2023年9月27日アブジャ(ナイジェリア)発
世界の近年史上、最も深刻なジフテリアの集団感染が起きているさなか、ユニセフ(国連児童基金)ナイジェリア事務所は、予防接種を大規模に展開する必要がある、と警鐘を鳴らしています。この感染爆発により、これまでに感染が疑われる症例が1万1,500件、感染確認が7,000件あり、453人の命が奪われています。亡くなった人のうち、ほとんどが子どもであることが確認されています。
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ほとんどの感染者、1回も予防接種受けず
ほとんどの感染者は、命にかかわるワクチンの投与を1回も受けていない4歳から15歳の子どもで、ナイジェリアにおける予防接種の緊急性が浮き彫りになっています。
ユニセフは、この集団感染を食い止めることに取り組んでいるナイジェリア政府に対し、緊急支援を行っています。この支援の極めて重要な部分には、政府の対応を後押しするためのワクチンの調達が含まれています。
これまでのところ、ユニセフは政府に代わって、カノ、バウチ、ボルノ、ヨベ、カツィナ、カドゥナ、ジガワなどの感染の影響を受けている州に930万回分のジフテリアワクチンを配備しました。このうち、400万回分は集団感染が激発しているカノ州に送られました。さらに400万回分のワクチンを調達中で、数週間以内にナイジェリア政府に手渡される予定です。
予防接種なしの子どもの数、世界で2番目
ユニセフ・ナイジェリア事務所臨時代表のロウナク・カーンは、次のように述べています。「今回のジフテリアの大発生は、予防接種の重要性を痛感させるものです。驚くべきことに、ナイジェリアにはワクチンを1回も接種していない子どもが220万人もおり、世界で2番目に多いのです。この数を大幅に減らすために、私たちは一丸となって緊急の行動を取らなければなりません。すべての子どもは、予防可能な病気から身を守る権利があります。これには交渉の余地はありません」
ユニセフ・ナイジェリア事務所は、パートナー、ステークホルダー、そして国際社会に対し、ナイジェリアのすべての子どもが命を守るワクチンの接種を受けられるよう、力を結集することを呼びかけます。ユニセフは、今後同様の大規模感染が起きないよう、定期予防接種の実施やコミュニティとの連携にさらに注力し、保健システムを強化することの重要性を訴えています。
今回の集団感染に効果的に対応するため、ユニセフ・ナイジェリア事務所は、本年中に追加で330万米ドルの資金を必要としています。