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ユニセフ協会からのお知らせ

MDGサミット閉幕
最も困難な状況にある子どもたちを最優先に

【2010年9月23日 ニューヨーク発】

© UNICEF/NYHQ2010-1960/Markisz
「最も困難な状況にある子どもたちへの支援を最優先に」パネル・ディスカッションで訴えるユニセフのアンソニー・レーク事務局長。

22日夜、ユニセフ主催の国連ミレニアム開発目標(MDGs)サミット閉会式に参加した専門家や各国の代表者たちは、2015年までに国連ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するために、世界で最も困難な状況に置かれている最も支援の届き難い地域の子どもたちに手を差し伸べることの重要性を強調しました。

ニューヨークのユニセフ本部で開催された「子どもたちと国連ミレニアム開発目標(MDGs):最も弱い立場の人々に手を差し伸べること」と題されたこの会合では、未だに存在する開発途上国の子どもたちが置かれている不公平な状況を明らかにした最新の推計値に焦点を当てた議論が展開されました。

ユニセフが先日発表した最新版の『Progress for Children(子どもたちのための前進)』第9号(※日本語版は近日当ホームページで公開予定)は、貧困層の中でも最も貧しい子どもたちとその家族に支援の焦点をあてることは、当然のことであるだけでなく、国連ミレニアム開発目標(MDGs)達成のために最も費用対効果の高い方法であることを報告しています。また、ユニセフが最近発表したもうひとつの報告書『目標達成のための格差の是正(Narrowing the Gaps to Meet the Goals)』は、5歳未満児死亡率の60パーセント以上は、地理的に外界と最も隔絶された地域に暮らす子どもたちに集中的に支援を行うことで予防できるものだ、と指摘しています。

最大のニーズ 最大の利益

© UNICEF/NYHQ2010-1972/Markisz
左から、ミア・ファローユニセフ親善大使、スロベニアのダニロ・チュルク大統領、バンクラデシュのシェイク・ハシナ首相、パウロ・ヴァンヌチ ブラジル人権特別事務官、ジュディス・ロディン ロックフェラー財団会長、レーク ユニセフ事務局長。

「全ての人々に機会が与えられるまでは、満足することはできません。」ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は、パネル・ディスカッションでこのように述べました。「最も必要としている人々に支援を行えば、最も効率的に具体的な成果を上げることができるのです。」

CNNの記者、ジム・クランシーさんが司会を務めたパネル・ディスカッションでは、各国の進捗状況の評価と、国連ミレニアム開発目標(MDGs)の公平な達成のための各国の独自の取り組みが議論の中心となりました。

「子どもたちは、私たちの未来の世代であることを、常に考慮するべきです。」「国際社会は、どのように子どもたちを支援し、手助けができるのか、そして世界の平和を維持できるのかを慎重に考えなければなりません。」 パネリストの一人、バンクラデシュのシェイク・ハシナ首相は、こう訴えました。

このパネル・ディスカッションには、他に、スロベニアのダニロ・チュルク大統領、ジュディス・ロディン ロックフェラー財団会長、ミア・ファロー ユニセフ親善大使、パウロ・ヴァンヌチ ブラジル人権特別事務官が参加しました。

未だに残る不平等

© UNICEF/NYHQ2010-1966/Markisz
「子どもたちは、私たちの未来の世代であることを、常に考慮するべきです。」 バンクラデシュのシェイク・ハシナ首相。

パネリストたちは、この会合を通じて、従来までの支援が、一般的に、社会的地位や極度の貧困、地理的に孤立している地域、ジェンダーといった様々な理由で特に支援が難しい人々への支援よりも、最大の受益者が見込まれる活動が優先されてきたという認識を共有しました。

そして、その結果、約10年前に世界の指導者たちが約束した国連ミレニアム開発目標(MDGs)について、一部でその達成に向けた前進が実際に見られているものの、ジェンダーや地理的な理由が、いまだに開発途上国の子どもたちの未来を左右しているのです。実際、最も貧しく、最も支援の届き難い農村地域の5歳未満の子どもたちが死亡する確率は、同じ国の中に住む最も豊かな子どもたちの2倍を超えています。

しかしながら、こうした不平等は、開発途上国だけに見られるものではありません。スロベニアのダニロ・チュルク大統領は、しばしば、中部・東部ヨーロッパで、偏見・差別に苦しんでいる少数民族のひとつ、ロマ民族の問題について言及しました。

「ヨーロッパにも、貧困問題が残っています。長い間、厳しい立場に立たされている民族がいます。」「こういった問題は、多くの政治的、文化的、その他の様々な理由で、解決することが非常に難しい場合が多いのです。ユニセフは、公平で、最も弱い立場の人々を特定し、そうした人々を中心に支援を行っていると思います。」(チュルク大統領)

もう"言い訳"はできない

© UNICEF/NYHQ2010-1962/Markisz
「ユニセフは、公平で、最も弱い立場の人々を特定し、そうした人々を中心に支援を行っていると思います。」スロベニアのダニロ・チュルク大統領。

ユニセフ親善大使のミア・ファローさんは、国連ミレニアム開発目標(MDGs)達成期限まで、残すところ5年となったことを強調しました。

「今日の世界では」と、ファローさんは話し始めました。「先進工業国では、既に半世紀以上もの間にわたって使われ続けているマラリアを防ぐ蚊帳や、安全な飲料水、そしてポリオのワクチンなどが無いからといって、(開発途上国の)子どもたちが餓死したり、教育を受けられなかったり、命を落としたり、障害を負って生きなければならないなどという"言い訳"は、もう通用しません。」

このパネル・ディスカッション後、インタビューに応えたファローさんは、これまでユニセフ親善大使として視察してきた中でも、最も厳しい状況にあった場所、内戦で消滅した中央アフリカ共和国の農村のことを、次のように話してくれました。

「村という村が焼き尽くされていました・・・」「あの時のことを思い出すと、いつも無力さと絶望感を感じます。でも、現地の人々の勇気を思い出すたびに、いつも、私も勇気付けられているのです。こうした人々に手を差し伸べなければなりません。」

今こそ緊急の対策を

ファローユニセフ親善大使は、国連ミレニアム開発目標(MDGs)を達成することの重要性を強調します。

「世界の最も貧しく、最も忘れられた、最も困窮した人々に支援することによって、私たちや子どもたちが暮らす世界の全ての生活水準が本当に高まってきています。」

3日間の充実したMDGサミットが閉幕し、明らかになったことがあります。それは、今こそ、「早急に」、世界の最も弱い立場の子どもたちに支援することしか、選択の道は残されていないということです。

前原外務大臣も共感

これに先立つ9月22日午前、「MDGs国連首脳会合ラウンド・テーブル5」に参加された前原外務大臣も、最も困難な状況にある子どもたちへの支援を最優先すべきだとのユニセフの主張に共感する発言をされました。

「『最脆弱層へ如何にして援助を届けるか』。これは2015年までのMDGs達成のために避けることのできない課題です。レークUNICEF事務局長の『下位20%層の解決なくして解決なし』との指摘は,問題の本質を見事に表しています。」 http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/22/emhr_0922.html (外務省ホームページ)

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