メニューをスキップ
日本ユニセフ協会

お知らせ

CFCIの取り組みを検討している自治体へ
実践自治体とのQ&A形式の説明会を開催しました

2022年10月18日東京

2021年12月より、ユニセフ日本型CFCI実践自治体として承認された5つの自治体(ニセコ町、安平町、富谷市、町田市、奈良市)が子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)の実践を行っています。こうした状況で、子どもの権利を包括的に定めたこども基本法が成立し、2023年4月にはこども家庭庁が発足することが決定されました。そして、CFCIに関心を示す自治体も少しずつ増えてきたことから、今後CFCIに取り組むことを検討している新規に関心の8つの自治体の参加を得て、CFCI実践自治体がそうした新規関心自治体からの質問に答えるQ&A形式の説明会を開催しました。

新規関心自治体からは積極的に質問が寄せられ、CFCI実践自治体の担当者から、実際の事業や実践に基づく意見等、具体的で丁寧な回答が寄せられました。自治体同士が情報や意見交換ができるネットワークの場としても有意義な時間であったことが、参加の自治体から寄せられています。このQ&A説明会が今後CFCIに取り組むようなきっかけになったことを期待します。

寄せられた質問と回答の一部を紹介します。※掲載順不同

CFCIへの参加の経緯や実施状況について

Q. CFCIに参加した経緯について教えてください。

多くの自治体で、これまで独自に進めてきた事業を、ユニセフの基準に基づいてより良いものにしていくためにCFCIに参加したことが話されました。

ニセコ町まちづくり基本条例に子どものまちづくり参加を規定し、20年近く事業を行ってきた。一定の成果があった一方、子どもの声を聞きっぱなしだったり、ただ参加しているだけになったりする面もあった。子どものまちづくり参加の内容を深める必要性を感じていたところに、本事業の検証作業に参加した。2年間の準備期間に様々な勉強をさせていただいて今に至る。 安平町:現町長が教育次長時代に参加した「こども環境学会」でこの取り組みを知った。合併により安平町ができた時から独自に取り組んできた、子どもにやさしいまちづくりを、よりきちんとした形にしていきたいと考え参加した。検証自治体になった直後に胆振東部地震が起こり、改めて、町を明るくするためにも子どもたちへの改革が大切である認識が高まった。
奈良市:「奈良市子どもにやさしいまちづくり条例」を制定し、「奈良市子ども会議」等子どもの意見表明や参画に市を挙げて取り組んできた背景から、CFCIの検証作業に参加した。CFCIは子どもにやさしいまちづくりに関する取り組みを世界各国が一律の基準で評価する取り組みであり、本市としては、是非とも取り組むべきものだと判断した。 町田市:子ども憲章を作った時から子どもの意見を尊重する動きはあった。それを具体化するために、子どもの意見を取り入れながら、大型の児童館(子どもセンター)を整備してきた。そういう下地があった中で、本事業の検証作業を経て実践自治体となった。
富谷市:子どもが多いまちとして、昔から子どもたちをまちの宝として育んできた歴史があったが、自分が生まれ育ったまちに愛着を持ってもらうために子どものまちづくり参画について模索していた。2017年にCFCIの作業部会に参加したのがきっかけとなって本事業に参加している。

Q. 総合計画や子どもの権利に関する計画を策定されていると思いますが、CFCI事業とこれらの計画に係る審議会等での事業の検証、評価等はそれぞれどのようにされているでしょうか。

5つの自治体とも、少しずつ総合計画や関連計画の中にCFCIを位置付けています。現状ではCFCIを自治体の事業の中に反映しようとしており、CFCIへの参加を機に少しずつ条例づくりを進めている自治体もあります。CFCI自体の評価は、独自のチェックリストで行われていますが、CFCIに取り組むことで事業評価に子どもの意見が取り入れられるなど、既存の事業評価にも新しい視点として加えられています。

安平町:CFCIについて総合計画には載せているが、具体的なものではないため、来年度以降の後期計画に反映させていく予定。子ども子育て支援計画には、基本理念として「子どもにやさしいまちづくり」を掲げていることに加え、具体的な事業項目にも反映させている。それぞれの事業が子どもたちに与える影響については、全庁横断的にプロセスを確保して評価を行っている。今後は担当の教育委員会だけでなく、全課に渡ってそれぞれの立場で検証し、計画に反映できるような取り組みを行っていきたい。 奈良市:平成27年に子ども・子育て支援法第61条に基づく「奈良市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、現在117の子ども・子育てに関する事業の進捗管理を行っている。事業計画は、個々の事業の取り組み状況を具体的なKPIにより進捗管理するものだが、CFCIは行政活動の中の「手続き」や「視点」について、子どもにやさしいまちの構成要素として評価している。同じ取り組みを評価するとしても、事業計画とCFCIでは切り口が異なると考えており、現在はその両方を活用して取り組んでいる。
富谷市:全庁で取り組む位置づけとして、令和3年度から後期基本計画の新たな視点としてCFCIを加えた。審議会には、中学生がオブザーバー参加しており、子どもの意見反映に努めている。第二期子ども子育て支援事業計画の中に、CFCIの10番目の構成要素として富谷市が設定した「富谷市子どもにやさしいまちづくり宣言」について掲載しており、その中の5つの柱を具体的に評価していくことに努めている。今まで全庁的ではなかった子どもの意見を聞くことやそれを市政に反映する仕組みについては、チェックリストを使って評価しながら多くの気づきが与えられている。 ニセコ町:総合計画その他の計画の中で、子どもの視点を大切にするということはすでに意識されているが、現時点で具体的な計画として明記されていないため、今後の見直しの中で検討していく。実施体制は、全管理職が集まる課長会議など、既存の枠組みを活用して整えている。CFCIの評価軸となるチェックリストは、それぞれの自治体で評価指標を設定できるのがいい部分。小さな自治体ではできることにも限界があり、無理な指標を目標にするのは現実的に難しいが、自治体ごとにしっかり指標を設定してそれに対する取り組み状況を評価できるので、どんな規模の自治体でも取り組みやすいと思う。
町田市:実行計画(五カ年計画が22年からスタート)と子ども政策の基本計画(子どもマスタープラン)で、CFC Iについて取り上げており、施策・事業レベルで取り組んでいる。既存の計画の中で進捗管理を行っているものもあるため、CFCIの項目とそのままリンクしないものもあるが、個別の事業もそれぞれの計画の中に組み込まれている。自治体の事業評価とCFCIのチェックリストに基づく評価は別に行っている。

Q.CFCI実践自治体になるにあたって始めた新規事業や、活用財源について教えください。

先行自治体は、既に独自に進めていた事業を核にCFCIを推進しています。実践自治体になるにあたって新規事業を立ち上げるまでは至ってませんが、CFCIに取り組んだことで、庁内の体制づくりや意識改革につながったという声が聞かれました。予算については、CFCI関連予算として事業ごとに確保されています。

安平町:子どもたちに有効な対応ができるように、成長段階に応じた学びを確保するために体制を整えるなどの、付随した事業を行っている。事業の実施にあたっては、CFCIに特別に予算をつけているということではないが、地方創生交付金などを使ったり、子どもの意見を聞いて道路整備を行う等、個々の事業における予算は確保している。 町田市:現在、「子どもにやさしいまち条例」の策定に取り組んでいる。CFCI実践自治体となったことで全庁的な取り組みが進み、条例づくりにも影響を与えていると思う。CFCIとしての特定財源は確保されていないが、こども家庭庁設立等に関連して財政的な補助金が出てくる可能性も含め注視している。
ニセコ町:新規に開始した事業や特別に確保している予算はないが、取り組みの過程での学びを個別の事業に反映することや、進行管理をきちんと行うことを心がけていて、実行段階では全体の職員の研修も行っている。 奈良市:CFCI自治体になるにあたって始めた新規事業は特にない。CFCIの評価については、全10項目で構成されたチェックリストにより、毎年行っている。各項目の評価結果から、どの項目において施策・事業の整備が必要なのかを分析し、CFCIの推進につなげていきたい。
富谷市:2年間の検証作業中に、2018年11月「子どもにやさしいまちづくり宣言」、2019年5月「子どものためのスポーツ宣言」、同年8月には「富谷市職員CFCI研修会」を実施。2019年11月から「富谷市わくわく子どもミーティング」を実施している。一方、チェックリストに照らすと、令和2年度は「子どもに関する予算」の評価が5段階のうち2。予算について全庁的な仕組みづくりが必要という各課からの意見(令和3年度の評価)を踏まえ、今後全庁的な仕組みづくりについて検討をしていく段階に入った。

Q. 「子どもの意見表明」(参画・意見反映)に関して具体的な取り組みについて内容を教えてください。

全ての自治体で、子どもの意見表明について特徴的な様々な取り組みが行われています。

ニセコ町:
【子ども議会】実際の議会形式で子どもが議員役になり、一般質問の形式(一問一答)で子どもから意見をもらうもの。子どもならではの意見が出ることもあるし、夢のような(実現が難しい)意見が出ることもあるが、まず聴くことが大切。一問一答形式だと、ディスカッションになりづらいことが課題。
【子どもまちづくり委員会】まちが行っている施策について学んだり、ワークショップを通して提言したりする取り組み。今年度は、北海道新幹線開通(2023年度予定)に伴い、地域の交通体系が大きく変化するので、未来の交通体系に期待することや心配なことをテーマに活動をしている。
富谷市:
【とみやわくわく子どもミーティング】を子どもの意見を直接聴く機会としている。この場で出た意見について、すぐできることは担当課が対応している。
その他、事業ごとに子どもたちの意見を聞く機会を設けている。例えば、都市整備課が、市内の通学路にある橋げたの色を塗り替えるときに子どもたちに意見を聴取した。教育委員会が学習用に小中学生1人に1台配布しているタブレットを使って、子どもたちに意見聴取し、色を決定した。子育て支援課では、子ども子育て支援事業計画を立てる中で、子どもたちへアンケートを行うなど。
安平町:
現状では、子どもの意見表明についての制度はもっていないが、事業ベースで適した形で意見を聞いている。
【義務教育学校の建設】学校の再建の計画が進んでいるので、事業レベルで子どもたちにアンケートをたくさん実施。保護者が持っているアプリに質問を送ることで意見をもらいやすいように工夫している。
奈良市:
【奈良市子ども会議】「子どもにやさしいまちづくり条例」に基づき、子どもが意見を表明する場として設置・運営している。会議に参加する子どもたちが話し合い、出された意見をまとめ、市長や教育長へ提出する。単に要望を上げるだけでなく、提案実現のために「自分たちは何ができるか」についても子どもたち自身で考え、提案の実施につなげているため、庁内でも提案を実現するための体制を構築し、庁内で子どもの意見表明を支援している。
町田市:
【若者が語る会】子どもが普段どんなことを感じているか、どんな意見をもっているかを、直営の児童館で市長と意見交換する会。
【市民参加型事業評価】高校生も評価人に加え、町田市の事業の有効性や実行状況を高校生の立場でチェックする取り組み。
【MSP(町田総合プロジェクト)】高校生世代のグループに意見を聞きたい、協働したいという時にマッチングして、子どもの参画を得て一緒に事業を進める常設的なプロジェクト。政策分野を問わず、すべての部署に開かれている。
【市内高校との連携】現在、全国の高校で探求学習が科目化され、子どもたち自らが課題設定をして学びを深めるという自発的な探求学習が進められていることを踏まえ、市内の高校と連携して、探求学習の時間における子ども意見表明や参画を新たに進めている。
 

 

取り組み後の変化や評価について

Q. CFCIに取り組むことのメリットやデメリットについて教えてください。

他部署からの理解を得て協力体制をつくることや、ある程度追加の時間と作業工数の確保に苦労された自治体が多いですが、その過程を通じて横断的な庁内連携の体制が整ったり、新しい視点が得られたことによるメリットの大きさを強調されていました。また、CFCIのネットワークが、自治体同士の意見交換、情報交換の場として有効であることに言及された自治体もあります。

富谷市:子どもの権利条約を基礎にし、「子どもにやさしいまちづくりをすることは、みんなにもやさしいまち」になるということを基本としている。本事業に取り組むことで、市民に自治についての理解が求められることに加え、市民からの信頼も得られる。これまで、行政の中で子どもの意見を聞いたり、子どもの視点に立ったりすることはあまりなかったが、この事業によって子どもの意見をまちづくりに反映でき、その過程で様々な気づきを得られたことは非常に良かった点。子どもたちがまちに愛着をもてるように、ずっと住み続けるまちになることを目指している。
「子ども」というタイトルがついていると、一般的には「子ども施策」をイメージする中で、全庁を巻き込むことには非常に苦労した。また、国が規定しているものではないので、職員のモチベーションを高めるのは難しかった。しかし、全庁で取り組むことの重要性を繰り返し説明してきたことで、少しずつ浸透してきたと思う。
町田市:こういう場で、他の自治体の取り組みを知ることができることや、世界的に認められているプロジェクトに参加している部分を市内外にPRができるというところは大きなメリット。
全庁的に取り組む事業として、他の部署を動かしていくことは難しいところだが、価値のある取り組みであることを他部署にPRできることはメリットでもある。「子どものことは関係ない」と考える他部署の巻き込みは簡単ではないが、継続的に取り組む必要がある点であり、この事業の特徴。自治体というのは、個別の計画や既存のPDCAサイクルをもっているので、どの部署もある程度、現状の事業に満足している傾向があり、既に子どものこともきちんと考えている、という反応がくるのが一般的。その中で、新しい取り組みによってメリットが追加されるという部分を理解してもらうのが難しい点。
安平町:まちづくり条例や参画条例によって、以前から町民から声を聞く体制にはなっていたが、CFCIの取り組みによって子どもからの声を聞くようになり、これまでとは全く違う視点からの意見がもらえハッとすることも多い。特に、震災後に学校再建を急いでいたため、当初子どもの声を聞くことにまで考えが及ばなかったが、子どもたちが自ら声を挙げにくることもあり取り組みが進んだ。子どもの声を再建に反映できたことで、子どもの声を聞くことの重要性を認識できたことはメリットだと考えている。
子どもたちにお願いするのは大変な部分もあるが、工夫すれば問題点にはならない。そう考えると実際にはデメリットはないと考える。新しい取り組みなのではじめは苦労もあったが、職員の中にも子育て中の者も多数おり、庁内連携体制づくりは徐々に浸透している。一見難しいと考えられるところも、行く行くはメリットになっていくと考える。
奈良市:CFCIは、個々の「事業」だけではなく、「手続き」や「視点」などを含む組織運営全体を通して、子どもにやさしいまちづくりの状況を評価するため、一過性ではない継続的な取り組みが可能になると思う。また、担当者の感覚によらず、取り組みが十分でない領域を明確化できるツールである。本市においては、CFCIにより子どもや子どもの権利の視点からあらゆる行政活動の評価を行うことは、本市が制定する「子どもにやさしいまちづくり条例」が適切に運用されているかを確認することそのものであり、今後この取り組みが条例の適切な運用を補強し、推進すると考えている。
CFCIの取り組みを実践していくには、相応の時間と作業工数が必要となるため、体制を確保する必要はあると思う。
ニセコ町:まちづくり基本条例に基づいてこれまでもさまざまな施策は行ってきていたが、小規模自治体は人的にも財政的にも難しいところがあり、本格的に取り組むことは難しかった。CFCIへ参画することによって、改めてきちんと取り組む機会になったことはメリット。これまでやってきたことを後押し、裏打ちしてくれる事業であり、参加できてありがたかった。
検証作業の過程で、関係部署からの協力を得たり、時間・人手をかけたりするところは負担にはなってくるが、行く行くは子どもにかえっていくので、そのことはとても大切なことだと思っている。

Q. 市民や関係者、関係機関からの評価やCFCI取り組み後の変化について教えてください。

市民団体が積極的に関連の動きを始めている他、「子どもにやさしいまちづくり事業」についての視察受け入れや問合せ等、外からの関心が寄せられたり、ネットワークが広がっているというお話が多く聞かれました。年少人口、子育て世帯の増加が見られる自治体も出てきています。

ニセコ町:特に新しい評価を得ているわけではないが、実施する中で、子どものことを大切にしていることが伝えられるように意識している。CFCI実践自治体になった際の覚書の調印式も、子どもの目の前で行ったが、そういう取り組みを通して、子どもたちに、ニセコ町は子どものことを本気で考えている、ということを伝えたいと思っている。外部からは、子どもにやさしいまちづくりについて勉強したいという視察の受け入れがあったり、こども家庭庁準備室との意見交換の場に出席させてもらったりと、ネットワークが増え、非常に勉強になっている。 富谷市:子どもにやさしいまちづくり宣言フォーラムを行った後に、市民が賛同し、積極的に関連の取り組みを始める団体も出てきている。住み続けたい街ランキングで上位になったこともCFCIに対する評価の一つと捉えている。毎年、富谷市に転入して1年未満の子育て中の方を集めたウェルカムパーティーを子育て支援センターで実施している。市長、副市長も参加して車座になって行われたが、参加者の自己紹介の中で、CFCIを行い子ども施策、子育て支援に力を入れている部分が、転入先を決める指標になっているというご意見をいただいた。
町田市:市民へのヒアリングやアンケ―ト調査は実施していないが、22年からの5カ年計画にも載っている通り、年少人口の転入超過が政令指定都市を除いて全国上位という状況が近年続いている。CFCIの取り組みに対する評価の一つであると捉えている。 奈良市:CFCIは子どもにやさしいまちづくりに関する世界的な取り組み。それを実践することによって、本市の活動に対して客観的な評価が与えられていると思う。
安平町:一つひとつの事業を行う際に、CFCIの町だからこそ進めるべき、という発言が議員等からも増えてきた。また、子どもたちの意見を取り入れながら現在再建を進めている義務教育学校と並びCFCIの照会も多くなってきている。移住したい、子育てをしたいという問い合わせも増えている。直接的な要因はわからない部分もあるが、CFCIの取り組みはそういった変化にはつながっていると思う。

連携体制やこども基本法との関連について

Q. お話をうかがい、子ども部局や教育部局だけで進めるのではなく、保健、福祉、教育、さらには住宅政策等も一緒に連携していく必要性を感じました。庁内会議や他の課との調整について教えてください。

庁内連携に関しては、新しく連携会議を立ち上げた自治体と、既存の会議体を活用して推進している自治体があります。子どもに直接の関連が薄い部署との連携に苦労されている自治体もありますが、事業の継続や地道な取り組みによって、少しずつ庁内の理解が進んでいることが話されました。

富谷市:総合的、長期的な協議を行う場として「推進庁内連携会議」を立ち上げてCFCIを進めてきたが、推進に向けた具体的内容について協議をするための場として、「子どもにやさしいまちづくり推進に関する会議」を新たに設置した。子どもも市民の一人という考え方を都度、各課にお話ししていくと、視点を変えてもらったり、子どもの意見を事業ごとに聞いていこうという意識が浸透してきたりといった手ごたえを感じている。現在、CFCIの実践行動計画を作成中なので、完成次第全課に周知し、一層の理解の促進に努めたい。 安平町:総合的な体制としては、庁内会議(理事者+各課長クラス)がCFCIについての決定の場になっている。新人職員、各課の担当者、管理職などに向けた研修会や勉強会を行う中で、横断的な関係作りや安平町が掲げる大きな考え方、理念としてのCFCIについての浸透に努めている。町長は、機会があるごとにCFCIに力を入れていくと話をしているので、各課の取り組みとCFCIを関連付けて考えることができれば、予算を獲得しやすくなってきていると思う。
ニセコ町:子ども施策の司令塔として教育委員会の中にこども未来課を設置し、CFCIも担当している。小さな町なので、庁内全体が把握しやすい状態だと思うが、CFCIに参画することで、横の連携をつなぐためのしくみができたことは良かった。将来的にはそれぞれの課から自主的に、子どもに関することを相談してもらえるような体制になっていくといいと思う。 奈良市:従来から子ども・子育てに関する事業実施において、分野横断的な取り組みを行ってきた。CFCIの取組の中では特に、他課との連携によって「子どもにやさしいまちづくり」に対する現在の取り組み状況を評価し、評価結果に対して継続的なPDCAサイクルを回すことで、「子どもにやさしいまちづくり」に向けた継続的な取り組みを実現している。
町田市:子どもの意見を聞く機会はこれまでもさまざまな場面であり、そのたびに各課から相談が来ていたため、子どもに関しての連携はこれまでもとれていたと考えている。一方で、全庁的に「子どもにやさしいまち」を意識しながら、各分野との連携を進めるには、継続して周知をしていくことが必要だと思うので、その点では途上。再来年度に向けて、子どもにやさしいまちづくりに特化した全庁的な会議体の設置を進めている。CFCIを市の大きな考え方として大きく掲げ、それに基づいて、庁内も市民も一丸となって実現に取り組んでいきたい。

Q. こども基本法と各自治体の例規との関連性について教えてください。

子どもの権利を包括的に保障する法律である「こども基本法」とCFCIの親和性を認識されています。自治体の計画や例規にCFCIについての明記を進めている自治体も多く、CFCIの取り組みをベースにこども基本法と照らしながら、法整備や事業実施を進めていくことが言及されました。

安平町:独自の条例をもっていないので、当初から実践している事業をCFCIに照らして漏れを埋めながら進めている状態。国の法として示されれば、それに合わせる形で法整備を進めながら、漏れないように進めていきたい。 町田市:こども基本法は子どもの権利条約の4原則を踏まえているため、CFCIとの取り組みの親和性は高いと思う。町田市は条例を作っている最中なので、現時点では、直接関連する部分は大きくないと思う。
富谷市:国からはこれから示されることも多いと思うので、今後示される事項によって、都度対応していく。子どもの意見を聞くことやそれを市政に反映するしくみについて、さらにそのための横断的な取り組みについては、既に積み上げてきたものがあり、実績となっているので、それが今後力になっていくと考えている。 ニセコ町:子どもの意見反映については、まちづくり基本条例(2001年施行)に規定してきたところ。また、今後、こども基本法に基づくこども計画を作っていくことになると思うが、現在CFCIで使っているチェックリストがベースになるのではないかと思う。そういう意味でこの取り組みは大いに役立つと考えている。
奈良市:「子どもにやさしいまちづくり条例」を制定し、子ども施策に取り組んできていることから、CFCIに取り組むにあたり特別な計画は策定せず、子ども・子育て支援事業計画に基づく事業を実践し、評価している。
こども基本法の第11条で、子どもの施策を策定、実施、評価するにあたっては、施策の対象者である子どもや子育て当事者の意見を反映させるために必要な措置を講ずること、と謳われていることから、今後、CFCIの評価において子どもからの評価なども取り入れることも検討したいと考えている。

 

関連ページ