メニューをスキップ
日本ユニセフ協会
HOME > ニュースバックナンバー2021年 >

エチオピア・ティグライ州
食料不足で子ども3万3,000人が命の危機 紛争被害により危機悪化

【2021年6月14日  ニューヨーク発】

ユニセフ(国連児童基金)事務局著のヘンリエッタ・フォアは、エチオピア・ティグライ州での深刻な栄養危機を受け、以下の声明を発表しました。

* * *

子ども3万3,000人が命の危機

ティグライ州にある保健センターで、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする栄養不良の1歳の赤ちゃん。(2021年6月7日撮影)

© UNICEF/UN0475530/

ティグライ州にある保健センターで、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする栄養不良の1歳の赤ちゃん。(2021年6月7日撮影)

エチオピアのティグライ州のアクセス困難な地域では、少なくとも3万3,000人の子どもたちが重度の栄養不良に陥っており、ただちに支援を行えなければ命を落とす危険があります。

エチオピア北部では、これらの子どもたちを含む220万人が深刻な食料不足に陥っており、そのうちティグライ州の少なくとも14万人は、すでに飢きんに匹敵する状況(総合的食料安全保障レベル分類-IPCフェーズ5:大惨事)に直面しています。先月だけでも、重度の急性栄養不良の治療のために入院した子どもの数(1週間あたり)が4倍に増加しました。ユニセフは、ティグライ州では今年5万6,000人の5歳未満児が重度の急性栄養不良で治療を必要とすると推定していますが、これはこの地域の年間平均症例数の約6倍にあたります。妊娠中や授乳中の女性の栄養不良率は常に40%を超えており、新生児とその母親の命を脅かしています。

生存に欠かせないシステムやサービスへの被害も

上腕計測メジャーを使って栄養不良の検査を受ける下痢性疾患のある1歳のメセレトちゃん。(エチオピア、2021年6月7日撮影)

© UNICEF/UN0475532/

上腕計測メジャーを使って栄養不良の検査を受ける下痢性疾患のある1歳のメセレトちゃん。(エチオピア、2021年6月7日撮影)

さらにこの地域では、こうした栄養危機だけでなく、子どもたちの生存に欠かせないシステムやサービスへの甚大な被害も発生しています。支援を届けるために移動する保健・栄養チームが攻撃されたり、嫌がらせを受けたりしています。保健施設は略奪や損傷の被害を受け、必要なワクチン接種も停止しています。多くの保健・医療従事者が仕事に戻れず、給水インフラが破壊され、安全な飲み水が極端に不足しています。

このような状況は、病気の発生を招き、栄養不良の子どもたちが命を落とす危険性をさらに高めます。避難してきた子どもたちや家族を受け入れている場所は、過密で不衛生な環境であるため、特に病気の感染に晒されやすくなっています。

そして、今後数カ月の間に食料不安の深刻化が予測されるため、もし作物が植えられない場合は特に、現在の悲惨な状況がさらに壊滅的になる可能性があります。

敵対行為の即時停止を

母親に抱かれる栄養不良の生後6カ月のカルキダンちゃん。(エチオピア、2021年6月7日撮影)

© UNICEF/UN0475514/

母親に抱かれる栄養不良の生後6カ月のカルキダンちゃん。(エチオピア、2021年6月7日撮影)

ユニセフは、このような事態を防ぐためにあらゆる努力をしています。ユニセフの目標は、地域のすべての子どもたちに、重要な保健、栄養、水、衛生、教育、保護のサービスを届けることです。これには、重度の栄養不良の子どもたちが手遅れになる前に救命治療を受けられるよう、パートナーと協力して取り組むことも含まれます。

しかし、子どもたちのための重要な支援プログラムを今後数カ月間にわたって拡大し、必要としているすべての家族に届けるためには、ドナーによる資金支援の強化が緊急に必要です。

また、飢きんの拡大を防ぎ、必要としている人々に支援の手を差し伸べるためには、紛争当事者が、ユニセフをはじめとする人道的関係者に、制限のない安全な人道的アクセスを保証することが不可欠です。さらに、紛争当事者には、子どもたちを危険から守り、市民や、保健・医療施設や水施設などの生活インフラへの攻撃をやめる義務があります。

この地域の子どもたちとその家族が安全に命を守る支援を受け、生活を再建できるようにするためには、何よりも敵対行為の即時停止が必要です。

【関連動画】

シェアする


トップページへ先頭に戻る