2022年8月1日モントリオール(カナダ)/ニューヨーク/ジュネーブ発
このたび発表された「UNAIDS Global AIDS Update 2022」のデータによると、世界で、HIVとともに生きる子どものうち、命を守るための治療を受けているのはわずか半数(52%)で、4分の3(76%)が抗レトロウイルス薬治療を投与されているおとなの水準に大きく遅れをとっていることが明らかになりました。
2030年までのHIV取り組み強化
子どもたちのための進捗の停滞と、子どもとおとなの間の格差の拡大を懸念し、ユニセフ(国連児童基金)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、世界保健機関(WHO)およびパートナーは、2030年までに、すべてのHIVとともに生きる子どもが治療を受けられるようにし、新たな乳児のHIV感染を防止するため、「2030年までに子どものエイズをなくすための新たな国際同盟(The new Global Alliance for Ending AIDS in Children by 2030)」を発足することを、カナダのモントリオールで開催された国際エイズ会議において発表しました。
この同盟には、国連機関に加え、HIVとともに生きる人々のグローバルネットワークを含む市民社会、最も影響を受ける国々の政府、そして米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)やグローバル・ファンドなどの国際的なパートナーが参加しています。第1期では次の12カ国も同盟に参加しています。(アンゴラ、カメルーン、コートジボワール、コンゴ民主共和国(DRC)、ケニア、モザンビーク、ナイジェリア、南アフリカ、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ)
本同盟による協議によって特定された、共同で行動していくための4つの柱は以下の通りです。
- HIVとともに生きる妊娠中および授乳中の10代の女の子や女性の治療格差を解消し、治療の継続性を最大限高める
- 妊娠中および授乳中の10代の女の子および女性の間の新たなHIV感染を予防・発見する
- HIVに感染し、HIVとともに生きる乳児、子ども、若者のための利用しやすい検査、最適な治療、包括的ケアを促進する
- 権利、ジェンダー平等、およびサービスへのアクセスを妨げる社会的・構造的障壁に対処する
子どもをHIVから守るために
レソトのリンポ・ンテコさんは、国際エイズ会議で講演し、21歳のときに第一子を妊娠し、HIV陽性であることが判明した経緯を語りました。このことがきっかけで、彼女は現在、女性主導の先駆的なプログラムであるmothers2mothersプログラムのために働くようになりました。彼女は、コミュニティのリーダーシップを発揮することが、効果的な対応策の鍵となると強調しました。
「2030年までに子どもたちのエイズをなくすために、みんなで力を合わせなければなりません。そして、成功するためには、健康で十分な情報を持った若い世代が、HIVについて気軽に話し、自分や自分の子どもをHIVから守るために必要なサービスや支援を受けられるようになることが必要です。mothers2mothersは、プログラムを通じて8年連続でHIVの母子感染の事実上の撲滅を達成しており、女性やコミュニティが自分たちの現実に合った解決策を生み出すことで、何を実現できるかを示しています」(ンテコ)
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、「HIVの母子感染の減少、検査と治療の増加、情報へのアクセスの拡大などの進展にもかかわらず、世界中の子どもたちは、HIVの予防、ケア、治療サービスを受けられる可能性がおとなよりもはるかに低いのです。ユニセフは、エイズのない未来を実現するために、すべてのパートナーとともに取り組んでいきます」と述べました。