【2021年5月17日 ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)事務局長のヘンリエッタ・フォアは、6月に開催されるG7サミットに向けて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの余剰分をCOVAXに提供するよう呼び掛ける以下の声明を発表しました。
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© UNICEF/UN0458596/Singh |
新型コロナワクチンの公平な分配を目指す国際的枠組みCOVAXファシリティが届けるワクチンは、近日中に累計で6,500万回分となります。しかし本来であれば、少なくとも1億7,000万回分が見込まれていました。COVID-19の第2波の猛威は、インドや南アジアの近隣諸国の多くで続くと見られ、来月、G7各国のリーダーたちが英国に集まる頃には、不足分は1億9,000万回分近くになると予測されています。
ワクチン生産の世界的な拠点であるインドの状況がもたらす世界的な影響として、COVAXを通じて供給されるワクチンの数が大幅に減少しています。インド国内の需要が急増したため、5月末までに中・低所得国に配布される予定だった1億4,000万回分のワクチンがCOVAXに供給されずにいます。6月にはさらに5,000万回分のワクチンが供給されない可能性があります。これに加えて、ワクチン・ナショナリズム、限られた生産能力、資金不足のために、COVAXによるワクチン展開が予定よりも遅れているのです。
© UNICEF/UN0446565/Upadhayay |
英国ユニセフ協会の委託を受け、英国の生命科学情報分析企業であるエアフィニティ社が提供した新たなデータ分析によると、G7メンバー国と、EU(欧州連合)とその加盟国がパートナー諸国によるパンデミックの対応を支援するために立ち上げた「チーム・ヨーロッパ」が、6月、7月、8月の間に利用可能な新型コロナワクチン供給量のわずか20%を分け合えば、約1億5,300万回分のワクチンを寄付することができるとしています。重要なのは、各国が自国の国民にワクチンを接種するという義務を果たしながら、これを実現できるということです。
G7メンバー国の中でも、供給量がより多い国や、国内での展開がより進んでいる国もありますが、余剰分を出し合い、責任を共有することを直ちに共同で確約することで、脆弱な国々で次の感染爆発が起こらないよう支えることができます。
ウイルスが広がれば広がるほど、より致死率の高い、あるいは伝染性の高い変異種が出現する危険性が高まります。子どもたちが負う代償は計り知れません。このパンデミックから抜け出すための確かな道筋は、ワクチン、検査薬、治療薬を世界規模で公平に分配することです。COVAXは、その道筋を示しています。
補足:
新型コロナワクチン不足数は、インド血清研究所(SII)からの出荷に関連する遅延のみに基づく数字です。COVAXによる当初のワクチン納入予定に関するその他の遅延は、6月末までに解消される見込みです。SII関連の遅れを解消するための日程的な見込みは現在のところ不明です。
エアフィニティ社の分析は、すぐに入手可能な新型コロナワクチンの数量に基づき、G7メンバー国に割り当てられるワクチン供給量の予測データを利用して作成されています。この供給予測は、承認されたワクチン候補の製造業者と各国との間の既存の取引に基づいており、第3相臨床試験中のワクチン候補を含むと明記されているものは除いています。1億5,300万本という数字は、すべてのG7メンバー国が2021年6月、7月、8月に利用可能な供給量の20%を寄付した場合の合計で、ノババックス社を除いています。(ノババックス社に影響する供給制限が予想されるため)
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