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日本ユニセフ協会

プレスリリース

子どもに対する武力紛争下の権利侵害
15年間で26万6,000件以上発生 2005年以降その数は年々増加

2022年6月28日ニューヨーク/ジュネーブ

ユニセフ(国連児童基金)が本日発表した新しい報告書によると、国連は、2005年から2020年の間に、アフリカ、アジア、中東、ラテンアメリカで起こった30以上の紛争において、紛争当事者による子どもへの重大な権利侵害を26万6,000件以上確認しました。

紛争を生き延びる子どもたち

ダマスカス郊外で、紛争により破壊された自宅の跡を見つめる11歳のアミナさん。(シリア、2022年2月撮影)

© UNICEF/UN0603133/Belal
ダマスカス郊外で、紛争により破壊された自宅の跡を見つめる11歳のアミナさん。(シリア、2022年2月撮影)

この数字は発生している侵害行為のごく一部に過ぎず、実際の件数はもっと多いと思われます。武力紛争下における子どもへの重大な権利侵害の報告、記録、確認は、アクセスやセキュリティの制約、そして紛争を生き延びた子どもたちやその家族が被る恥辱、痛み、恐怖によって妨げられてしまうことが多いのです。

本報告書『子どもと武力紛争の25年(原題:25 years of children and armed conflict)』によると、2005年から2020年の間に、10万4,100人以上の子どもが武力紛争下で死傷し、9万3,000人以上の子どもが紛争当事者によって徴兵および徴用されたことが確認されています。また、紛争当事者によって誘拐された子どもは少なくとも2万5,700人、レイプ、強制結婚、性的搾取、その他の重大な性暴力を受けた子どもは少なくとも1万4,200人に上ります。

国連は、2005年以降、学校や病院に対する攻撃1万3,900件以上、子どもたちへの人道的アクセスの妨害を少なくとも1万4,900件確認しています。

武力紛争下の権利侵害

不発弾を踏み片足を失い、カブールの小児科病棟で治療を受ける11歳の男の子。(アフガニスタン、2022年1月撮影)

© UNICEF/UN0649523/Sicuro
不発弾を踏み片足を失い、カブールの小児科病棟で治療を受ける11歳の男の子。(アフガニスタン、2022年1月撮影)

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、「国際社会が武力紛争下における重大な権利侵害から子どもたちを守ることができていないという事実を、本報告書は非常に端的に明らかにしています。重大な侵害行為は、子どもたちやその家族、そしてコミュニティに甚大な悪影響を与え、社会構造を壊し、平和、安全、安定の回復と維持をさらに困難なものにしています。紛争下における子どもへの侵害行為は、起こって当然のことでは決してないのです」と述べました。

本報告書は、子どもと武力紛争に関する国連事務総長年次報告書の16年分のデータに基づき、世界各地で起こった重大な権利侵害の長期間の傾向を示すことで、武力紛争が子どもたちに与えた影響を明らかにしています。2005年以降、確認された侵害行為の年間発生件数は徐々に増加しています。2014年に初めて年間2万件を超え、2020年には2万6,425件に達しました。2016年から2020年の間の発生件数を平均すると、1日あたり71件という驚異的な数字となりました。

本報告書は、多くの子どもたちが複数の侵害行為に苦しみ、より厳しい状況に置かれていることを指摘しています。例えば、誘拐は、特に徴兵や徴用、性暴力などにつながりやすく、同時に複数の侵害行為が起こる恐れがあります。誘拐された子どもたち、そして紛争当事者に関係している子どもたち(特に女の子)は、レイプ、性的搾取、強制結婚などの性暴力のリスクが高まります。

持続的に子どもを保護

東部のイトゥリ州ブニアの病院のベッドで横になる女の子。ナタで手を切り落とされ、治療を受けた。保護者がおらず身元も分からない。(コンゴ民主共和国、2022年2月撮影)

© UNICEF/UN0594337/O'Reilly
東部のイトゥリ州ブニアの病院のベッドで横になる女の子。ナタで手を切り落とされ、治療を受けた。保護者がおらず身元も分からない。(コンゴ民主共和国、2022年2月撮影)

また、子どもへの重大な権利侵害は、国家主体であろうと非国家主体であろうと、すべての紛争当事者によって行われていることが判明しました。2016年から2020年の間、国家主体の紛争当事者(国内および国際的な軍や連合を含む)によって行われた侵害行為は全体の少なくとも26%でしたが、これに対し、非国家主体の紛争当事者によって行われた侵害行為は、全体の約58%に達しました。子どもへの侵害行為をなくし、防止するためには、非国家主体を含むすべての紛争当事者への関与が重要であることが浮き彫りになっています。

本報告書が指摘しているその他の内容は、以下の通りです。

  • 難民、国内避難民、先住民の子どもたちなど、貧しい環境で暮らす子どもたちや特定の立場や特徴を持つ子どもたちは、依然として深刻な侵害行為のリスクが最も高い。
  • 入手可能な性別データによると、2020年には、子どもの犠牲者の73%が男の子だった。徴兵および徴用された85%、誘拐された76%、死傷者の70%が男の子というように、侵害行為の大半を男の子が占めていた。一方で、女の子は子どもの犠牲者の26%を占めており、またレイプやあらゆる形態の性暴力の被害に遭った子どもの98%を占めていた。
  • 2016年から2020年の間、確認された子どもの犠牲者の79%、つまり約4万1,900人の子どもが、わずか5つの紛争において発生した:アフガニスタン(30%)、イスラエル・パレスチナ(14%)、シリア(13%)、イエメン(13%)、ソマリア(9%)。
  • 2020年だけでも、爆弾と爆発性戦争残存物(ERW)は、子どもが死傷した原因の少なくとも47%を占め、3,900人以上の子どもが被害に遭った。

本報告書はその提言を通じて、紛争当事者、国家、国連安全保障理事会を含むすべての関係者を動員して、効果的かつ持続的に子どもたちを保護し、コミュニティ、国、地域、世界レベルでの行動を加速させることを目指しており、以下についての提言を示しています。

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