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日本ユニセフ協会

プレスリリース

アルメニアに到着した子ども、3万人超
深刻な心理的ストレス抱える ユニセフ、メンタルヘルスの悪化に警鐘

2023年10月10日ジュネーブ/エレバン(アルメニア)

ユニセフ(国連児童基金)が支援し、ここ数週間、アルメニアへ逃れてきた子どもと家族に専門的なケアを施しているソーシャルワーカーからの報告によると、到着した難民の子どもたちは、深刻な心理的苦痛を抱えている兆候を示しています。

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3万人以上の子どもがアルメニアに避難

敵対行為の激化によりアルメニアへ逃れ、避難先の学校に通い始めたオクサーナさん(左)と、アショトさん(右)。(アルメニア、2023年10月5日撮影)

© UNICEF/UNI448186/Martirosyan
敵対行為の激化によりアルメニアへ逃れ、避難先の学校に通い始めたオクサーナさん(左)と、アショトさん(右)。(アルメニア、2023年10月5日撮影)

ユニセフはパートナーと協働し、1日に最大300人の子どもに対応できる、2つの安全な空間をゴリス市に設置しました。そこで支援を行うソーシャルワーカーたちは、子どもたちが悲しみ、不安、恐怖、怒りといった激しい感情に襲われており、それが悪夢や夜尿症、泣き止まないといった形で現れていると報告しています。また、心を閉ざしてしまい、感情を表現したり、周囲と関わりを持ったりすることができなくなっている子どももいます。

2週間前に彼らの出身コミュニティで敵対行為が激化して以来、3万人以上のアルメニア系住民の子どもたちがアルメニアに到着しました。避難を余儀なくされたことに加え、アルメニアに到着した子どもたちは、継続的に質の高い教育を受けることができず、家族が攻撃の恐怖を訴えるなど、危険あるいは不安定な環境で暮らしています。

ユニセフ・アルメニア事務所代表のクリスティン・ヴァイガントは、「私たちは今、子どもたちがどれほど苦しんでいるかを目の当たりにしています。避難生活と敵対行為、さらには喪失感が、子どもたちの心身の健康と心理的ウェルビーイングに大打撃を与えています。持続的な支援がなければ、子どもたちは今後何年にもわたり、こうした深い苦しみを伴う出来事の影響を背負い続ける危険があります」と、述べています。

心のケアの支援を提供

ゴリス市に設置されたユニセフの支援施設でスタッフと話す、カラバフから避難してきたビクトリアさん。(アルメニア、2023年9月29日撮影)

© UNICEF/UNI444790/Martirosyan
ゴリス市に設置されたユニセフの支援施設でスタッフと話す、カラバフから避難してきたビクトリアさん。(アルメニア、2023年9月29日撮影)

ヴァイガント代表はまた、「ユニセフは、10月10日の世界メンタルヘルスデーに際し、保健、子どもの保護、教育の各制度を通じて、子どもたちのメンタルヘルスケアと心理社会的サポートに十分な投資を行うよう呼びかけています。このことは、早期特定と即時支援という観点からだけでなく、家族が喪失や心的外傷後ストレスに対処し続けるという長期的な観点からも同様に重要なのです」とも述べています。

ユニセフは、アルメニア政府およびその他のパートナーと協力して、難民の子どもたちが、直面する困難を克服するために必要なケアや支援を受けられるよう、現地で支援を行っています。またユニセフは、心理的応急処置と心理社会的サポートを提供できるよう、現場の専門家を訓練し支援しています。ユニセフはアルメニア保健省と共に移動式小児科チームを結成し、メンタルヘルス上のニーズを特定し、それに対応するためのスクリーニングを、国内でより広範に展開できるようにしています。

ユニセフは、初めの半年間に教育、保健、子どもの保護、栄養、水と衛生に関する重要なサービスを提供するために必要な資金として、1,260万米ドルを国際社会に要請しています。

困難な状況にある子どもたちが、生まれ持った権利を守られ、平和に健やかに成長できることを目指して活動するユニセフ。

その活動は皆さまのご支援によって支えられています。

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※最も支援が必要な子どもたちを支え、ユニセフの様々な活動に役立てられています。

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