【2021年5月27日 ゴマ(コンゴ民主共和国)発】
コンゴ民主共和国のニーラゴンゴ火山の噴火が再び起こる危険性があるとして、ゴマ市内の一部地域に避難勧告が出される中、ユニセフ(国連児童基金)は、28万人の子どもを含む最大40万人が避難を余儀なくされ、保護あるいは支援を必要とする可能性があると警鐘を鳴らしています。
© UNICEF/UN0466151/Acland |
ユニセフは、ゴマ東部の危険区域で暮らす人々を、噴火に伴う危険から守ろうとする政府の努力を歓迎するとともに、非常に多くの人々が一斉に避難するにあたって、子どもたちがより大きなリスクに晒される可能性があることを警告しています。
「短期間に大勢の人々が避難すると、子どもたちへの危険性が高まります」と、ユニセフ・コンゴ民主共和国代表、エドゥアルド・ベイグベデルは警鐘を鳴らします。「私たちは、避難する子どもたちが直面する緊急のリスクに警戒しなければなりません。保護の課題、栄養のリスク、特にコレラの蔓延や、水を媒介して広がる病気といった健康上のリスクなどです」
ゴマから避難してきた何千人もの人々は、ゴマの北西25kmに位置するサケという町に向かっています。この地域はコレラが発生しやすく、感染疑いのある患者が過去2週間で少なくとも19人報告されています。
「コレラ流行の危険性が高まっており、子どもたちにとっての大惨事を回避するために、国際社会に緊急の支援を求めています」とベイグベデルは述べています。
© UNICEF/UN0468280/Ndebo |
ニーラゴンゴ火山が5月22日に噴火した後、数千人の人々がゴマから避難し、その多くがサケに向かいました。さらに5月27日、ゴマ市の東部の危険区域に指定された10の地区の住民に、直ちに自宅から避難するようにとの避難命令が出されたことで、さらに多くの人々が避難者となっています。危険区域は、再び噴火が起こった場合に最も危険と考えられる地域です。
噴火の直接的な影響により、3人の子どもを含む少なくとも32人が死亡し、40人が行方不明になっています。
壊滅的な被害が生じた噴火の初日に混乱の中で親と離れ離れになった1,000人近くの子どもたちの身元が現在確認され、ユニセフは700人近くの子どもたちを家族と再会させるための支援を行いました。
さらに142人の子どもたちは臨時の里親家庭に預けられ、78人が一時保護センターに預けられています。しかし痛ましいことに、170世帯以上が未だに行方不明になった子どもたちを探しています。ユニセフは、今回の大規模な避難で生じる混乱によって、さらに多くの子どもたちが家族と離れ離れになってしまうことを懸念しています。
© UNICEF/UN0466754/Benekire |
この危機に対応するため、ユニセフは水容器や防水シートなどの支援物資を手配しているほか、極めて重要な水と衛生設備も提供しています。また、人々が無料のショートメッセージで閲覧できる火山関連の情報提供センターの設置も進められています。この火山情報センターは、噴火にまつわる誤った情報に対処する上で重要な役割を果たしており、これまでに5,200人以上が利用しています。
水と衛生、子どもの保護、教育、保健・医療、コミュニティ開発、栄養など重要な分野で、支援ニーズ調査が実施されましたが、いずれも資金不足が深刻です。
ユニセフは、特に保健と栄養の分野でコンゴ民主共和国政府と緊密に協力しています。
■ 補足:ユニセフの対応
・水と衛生/コレラ対応など
ユニセフとパートナーは、コレラ感染に対する積極的な監視を強化し、公共の水場での浄水を確実に実施するともに、Bushara貯水池の被害によって影響を受けている地域にトラックで水の輸送を行いました。
ユニセフは、安全な水を必要としている10万人のために、浄水剤やバケツなどの支援物資の備蓄を、サケに輸送しています。また、ユニセフの即応チームはパートナーとともに、脆弱な家庭に物資や水と衛生キットを配布する準備をしています。
・子どもの保護
ユニセフは、北キブ州社会局(DIVAS)やパートナーと協力して、同伴者のいない子どもたちの身元確認、支援、家族の追跡を直ちに開始しました。増え続ける子どもたちを受け入れるために、仮設の宿泊センターを支援しています。
・緊急対応能力
計270万米ドル分の緊急物資がゴマに事前備蓄されており、現在の緊急支援に用いることができますが、部分的に追加補充する必要もあります。さらに、ユニセフには、緊急対応、水と衛生、子どもの保護、教育、保健、栄養の分野で、緊急時に直ちに協働して支援を実施するパートナーが複数います。
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