2023年5月8日東京発
武力衝突が激化してから3週間が過ぎたスーダンの状況は依然として厳しく、何千人もが死傷し、何十万人もが国内避難民となったり隣国に逃れたりしている、と報告されています。以下は、ユニセフ(国連児童基金)の現地における最新情勢レポートからの抜粋です。
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スーダン情勢レポート(5月4日付)
・衝突が続く地域では、保健医療施設の半分以下しか稼働していません。ユニセフは、ハルツームの保健施設に水と衛生用品を、エル・ファーシルの保健施設に給水車で水を提供しました。一方で、戦闘の無い地域・州の大部分の保健施設は、通常どおり稼働しています。
・ハルツームにあるワクチンや子ども用のインスリンなど重要な医薬品の中央コールドチェーン(低温物流システム)は、紛争と不安定な電力供給の影響を受けています。ユニセフは、電力網への接続を確保するよう関係各所に働きかけるとともに、コールドチェーンのバックアップ発電機用の燃料を提供しています。またユニセフは、需要がありかつサービス提供が可能な地域にワクチンを供給するために物資が安全に輸送できるよう、働きかけを続けています。西ダルフール州では、ワクチンを含むコールドチェーンとすべての資源が略奪・破損されました。
・戦闘の影響を受けるハルツーム、ゲジーラ、南ダルフール、西ダルフール、西コルドファン各州の学校と教育機関は、依然として休校が続いています。一方で、比較的状況が安定している12の州では今週公立学校が再開され、さらに来週再開を予定している州も1つあります。これにより、学生は重要な学年末の試験を受けられるようになります。
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またスーダンの状況を受けユニセフ(国連児童基金)の広報官、ジェームズ・エルダーは、5月5日にジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、以下のように発言しました。
「毎時間7人」子どもが死傷
恐れていたとおり、また警鐘が鳴らされていたとおり、スーダンの状況は、驚くほど多くの子どもたちにとって命に関わる事態となっています。ユニセフが入手した、戦闘開始から2023年4月25日までを対象とする報告によれば、190人の子どもが命を落としています。暴力の激しさゆえに推定値を出すことはできませんが、さらに1,700人が負傷したと報告されています。
つまり、この最初の11日間の戦闘で、平均して1時間ごとに、7人の子どもが死傷しているという報告になります。7人の子どもが、毎時間です。
留意すべき点は、このような子どもの死傷者の報告は、医療機関と接触した子どもたちに関するもののみであるということです。そのため、現実はもっと深刻である可能性が高いのです。子どもたち一人ひとりの状況や詳細な情報は不明ですが、紛争の激しいハルツームとダルフールからのデータです。
報告は紛争が始まってから11日間分しかありませんが、実際は今日まで3週間、おぞましい暴力の中でスーダンの子どもたちは生活しています。家、学校、病院など、子どもたちが安全でなければならない場所は、常に攻撃を受けており、現在もその状態が続いています。ユニセフとパートナーは、紛争当事者に対し、子どもたちにとって重要な保健センター、学校、水と衛生設備に対するすべての攻撃を止めるよう再三再四求めてきました。しかし、攻撃は幾度も続いています。
ユニセフのものを含む人道支援用施設・車両・物資が破壊されたり、略奪されたりしていると同時に、人道支援従事者も襲われています。こういった襲撃はすべて、命を守るための保健・栄養・水・衛生サービスをスーダン全土の子どもたちに届ける私たちの活動を著しく妨げます。私たちは他の多くの人々と共に、すべての紛争当事者が国際法を遵守すること――すなわち子どもたちを保護する義務を果たし、また支援を必要としている人々のために人道支援従事者が現地で安全に活動できるようにすることが、極めて緊急に必要であるとあらためて強調します。