2022年3月22日ダカール(セネガル)発
セネガルのダカールで開催されている「第9回世界水フォーラム」にて本日発表された、ユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)の水と衛生に関する共同監査プログラム(JMP)による報告書は、アフリカでの水と衛生に関する持続可能な開発目標(SDGs)の達成のためには、同分野における進捗速度を劇的に加速することが必要だと指摘しました。
アフリカで4億人以上、飲料水得られず
この報告書では、水不足と脆弱な衛生・保健サービスが平和と発展を脅かしかねないアフリカ大陸において、緊急に行動を起こすことの必要性が呼びかけられています。
2000年から2020年の間に、アフリカの人口は8億人から13億人に増加しました。本報告書によると、約5億人が基本的な飲料水を、2億9,000万人が基本的な衛生設備(トイレ)を利用できるようになりました。
しかし、アフリカ大陸ではいまだに、4億1,100万人が基本的なレベルの飲料水を得られず、7億7,900万人が基本的なトイレを利用できず(そのうち2億800万人は野外排泄をしている)、8億3,900万人が基本的な手洗い設備を利用できずにいます。
アフリカでSDGsの目標を達成するには、安全に管理された飲料水に関しては現在の12倍、安全に管理されたトイレに関しては20倍、基本的な手洗い設備に関しては42倍のスピードで前進させていく必要があると報告されています。
安全な水への公平なアクセスを
ユニセフ・西部・中部アフリカ地域事務所代表のマリー・ピエール・ポワリエは次のように述べています。
「飲料水、トイレ、手洗い設備への公平なアクセスは、子どもたちやコミュニティの健康と発展の基礎となるだけではありません。
水は命であり、発展であり、そして平和を意味するのです。水不足が紛争の火種となり、水源地が狙われている今、ユニセフは緊急の行動を求めています。
特に、学校にトイレがないことや、水を汲みに行かなければならないことが原因で学校を休まなくてはいけない女の子たちのために、学校で水・トイレ・手洗い設備を整えることが必要です。女性や子どもが、安全に水を利用できなければなりません」
都市と農村の間、地域間、富裕層と貧困層の間など、国内の大きな不平等も根強く残っています。安全に管理された飲料水にアクセスできない人は、都市部で5人に2人、農村部では5人に4人です。安全に管理されたトイレを利用できない人は、都市部で3人に2人、農村部では4人に3人であり、基本的な手洗い設備を利用できない人は、都市部で人口の半分、農村部で10人に7人です。
より良い水・衛生・保健衛生を
ユニセフは世界100カ国以上で緊急時も含めて活動し、農村部と都市部の両方で、安全な水と適切なトイレを利用できるようにし、基本的な衛生習慣を促進するための支援を行っています。
人道的状況において命を守る支援を提供する傍ら、学校や保健医療施設と直接協力して、こうしたサービスへのアクセスを改善し、子どもたちにとってより良い、水・衛生・保健衛生を実現しています。
3月21日から26日にかけて、ユニセフを含む多くのパートナーの支援を受けて初めてサハラ以南のアフリカで開催される「第9回世界水フォーラム」は、アフリカ大陸全域で2030年までに水と衛生へのアクセスを改善するための解決策を見出すために、水に関するコミュニティや意思決定者向けの独自のプラットフォームを提供することを目指しています。