2023年3月7日ジュネーブ/リロングウェ(マラウイ)発
ユニセフ(国連児童基金)マラウイ事務所代表のルドルフ・シェンクは、マラウイでのコレラの大流行について、7日にスイス・ジュネーブで開かれた国連の定例記者会見で発言しました。以下は、その概要です。
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5万人以上が感染
マラウイでは、史上最悪のコレラの大流行が起きています。同国はポリオの発生や新型コロナウイルス感染症のまん延への対応にも苦慮しています。リソースは限られており、保健システムには過度の負担がかかり、医療従事者は限界に達しています。マラウイの子どもたちは今、非常に困難な時に直面しています。
ちょうど1年前に公式に発生が発表されてから、コレラは国内の全29県に広がり、5万人以上が感染、1,500人以上が死亡しています(3月2日現在)。このうち子どもは、1万2,000人以上が感染し、197人が命を落としました。
多くの命を奪っているこのコレラの大流行は、ちょうど1年前にマラウイを襲った2つの熱帯性暴風雨に加え、水と衛生のインフラに対する慢性的な資金不足、そして新型コロナウイルス感染症によるコレラ予防キャンペーンの中断によって引き起こされたと思われます。そして、今年の雨季がピークを迎えるにあたり、ユニセフは、早急かつ適切な対策を講じなければ、この大流行が悪化することを強く懸念しています。さらに、何百万人のマラウイの人々を食料不足に陥れる、作物の収穫が少なくなる季節が重なった結果、子どもたちがこの危機に最も苦しんでいるのです。地球温暖化にともない、マラウイは、より強烈な嵐や干ばつなど、気候変動が招くより危険な影響を受ける可能性があります。
2人に1人の子ども人道支援必要
現在、推定480万人の子どもたち、つまり国内の子どもの2人に1人が人道支援を必要としています。3月末までに、21万3,000人以上の5歳未満児が急性栄養不良に陥り、そのうち6万2,000人以上が重度の栄養不良になると予想されます。重度の栄養不良の子どもがコレラで死亡する割合は、栄養状態の良い子どもの11倍であるため、マラウイの何万人もの子どもたちにとって、コレラに感染することは死の宣告に等しいでしょう。
このような危機は、個人や家族にとって非常に大きなストレスを引き起こし、しばしばネガティブなコーピング(対処)方法、つまり家庭やコミュニティにおける暴力の増加につながり、女性や子どもは非常に弱い立場に置かれます。
約1年前に最初のコレラの症例が報告されて以来、ユニセフは世界保健機関(WHO)やその他のパートナーと共にマラウイ政府を支援し、あらゆるレベルの対応チームの訓練、機材・物資・医薬品・安全な水の提供、発生地域や流行が予想される地域でのコレラの予防・治療・衛生促進メッセージの普及を通じて、感染を抑制し致死率を最小限に抑えることに取り組んできました。しかし、現在、資金と物資が不足しています。
コレラ発生を防ぐために
支援ニーズは膨大です。ユニセフは、水・衛生、保健・HIV、教育、栄養、子どもの保護、社会的保護に関連する人道物資・サービス・技術支援を提供するとともに、社会的行動変容への支援をすべてのセクターに組み入れるため、5,240万米ドルの支援資金を要請しています。
将来的なコレラの大流行の発生を防ぐためには、保健と水・衛生のインフラに大規模な投資を行い、国を支援する必要があります。