【2021年9月7日 ポルトープランスハイチ/パナマシティ発】
ユニセフ(国連児童基金)は、ハイチに住む80万人の子どもたちを含む160万人の人道支援ニーズに応えるため、1億2,220万米ドル資金支援を緊急に求めています。今回の新たな資金要請は、今年初めにハイチでの活動のために要請した当初の緊急資金の約3倍にあたります。
© UNICEF/UN0512061/Crickx |
ユニセフ・ハイチ事務所代表のブルーノ・マースは「ハイチは近年で最も複雑な人道危機の一つに直面しています」と述べました。「ハイチの子どもたちは、地震発生前から、栄養不良率の高さ、ギャングによる暴力からの避難、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による二次的影響などに苦しんでいました。しかし今、ハイチの子どもたちの人道支援ニーズは、家や学校、水や保健施設へのアクセスなど、家族全員がすべてを失ったことで、これまで以上に深刻なものとなっています。私たちがどれだけの人道支援を、どれだけ早く提供できるかで、多くの人の命が左右されます」
2021年8月14日、マグニチュード7.2の地震が、南西部の南(Sud)県、グランダンス(Grand'Anse)県、ニップ(Nippes)県を襲い、8月16日の熱帯性低気圧「グレース」による豪雨が、さらに被害を拡大させました。2,200人以上が死亡、1万2,200人が負傷、13万棟の家屋が倒壊し、何千人もの人々が緊急支援を必要としています。7月7日にジョブネル・モイーズ大統領が暗殺されたり、ギャングによる暴力が激化したことで1万9,000人が避難し、150万人が影響を受けたりするなど、国が不安定な状態にある中、これらの災害がハイチを襲いました。
2021年3月に発表された「人道ニーズ概要」(HNO)では、440万人が食料不安に陥り、21万7,000人の子どもたちが急性栄養不良に苦しんでおり、120万人の子どもたちと40万人の妊婦や10代の女の子を含む295万人が緊急の保健・医療ケアを必要としていると推定されています。今回の地震の影響により、こういった脆弱性がさらに悪化することが予想されます。
© UNICEF/UN0511432/Crickx |
ユニセフの優先課題は、以下の緊急ニーズに対応することです。
「ハイチでは9月に学校が始まりますが、地震の被害を受けた地域において、何千人もの子どもたちが教育を再開することは大きな挑戦となります。現地にいるユニセフのチームは、教育省と協力して、仮設の学習スペースを設置するために大急ぎで作業を進めています。子どもたちや教師は、設備や教材、これまでのトラウマを克服するための心理社会的支援を必要としています」(マース)
地震発生当初、ユニセフは南部の主な病院に必要不可欠な医療物資を届け、3万人の人々に2カ月間対応できるよう支援しました。また、すでに10万8,000人以上の被災した女性や子どもたちに、きれいな水や衛生用品を提供しています。
今年ユニセフは、ハイチでの地震に対する緊急支援活動を拡大するために、総額1億2,220万米ドルの資金を必要としています。しかし、これまでに確保できた資金は、その32%に届きません。
© UNICEF/UN0504695/Rouzier |
ユニセフは、パートナーやハイチ政府とともに、今回の地震で被災したコミュニティや、全国の厳しい状況にある人々に対して、以下の人道支援を計画しています。
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。ハイチの地震で被災した子どもたちを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるために、ご協力をお願い申し上げます。
【関連ページ】
シェアする