2023年3月9日ナイロビ/ヨハネスブルグ/ニューヨーク発
アフリカ東部および南部の11カ国より、コレラの感染例が6万7,822件、死者は推定1,788人いるという懸念すべき報告が寄せられています。しかし、監視システムの限界や過少報告、および偏見がモニタリングを妨げていることから、実際の数はさらに多い可能性が高いとされています。
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広範囲で致命的なコレラ発生
最も状況が深刻なマラウイとモザンビークの2カ国では、合計で540万人以上が支援を必要としており、そのうち280万人以上が子どもです。
マラウイのリロングウェで開催されたコレラに関する緊急閣僚会議に出席したユニセフ(国連児童基金)東部・南部アフリカ地域事務所副代表のリーケ・ファン・ドゥ・ヴィールは、「今の時代、この地域でこれほど広範囲で致命的なコレラの発生が起きるとは考えていませんでした。粗悪な水と衛生環境、異常気象、現在も続く紛争、脆弱な保健システムが、地域全体の子どもたちの命を危険にさらしています」と述べています。
ユニセフの国レベルでの統合的な対応は、安全な水と衛生設備や水処理、手洗い用せっけん、経口補水塩(ORS)溶液の供給、および社会的行動変容やコミュニケーション関与のためのメッセージの発信に焦点を当てています。
さらに、ユニセフはパートナーと共に、重篤な症例により適切に対応をするため、必須医療用品と高性能テントを提供しています。統合的なアプローチの一環として、ユニセフは、すべてのコレラ治療ユニットでスクリーニングなどの命を守るための栄養支援を行い、質の高いケースマネジメントと感染予防・制御を提供するために医療従事者を訓練し、重症でないコレラ患者に対して重症化を防ぐための地域ベースの経口補水拠点を設置する予定です。
11カ国で子どもの命が危険に
ユニセフのリスクコミュニケーションとコミュニティへの関与(RCCE)に関する定評ある専門知識は、新型コロナウイルス感染症などの感染症の大流行への対応に基づいているとともに、コミュニティを巻き込み、健康を求める慣行を広めたり、感染症のさらなる拡大を阻止したりするために必要な社会的・行動的変化をもたらす革新的な方法に立脚しています。
特に状況が深刻な国々で公衆衛生状態が急速に悪化しているため、ユニセフは、コレラの大流行によって影響を受けた人々に命を守るサービスを提供するため、マラウイ向け3,490万米ドル、モザンビーク向け2,160万米ドルを含む、コロナ発生地域の全11カ国に対する、1億5,000万米ドルの支援資金を国際社会に要請しています。
コレラの大流行は、長期的な子どもの生存や健やかな暮らしの基礎となる、妊産婦・乳幼児・子ども・若者の通常医療対応を中断させる可能性があるため、必要不可欠な保健サービスの継続は極めて重要です。
異常気象にも見舞われる
当該地域はここ数カ月間、異常気象に見舞われています。ちょうど1年余り前にマラウイを襲った2つの熱帯性暴風雨、そして先月モザンビークに上陸した熱帯性暴風雨は、大規模な洪水を発生させ避難者を出し、今も大きな被害をもたらし続けています。人々が惨状から逃れ移動することで、感染が拡大する条件が整ってしまったのです。
ユニセフのパートナーたちはすでにマラウイでの対応に290万米ドル、モザンビークでの対応に55万米ドルを拠出しています。これらの資金により、ユニセフは、浄水用の塩素および感染予防と制御のための医薬品と機器の供給、ならびにリスクについての広報を強化することができました。
しかし、ユニセフは現在、両国合わせて92%の資金不足に陥っており、危機の影響を受けた子どもたちのニーズにすべて応えることができていません。ユニセフとそのパートナーが、特に資金不足の部門において、増大するニーズに基づいて迅速かつ公平に対応するためには、使途目的を定めない、柔軟な資金が重要な役割を果たすことになります。
重大な事態に備えるため
先月、別の国連機関が、現在世界22カ国がコレラの大流行と闘っていると警鐘を鳴らしましたが、以降も流行は広がり、その数は増加しています。世界的にコレラの症例は何年も減少していましたが、昨年は症例が増え、今年も引き続き増加すると予想されていました。
「これは深刻なコレラ危機であり、すべての兆候は、事態が好転する前に著しく悪化することを示しています。私たちは、緊急かつ持続的な投資により、当面の大流行への対応と、将来的に起きる可能性のあるより重大な事態に備えるためのシステムおよびコミュニティの強化が必要です」と、ファン・ドゥ・ヴィール副代表は述べています。