ユニセフ執行理事会　ユニセフ協会の重要な役割を確認

【2010年6月4日　ニューヨーク発】

ユニセフの基本方針と援助計画・予算を審議し承認する役割を担う、ユニセフ執行理事会※。6月2日からニューヨークのユニセフ本部で開催されていた2010年の年次総会は、3日、子どもの権利条約の二つの選択議定書を世界中の全ての国が批准するための取り組みと、各国のユニセフ協会が果たしている重要な役割が議論されました。

二つの選択議定書は、子どもの権利条約で認められている多岐にわたる子どもの保護を補完する形で、2000年5月、国連総会で採択されました。この選択議定書は、武力紛争や、人身売買、搾取、子ども買春、子どもポルノの影響を受けている非常に弱い立場の子どもたちを保護するために作られたものです。

「この二つの選択議定書は、世界中の全ての子どもたち、特に最も弱い立場の子どもたちに対する国際社会の約束をまとめたものです。」「今こそ、わたしたち全員が、選択議定書に書かれている内容は、私たちに課された道徳的な責務であるということを明確にするべきときです。」ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、こう述べました。

※ユニセフ執行理事会は、3年毎に国連の経済社会理事会で改選される36カ国の政府代表で構成されています。

批准のための国連キャペーン

先月、ユニセフは、国連と子どもの権利に関する専門家と共に、二つの選択議定書の採択10周年を記念し、2012年までに、世界中の全ての国が二つの選択議定書を批准することを目的とするキャンペーンをスタートしました。現在、世界の3分の2の国々がこの選択議定書を批准していますが、国連事務総長やレーク事務局長らは、世界中の国々が批准するための、道徳的な国際世論の形成を求めています。

こうした国際世論の必要性は明らかです。世界中で、約25万人の若者が、武力グループや武力勢力に徴用されたままの状況です。年間120万人の子どもたちが国境を越えて人身売買の被害に遭っていると報告されています。国内外で行われている人身売買の被害に遭った子どもたちの多くは、買春の被害にも直面しています。

子どもへの暴力に関する国連事務総長特別代表を務めるマルタ・サントス・パイス氏は、この選択議定書を世界中の国が批准し、効果的に実行することは、子どもの権利を前進させるために計り知れない貢献となると指摘しました。

「女の子と男の子が、子どもらしい時期を楽しむことができる世界。遊んだり、学んだりできて、子どもたちは守られ、尊重され、権利が促進され、子どもたちの安全と福祉が最優先される世界。私は、世界中の国が選択議定書を批准することによって、この理想の世界に近づくことができると、心から確信しています。」（パイス特別代表）

ユニセフ協会の役割

この「子どもにふさわしい世界」は、この日の2番目の議題である世界36の先進国・地域のユニセフ協会（国内委員会）の役割の中でも中心的なテーマとして扱われました。

史上初めてユニセフ募金を呼びかけ、子どもの権利を訴え、ユニセフの活動を支援しているユニセフ協会の役割を特別な議題として扱った今年のユニセフ執行理事会。各ユニセフ協会の専務理事等の代表で構成される常任グループの議長と、日本、アイスランド、スペイン、スイスのユニセフ協会の代表者が、各国での活動を発表しました。

毎年、各国・地域のユニセフ協会は、子どもたちのためにユニセフが実施している事業に対し、総額約10億米ドルの拠出を行っています。しかしながら、こうしたユニセフの活動資金の確保（ユニセフ募金活動）は、ユニセフ協会が世界の子どもたちに提供している支援のひとつの側面でしかありません。ユニセフ協会は、ユニセフが各国の政府や民間団体、著名人、報道機関と一緒に仕事をしてゆくにあたって重要なパートナーであり、子どもたちの権利や開発途上国世界で必要とされているものを一般の人々に広く知っていただくための広報活動においても、大きな役割を果たしています。

ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、各国のユニセフ協会の不断の努力に対し、深い感謝の意を述べるとともに、子どもたちの命を救い、生活環境を改善し、保護するためのユニセフの活動において、欠かすことができない役割を果たしていると述べました。

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