継続を支える教育支援物資です。

学校は、災害の影響を受けた子どもたちに、安全な場所と日常を提供します。ユニセフは、緊急事態発生から72時間以内に命を守る支援物資を被災地に届けていますが、そうした緊急物資には、どこでも教室が開ける「スクール・イン・ア・ボックス」も含まれています。子どもたちは、安全が確保された教室に行くことで、日常の感覚を取り戻すことができるようになり、そうした時間は心の傷を和らげるために重要な役割を果たします。

サイクロン「Yasa(ヤサ)」によって損壊した学校の図書室と、被災した子どもたち。(フィジー、2020年12月)

©UNICEF/UN0396379/Stephen/Infinity Images

サイクロン「Yasa(ヤサ)」によって損壊した学校の図書室と、被災した子どもたち。(フィジー、2020年12月)

 

「本も、えんぴつも、全部なくなってしまったの。何もないのに、どうやって学校に行けばいいの?今の私にできることは、壊されたものを眺めることだけです。」

ヴァセヴァ、12歳、フィジー

ヴァセヴァさん(12歳)が暮らすフィジーの小さな島は、2020年12月にフィジーを襲ったカテゴリー5の熱帯性サイクロン「Yasa(ヤサ)」によって甚大な被害を受けました。フィジーは過去1年で2度にわたり大規模なサイクロンの被害を受けており、4月にもサイクロン「Harold(ハロルド)」が、太平洋島地域の一部に大きな被害をもたらしていました。

フィジーのサイクロンで被災した学校で、スクール・イン・ア・ボックスと防水シートを教師に手渡す、ユニセフのスタッフ。

©UNICEF/UN0399060/Sharma

フィジーのサイクロンで被災した学校で、スクール・イン・ア・ボックスと防水シートを教師に手渡す、ユニセフのスタッフ。

「とても怖かったわ。家族で学校に避難して、じっと隠れていたの。お母さんにしがみついて、ずっと泣いていました」と、ヴァセヴァさんは、熱帯性サイクロン「Yasa(ヤサ)」が村を襲った夜のことを語ります。

ユニセフは、サイクロン「ヤサ」の影響を受けた子どもたちとその家族を支援するために、テント、防水シート、スクール・イン・ア・ボックス、レクリエーション・キットなどの支援物資を提供し、子どもたちが教室に戻り、日常に戻れるように支援しました。

予防可能な病気から、子どもたちを守るために
8億回以上のポリオワクチン

ポリオの予防接種を受けているナジブちゃん。

©UNICEF/UNI325806/Abdul

ポリオの予防接種を受けている、生後2カ月のナジブちゃん。

ユニセフは毎年、世界の5歳未満児のほぼ半数に、命を守るワクチンを届けています。

しかし、多くの国で新型コロナウイルス感染予防のためのロックダウンが行われ、定期的な予防接種サービスが中断されたため、子どもたちは、ワクチンで予防可能な病気により命を奪われるリスクに晒されています。2020年5月中旬までに、少なくとも68カ国で定期予防接種サービスが中断され、50以上の予防接種キャンペーンが延期となりました。

こうした困難の中でも、ユニセフは、子どもたちを守るための支援をあきらめませんでした。2020年末までに、ユニセフは8億回以上のポリオワクチンを世界各地に届けました。ポリオ(小児麻痺)は、ポリオウイルスによってもたらされ、感染すると足や腕に麻痺が生じます。しかし、たった数滴のワクチンがあれば、予防することができるのです。

ウガンダのナジブちゃんもワクチンによってポリオから守られている子どもたちの一人です。

「私の子どもには、ポリオのような病気にかかってほしくない。予防接種を受けていない子どもは、免疫がなくて弱り、栄養も摂れず、病気にかかってしまいます。」

ナジブちゃんの母親、エンジェルさん

予防接種を受けた生後2カ月のナジブちゃん。

©UNICEF/UNI325806/Abdul

予防接種を受けたナジブちゃんと母親のエンジェルさん。

子どもたちに定期予防接種を受けさせるために、徒歩で1時間かけて保健センターまでくる保護者もいます。

「他の保護者にも、子どもをここに連れて来て、予防接種を受けさせるよう助言しています。車がないことは分かっていますが、早い時間に家を出てゆっくり歩けば、保健センターにたどり着くことができます」とエンジェルさんは言います。

イエメンの人道危機への対応
1億780万ドル相当の支援物資

支援物資を受けとる子どもたち(イエメン、2020年4月19日)

©UNICEF/UNI343269

支援物資を受けとる子どもたち(イエメン、2020年4月19日)

人道危機下で、最も重い代償を払うのは、いつも子どもたちです。必要な支援を確実に子どもたちに届けることは、ユニセフの緊急支援の重要事項です。

世界最悪の人道危機が今なお続くイエメンでは、1,200万人以上の子どもたちが人道支援を必要としており、長引く紛争により保健システムは崩壊の危機に瀕しています。

「イエメンの子どもたちは、命を脅かす無数の脅威に直面し続けています。コレラの蔓延、栄養不良、通常であればワクチンで予防できる感染症の発生、さらに新型コロナによる影響が、子どもたちと家族が直面している困難をさらに悪化させています」と、ユニセフ・イエメン事務所代表のサラ・ベイソロー・ニャンティは述べました。

ユニセフは2020年に、ワクチン、個人用防護具、医療用品を含む1億780万ドル相当の支援物資を、イエメンに向けての子どもたちと家族を支援するために供給しました。

遠隔地における医療を支える
16,795 台の酸素濃縮器

ユニセフが世界各地に輸送した酸素濃縮器

©UNICEF/UNI370592/Vishwanathan

ユニセフが世界各地に輸送した酸素濃縮器

新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対応して、ユニセフは16,000台以上の酸素濃縮器を危機の影響を受けた低所得国・中低所得国に輸送しました。

酸素療法を利用できることは、重症化した新型コロナ患者の命を救う可能性につながります。しかし、多くの国では、地域の保健センターや地域の病院で酸素が利用できることはほとんどありません。

そこで酸素濃縮器の出番です。ユニセフが輸送したポータブル版の酸素濃縮器は、サイズがスーツケース程で、特に酸素プラントや酸素ガスボンベの配送ネットワークが存在しない遠隔地では最良の選択肢の一つとなります。費用対効果の高いこの機器は、取り込んだ空気から窒素を除去し、自発呼吸が困難な患者のために継続的に酸素を供給することができます。

ユニセフは2020年7月、ペルーの先住民コミュニティの危機対応に取り組むペルー保健省に協力し、40台の酸素濃縮器を供給しました。それらは、アマゾナス、ロレート、ウカヤリ地域の地元の保健センターに配布されました。

「これらの酸素濃縮装置は、アマゾンの地域の中でも、酸素プラントの設置や酸素ボンベの安定した供給が不可能な、最も遠隔地にあるコミュニティに届くことになります。これらの濃縮装置は、それらのコミュニティにとって技術的な代替手段となります」と、ペルーの元保健大臣であるビクトル・ザモラ氏は語りました。

ペルーのリマにある政府の倉庫に届いた40台の酸素濃縮器を確認するユニセフのスタッフ(2020年7月7日)

©UNICEF/UNI360561/Lanza

ペルーのリマにある政府の倉庫に届いた40台の酸素濃縮器を確認するユニセフのスタッフ(2020年7月7日)

【関連動画】

シェアする


トップページへ先頭に戻る