2024年11月4日ニューヨーク発
11月7日と8日に、世界のリーダー、市民社会、活動家、サバイバー、そして若者たちがコロンビアのボゴタで開催される初の「子どもに対する暴力根絶のための世界閣僚会議(Global Ministerial Conference on Ending Violence Against Children)」に集まる中、ユニセフ(国連児童基金)は、世界中の何百万人もの子どもの人生を脅かす暴力と闘うための緊急行動を呼び掛けています。
ユニセフ、緊急行動を呼びかけ
子どもに対する暴力は、身体的、精神的、性的であるかにかかわらず、家庭や学校、地域社会、またオンライン上で発生している世界的な危機です。その影響は深刻で、けが、性感染症、不安やうつ病などのメンタルヘルス上の問題、さらには死につながることもあります。幼い頃に暴力にさらされると、脳の発達に影響を与える有害なストレスが引き起こされ、攻撃的になったり、薬物乱用や犯罪行為につながったりする可能性があります。暴力を経験した子どもたちは、おとなになってからもトラウマと暴力の連鎖に陥りやすくなり、地域社会全体に影響が及びます。
ユニセフの子どもの保護部門長であるシーマ・セングプタはこう述べています。「私たちは、子どもに対する暴力のまん延、原因、そしてその代償を全面的に把握している最初の世代であり、効果的な解決策を知る最初の世代でもあります。予防、教育、支援活動への資金投入により、暴力の連鎖を断ち切り、子どもたちが安全でいられる世界を築くことができるのです」
4分に1人、子どもが暴力の犠牲に
入手可能な世界の最新データの概要は以下のとおりです。
- 4分に1人の割合で、世界のどこかで子どもが暴力行為によって命を落としています。
- 現在生存している約9,000万人の子どもが性暴力を経験しています。
- 現在生存している6億5,000万人の女の子と女性(5人に1人)が、子どもの時に性暴力を受けており、そのうち3億7,000万人以上(8人に1人)がレイプや性的暴行の被害に遭っています。
- 脆弱な状況下では、女の子はさらに大きなリスクに直面し、子どもの時にレイプや性的暴行を受ける割合は4人に1人強です。
- 15歳から19歳までの約5,000万人の女の子(6人に1人)が、過去1年間に夫やパートナーから身体的または性的な暴力の被害を受けています。
- 4億1,000万人から5億3,000万人の男の子と男性(7人に1人)が、子どもの時に性暴力を経験しており、そのうち2億4,000万人から3億1,000万人(11人に1人)がレイプや性的暴行を受けています。
- 16億人の子どもたち(3人に2人)は、日ごろ家庭で暴力的な罰を受けており、そのうち3分の2以上が体罰と心理的な攻撃の両方にさらされています。
- 暴力により、毎年平均で約13万人の20歳未満の子どもや若者が命を落としています。
- 男の子は暴力の犠牲となるリスクが高く、暴力によって命を落とした子どもと10代の若者の4人に3人は男の子でした。
- 暴力の犠牲となるリスクは、10代後半に著しく高まります。暴力によって死亡した子どもの10人に7人は15歳から19歳で、そのほとんどが男の子でした。
- ほぼ5億5,000万人の子ども(約4人に1人)が、身近なパートナーからの暴力の被害者である母親と一緒に暮らしています
このたびの閣僚会議は、暴力を根絶し、すべての子どもが安全な環境で成長できる未来を築くための取り組みを強化する重要な機会となります。ユニセフは、強力な政治的リーダーシップ、エビデンスに基づく政策と介入、そして相応の資金を求め、次の3つの主要分野における行動を促しています。
- 誰もが養育ケアを促進する子育て支援プログラムを受けられる。
- 誰もが安全で、可能性を伸ばせるような学校環境で学べる。
- 支援を必要とするすべての子どもを対象とした、的を絞った対応と支援活動を行う。