2023年3月8日東京発
3月8日は、「国際女性デー(International Women‘s Day)」。数ある国際デーの中でも最もよく知られているものの一つです。この日は「ミモザの日」とも呼ばれていて、欧米では、春の象徴であるミモザの花を、男性が感謝と敬意を込めて女性に贈る風習もあります。
ジェンダー平等の実現に向けて、まだ残る課題
女性に対する差別や不平等の解消と、男性と同等の市民権を求める運動は、19世紀末から20世紀初頭の欧米で広がり始めました。その後2つの世界大戦をはさんで創設された国連の基本文書「国連憲章」(1945年)には、国際協定として初めて男女平等の原則を支持することが明記されました。そして、「国際婦人年」である1975年の3月8日に「国際女性デー」が初めて祝われ、その2年後の1977年に国連総会でその制定が正式に決議されました。
初の「国際女性デー」から50年近くが経つ今も、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは、途上国、先進国を問わず、取り組み続けなければならない課題であり、SDGsの目標5でも「男女平等を実現し、すべての女性と女の子の能力を伸ばし可能性を広げよう」とうたわれています。
しかし、実際にはどうでしょうか?以下の世界のデータをご覧ください。
- 10歳~14歳の女の子は同じ年齢の男の子と比べて、家事に過剰な時間(少なくとも週に21時間)を費やす可能性が2倍あります。
- 15歳~19歳の女の子のうち、教育、雇用、あるいは職業訓練のいずれの機会も受けていないニート状態である割合は24%なのに対し、同年齢の男の子では13%に留まります。
- インターネットを利用している人の割合は、男性が69%なのに対して女性は63%。世界の人口の半分は女性が占めているにもかかわらず、インターネットにアクセスできる女性の数は、男性より2億5,900万人も少ないのです。
- 2050年までには、75%の仕事がSTEM(科学・技術・工学・数学)分野に関連したものになると言われていますが、現在、女性が占める割合は、人工知能の分野をとってみてもわずか22%にすぎません。
2023年のテーマ:すべてをデジタルに(DigitAll)
2023年の国際女性デーのテーマは「すべてをデジタルに:ジェンダー平等のためのイノベーションとテクノロジー(DigitAll:Innovation and technology for gender equality)」。変化を促す技術であるトランステック(Transtech: Transformative technology)の進展とデジタル教育に積極的に取り組む女性や女の子を後押しします。
また、デジタル空間における女性と女の子の権利を保護し、オンラインおよびデジタル技術を利用したジェンダーに基づく暴力に対処することの重要性にも焦点を当てます。
私たちの生活のあらゆる面が、デジタル化されつつある現在、女の子や女性がデジタル空間に関わるために必要なデジタルスキルを身につけ、技術革新に参加することはとても重要です。そうすることで、より創造的なソリューションが生まれ、女の子のニーズを満たしてジェンダー平等を推進するイノベーションの可能性が高まるのです。
ジェンダー平等のために:ユニセフの行動計画
ユニセフは「ジェンダー平等のための行動計画」(The Gender Action Plan 2022–2025)を策定し、未だ残るジェンダー不平等の改善に必要な支援計画や目標をまとめ、国際社会にも呼びかけています。例えば、すべての青年期の女の子が、以下の事項を享受できることを目指しています。
- 質の高い保健・栄養サービスを受けられること
- 特にSTEM(科学・技術・工学・数学)関連やデジタルなど、将来に向けたスキルを身につけられること
- 児童婚や暴力から解放されること
- 尊厳ある月経衛生管理ができること
- 社会的保護とケアを受けられること
ジェンダー平等とは、女の子も男の子も同じ権利、リソース、機会、保護を享受することを意味します。しかし、未ださまざまな分野においてジェンダー格差は残っています。今を生きる女性や女の子たち、そしてこれから生まれてくる次世代の女の子たちにとって、より平等な世界をつくるためには、すぐに行動を起こさなければなりません。