【2021年7月5日 サヌア(イエメン)発】
ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した報告書は、紛争が始まって6年が経過したイエメンで、現在も続く壊滅的なこの紛争の最大の犠牲のひとつが子どもたちの教育であると指摘しています。
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貧困、紛争、機会の欠如が教育を妨げ、現在、就学年齢の子ども200万人強が学校に通えていません。これは、紛争が始まった2015年に学校に通っていなかった子どもの数の2倍にあたります。
報告書「絶たれた教育:紛争がイエメンの子どもたちの教育に及ぼした影響(原題:Education Disrupted: Impact of the conflict on children's education in Yemen)」では、学校に通えなくなった子どもたちが直面するリスクと課題、そして子どもたちを守るために必要な緊急の行動について考察しています。
「質の高い教育へのアクセスは、女の子、避難民、障がいのある子どもを含むすべての子どもがもつ基本的な権利です。紛争は子どもたちの生活のあらゆる側面に多大な影響を与えていますが、教育へのアクセスは、最も絶望的な状況にある子どもたちにも日常の感覚をもたらし、さまざまな搾取から子どもたちを守ります。子どもたちを学校に通わせることは、彼ら自身の未来とイエメンの未来のために非常に重要です」と、ユニセフ・イエメン事務所代表のフィリップ・ドゥアメルは述べました。
© UNICEF/UN0460333/Al-Basha |
報告書では、子どもたちが学校に通っていない場合、彼らの現在と未来の両方に悲惨な結果をもたらすことが強調されています。
女の子は早期の結婚を余儀なくされ、その結果、貧しく自分の能力を発揮することができないという負の連鎖に陥ります。男の子も女の子も、児童労働を強いられたり、戦闘に参加させられたりする危険性が高くなります。イエメンでは、過去6年間に3,600人以上の子どもたちが徴兵・徴用されました。
さらに悪いことに、イエメンの教師の3分の2、合計17万人以上の教師が、紛争のために4年以上も定期的な給与を受け取っていません。給与をもらえない教師が家族を養うために教師の仕事を辞めてしまうことで、さらに約400万人の子どもたちが教育の中断や退学の危機に晒されます。
© UNICEF/UN0459558/Marish |
教育を修了できない子どもたちは、永続的な貧困の連鎖に陥ってしまいます。学校に通っていない子どもたちや最近中退した子どもたちは、適切な支援を受けられなければ、二度と学校に戻ることができないかもしれません。
長引く紛争と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による教育への影響が重なって、イエメンの子どもや若者の学習と心身の幸福に、壊滅的で長期的な影響が及ぶとみられています。
報告書の中でユニセフは、イエメンのすべての関係者に、子どもたちの教育を受ける権利を守り、永続的で包括的な平和を実現するために協力することを呼びかけています。これには、2015年3月以降231件に及んだ学校への攻撃を止め、子どもたちが学び成長し続けられるよう、教師が定期的な収入を得られるようにすることや、国際社会による長期的な資金提供によって教育プログラムを支援することなどが含まれます。
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