【2021年7月27日 ティンプー(ブータン)発】
ブータンで人口の90%が新型コロナワクチン接種を完了したことを受け、ユニセフ(国連児童基金)・ブータン事務所代表のウィル・パークスは下記の声明を発表しました。
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© UNICEF/UN0493010/Pelden |
ユニセフ・ブータン事務所は、ブータン政府が全国的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種キャンペーンの第2回目を完了させたことを歓迎します。政府の素晴らしい努力の結果、国内の対象者の90%がワクチン接種を受けました。家庭での接種は7月31日まで続けられ、今後数週間で接種率はさらに上昇すると見られます。
7月20日から26日にかけて、2,401人の保健員が全国で2回目のワクチン接種を行いましたが、これは間違いなくパンデミック時に実施された予防接種キャンペーンの中で最も迅速に展開されたものと言えるでしょう。ブータンが緻密さも求められる大規模な予防接種キャンペーンを1週間以内で実施したことは、驚くべき成果です。
この成功は主に、保健員のトレーニングやキャンペーンの事前周知を含め、2回目の新型コロナワクチンを確保するための努力と国内のあらゆる資源を活用したワクチン展開に向けた周到な準備によるものです。
© UNICEF/UN0493012/Pelden |
特にブータン政府は、すべての対象者グループにアプローチするために惜しみない努力をしました。保健員たちはコミュニティセンターでのワクチン接種のほか、高齢者や障がい者の自宅を訪問して接種を行い、また山を登って高地に住む遊牧民のところにもワクチンを届けました。南部の国境沿いの危険性の高い地域に住む12~17歳の子どもたちも新型コロナワクチンを接種しています。
COVID-19のパンデミックによって人々が壊滅的な打撃を受けている中、ブータンは今、希望の光となっています。このような困難な時期に、政府、国や地域の指導者、若者、開発パートナーの総力を結集できたことが、ブータンの大きな飛躍につながっています。
ユニセフとパートナーは、ブータン政府によるコールドチェーンシステムの強化を支援してきました。また、ブータンへのワクチンや注射器の迅速な輸送のための物流支援も行いました。これには、米国からワクチンを輸送するためのチャーター便の手配や、民間便によるその他のワクチン輸送の拡大などが含まれます。8台の大型保冷庫と2台の超低温冷凍庫を確保して全国に設置したり、広報・啓発活動を支援したりするなど、ユニセフのノウハウは急速で大規模な予防接種キャンペーンの準備に大きな役割を果たしました。
© UNICEF/UN0488726/Pelden |
ブータンのワクチン接種活動の成功は、二国間および多国間で確保されたワクチンの寄付がいかにして命を守り救うことができるかを示す力強い事例となります。2週間前、ブータンはCOVAXを通じて、米国政府から寄付された50万回分の新型コロナワクチンを受け取りました。今年の初めには、COVAXを通じて5,850回分のファイザー製ワクチンも受け取りました。その他、中国、デンマーク、インドからも寄付がありました。本日、さらに多くの新型コロナワクチンがブルガリアとクロアチアからパロに到着しました。
ブータンでの成功の一方で、COVID-19のパンデミックは、ブータンにとっても、近隣諸国にとっても、そして世界にとっても、まだ終わっていないことを忘れてはなりません。人との距離を保つこと、石けんを使った手洗い、マスクの着用などの公衆衛生安全対策は依然として重要です。
ワクチンはパンデミックを終息させるのに役立ちますが、それは誰もがワクチンを受けられる場合に限られます。世界保健機関(WHO)が発表した最新の公式データによると、南アジアでは400万人もの保健員がまだ十分なワクチン接種を受けていません。ユニセフは、ワクチン接種率の低さや感染率の急上昇に悩む国々が、命を救うために切実に必要としているワクチンを入手できるように、ワクチンを十分に保有する国々に対し、新型コロナワクチンを公平に分配するための国際的なイニシアティブであるCOVAXに引き続き寄付するよう強く求めています。
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