2024年10月10日アンマン(ヨルダン)発
ユニセフ・中東・北アフリカ地域事務所代表のアデル・ホドルは、ガザ北部に新たに出された避難命令を受け、次の声明を発表しました。
ガザ北部の避難命令、再び移動を強いられる家族
北ガザ県とガザ県に突然出された避難命令は、再び、何万人もの既に脆弱な状況に置かれている人々を追い立てています。非常に憂慮すべきものです。子どもたちを抱える多くの人々は、再び、すでに超過密で衛生状態も治安も悪く、命をつなぐために必要な生活必需品も不足している南部の地域への移動を強いられています。
保育器で命をつないでいる未熟児や集中治療室の子どもたちも例外ではありません。ガザ北部への支援物資の搬入制限や容赦ない爆撃が続く中るこれまで繰り返されてきた、残酷で受け入れがたい事態が再び起きているのです。ガザの子どもたちは、想像を絶する苦しみや、恐怖、そして死の淵に、何度も何度も直面させられています。
ガザ北部で唯一小児科病棟を持つカマル・アドワン病院を含む3つの主要病院が、避難命令の影響を受けています。パレスチナ保健省によると、18人の子どもを含む重病の患者たちの命が危険にさらされています。
ガザ北部での軍事行動が激化し、絶え間ない危険と混乱が続く中、子どもたちは命を落とし、傷を負い、拘束され、あるいは親や養育者と引き離されるなど、極めて大きなリスクにさらされています。障がいや疾病などで脆弱な状態にある子どもたちは特に悲惨な状況に置かれ、さらに大きなリスクにさらされています。こうした状況の中での避難は、もとより難しいだけでなく、命のリスクをともないます。(今、ガザ地区には)安全な場所など、まったくない、あるいはあったとしてもほんの少ししかないのです。
ガザ北部では、燃料はじめ基本的な物資の搬入が数週間前から許されておらず、子どもたちの命は、さらに危険にさらされています。
北部ジャバリアの人々が退去を命じられるのは、この1年で4度目。多くの人々は、避難先でも安全な場所を見つけられず、元の場所に戻っています。軍事攻撃のたびに繰り返し避難を余儀なくされる「終わりが見えない状況」は、わずかに残された安全と安定を子どもたちから奪うものです。ガザの子どもたちは、身体的にも心理的にも生涯残る深刻な影響を受けるリスクに直面しています。
「死と避難と絶望の連鎖」
ユニセフをはじめとする人道支援機関は、この苦しみをなんとか食い止めようと全力を尽くしていますが、終わりなき「死と避難と絶望の連鎖」に苦闘しています。
今こそ、紛争当事者たちに、さらなる苦しみを防ぐために、そして子どもたちの命を守るために、即時停戦に合意するよう強く求めます。停戦が実現しなければ、子どもたちの生存が脅かされるだけでなく、私たち自身に残された人間性も危機にさらされることになります。