【2021年8月22日 アンマン(ヨルダン)発】
中東・北アフリカ地域に住む子どもたちの10人のうち9人近くが、水ストレス*の高い、あるいは極めて高い地域で生活しており、健康、栄養、認知的発達、将来の生活に深刻な影響を受けています。同地域は、世界で最も水不足の地域であると言われています。
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世界で最も水ストレスの高い17カ国のうち、11カ国がこの地域にあります。ユニセフ(国連児童基金)の新しい報告書『枯渇していく水:中東・北アフリカ地域の子どもたちに水不足が与える影響(原題:Running Dry: The Impact of Water Scarcity on Children in the Middle East and North Africa)』によると、この地域では約6,600万人が基本的な衛生設備を持っておらず、下水が適切に処理されている割合は非常に低いとされています。
世界水週間に際して発表された本報告書では、中東・北アフリカ地域における水不足の背景にある主な要因として、農業需要の増加や帯水層を利用した灌漑農地の拡大などが挙げられています。世界全体では、水使用量の平均70%を農業が占めていますが、この地域においては80%を超えています。また、さらなる要因としては、特にシリア、イエメン、スーダンでの紛争、農村部から都市部への移住、人口増加、不適切な水管理、水インフラの劣化、管理・運営の問題などが挙げられます。
ユニセフ・中東・北アフリカ地域事務所副代表のバートランド・バインベルは「水不足は、子どもたちやその家族に健康や栄養面で深刻な影響を与えています。また、紛争や人々の移動の原因にもなっています」と述べました。「このような状況下で、紛争の当事者たちが水インフラを標的にすることは、ますます受け入れることができません。水インフラへの攻撃は止めなければなりません」
© UNICEF/UN0486562/Hayyan |
紛争や地域の経済・政情不安により、トラック輸送を含む非常用水源への需要が高まり、地下水はどんどん枯渇しています。
水不足の唯一の原因ではありませんが、気候変動によって農業に必要な雨が少なくなり、塩水が淡水の帯水層に移動したり、汚染濃度が高まったりすることで、蓄えている淡水の質が低下しています。
ユニセフ・中東・北アフリカ地域事務所水と衛生アドバイザーのクリス・コーメンシーは「この地域の多くの国では、子どもたちは学校に行ったり、友達と一緒に遊んだり学んだりする代わりに、水を汲むためだけに長距離を歩かなければならないことが増えています」と述べています。
© UNICEF/UN0403214/Abdalkarim |
ユニセフは、現地パートナー、政府、市民社会、民間部門に対し、中東・北アフリカ地域における水源の脆弱性に対応する以下の取り組みを支援します。
*水ストレス:一定期間の利用可能な水量に対して、水の需要がかなりの割合を占める場合や、水質の低さにより水の利用が制限される場合に発生する。
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