【2021年7月7日 ニューヨーク/ジュネーブ発】
ユニセフ(国連児童基金)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、本日共同で発表した報告書の中で、多くの国で女性は差別によって出生登録を妨げられ、その結果子どもが無国籍になる危険性があると指摘しました。
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報告書『出生登録における性差別(原題:Sex Discrimination in Birth Registration)』は、そのような障壁は出生登録を行う際の法律や文化的規範の中に存在することを明らかにしています。
いくつかの国では、父親や他の男性の家族が子どもの出生届を出す法的責任を負っており、母親が出生届を出すことができるのは例外的な状況下でのみとされています。もし父親が出生登録をしなければ、子どもは登録されないままになる可能性があります。
また、子どもの誕生に立ち会った医師、助産師、部族長等が、出生届を出す権利を持つコミュニティメンバーのリストの中で母親よりも優先されている場合もあります。
さらに、母親が子どもの出生を登録する法的権利を持つためには、子どもが婚姻関係で生まれたことを証明できるかどうかが重要であり、通常、結婚証明書が必要となる国もあります。
© UNICEF/UN0376732/Esiebo |
ユニセフのデータによると、現在、5歳未満の子どもの4人に1人が出生時に登録されていません。また、登録されていても、登録を証明するものを持っていない場合もあります。現在、全世界で2億3,700万人もの5歳未満児が出生証明書を持っていないと推定されています。
出生証明書は、子どもが生まれた国と両親の身元を証明することで、子どもが国籍を取得する資格があることを証明するものです。
ユニセフの子ども保護部門アソシエイト・ディレクターのコーネリアス・ウィリアムズは、「子どもの健康と福祉を守るためには、すべての子どもが出生時に登録されることが重要です。出生証明書がないと、子どもは無国籍になり、保健・医療や教育などの重要なサービスから除外されるリスクが高まります。私たちの分析で明らかになったのは、女性が男性と同等に子どもの出生を登録することを差別によって妨げられないように、世界各国の政府が緊急に行動を起こすべきであるということです」と述べました。
© UNICEF/UN0418190/Vincent Tremeau |
また報告書では、ギニア、南スーダン、モザンビーク、ネパールなど、さまざまな国が市民登録法の改革に取り組み、女性にも出生登録の平等な権利を与えていることも示されています。
今回の報告書では、出生登録のプロセスから差別をなくすために、各国が取ることのできる措置を提言しています。これには、母親の権利を支援し、出生登録の重要性に対する理解を深めるための法改正や、女性、家族、コミュニティへの啓発などが含まれます。
補足:
史上最も広く批准されている人権条約である「子どもの権利条約」では、子どもの基本的権利の中に出生登録が含まれています。 同様に、「女子差別撤廃条約」は、子どもの国籍付与に関して、女性に男性と同等の権利を与えることを各国に求めています。しかし、子どもの無国籍状態は依然として世界的な問題であり、どの国の国民としても認められない家族が何世代にもわたって存在することになりかねません。
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