【2021年10月5日 カブール(アフガニスタン)発】
2日間にわたるヘラート訪問を経て、ユニセフ(国連児童基金)・アフガニスタン事務所代表のエルヴェ・ルドヴィック・ド・リスと国連世界食糧計画(国連WFP)・アフガニスタン事務所代表のメアリー・エレン・マクグロアーティは、栄養不良と食料不安がアフガニスタン全土に広がっているという深刻な状況に警鐘を鳴らしました。水や食料を手に入れることができない上、基本的な保健・栄養サービスを受けることができない中で、アフガニスタンの子どもたちとその家族は、長年の紛争と現在起きている経済危機の矢面に立たされています。
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アフガニスタンでは1,400万人が深刻な食料不安に直面しており、年末までに320万人の5歳未満児が急性栄養不良に陥ると推定されています。このうち少なくとも100万人の子どもたちが、すぐに治療を受けることができなければ、重度の急性栄養不良のために命を落とす危険性があります。
両代表は、1歳半になる娘がヘラート地域病院で重度の急性栄養不良の治療を受けている母親、ジャハン・ビビに話を聞きました。彼女は、娘を母乳で育てることができなくなり、病院へ連れていきました。「家には食べ物がありません。あらゆるものを売って食べ物を買っていますが、私はほとんど何も食べられません。私は弱ってしまい、子どもにあげるミルクすらありません」
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冬が早足で近づいている中、安全な水や保健・栄養サービスを受けられないアフガニスタンの家族を支援することは、時間との闘いでもあります。
「食卓に料理を並べるのに苦労する家庭が増えるにつれ、母親とその子どもたちの栄養状態は日に日に悪くなっています。子どもたちはますます病気にかかりやすくなり、家族は必要な治療を受けさせることができなくなっています。はしかや急性水様性下痢症の感染急拡大は、状況を悪化させるだけでしょう」(ド・リス)
国連WFPの調査によると、アフガニスタンでは95%の世帯が十分な食料を消費しておらず、子どもたちに食べさせるために、おとなは食事の量を減らしたり、食事を抜いたりしています。
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ド・リスとマクグロアーティは、ユニセフと国連WFPの支援を受けた移動式の保健・栄養チームが、女性や子どもたちの命を守るサービスを提供している国内避難民の居住区も訪れました。両機関は、さらに100の移動式の保健・栄養チームを追加する予定です。すでに168のチームが、支援の届きにくい地域に住む子どもや母親に、ライフラインとなる支援を提供しています。
ユニセフは今年、21万人以上の重度の急性栄養不良の子どもたちへの命を守る治療を支援しています。また、子どもたちのための、すぐに食べられる栄養治療食4万2,000人分以上、治療用ミルク5,200人分が、過去8週間にわたって、ユニセフのパートナーたちの元に届けられました。国連WFPは、2021年初頭より870万人に命を守る食料・栄養支援を行い、約40万人の妊娠中・授乳中の女性と79万人の5歳未満児に栄養不良の治療・予防策を施しました。9月だけで、約400万人に支援が届きました。
世界中で起きている紛争や武力衝突、感染症の流行など人道危機に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「人道危機緊急募金」を受け付けております。アフガニスタンの子どもたちを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるために、ご協力をお願い申し上げます。
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