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『世界子供白書2012-都市に生きる子どもたち』発表
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世界子供白書2012 「都市に生きる子どもたち」 |
2月28日0時GTM(日本時間午前9時)、『世界子供白書2012』(英語版)が、世界同時に発表されました。今回の白書のテーマは、都市に生きる子どもたち。いまや100万人の子どもたちが都市で暮らし、その数は急激に増えつつあります。しかしながら、基本的な社会サービスのすぐ近くで生活しているにもかかわらず、多くの子どもたちが教育や保健ケア、適切な衛生施設(トイレ)へのアクセスのないことが明らかになっています。
※29日午後14時からの『世界子供白書2012』発表記者ブリーフィングの様子は、USTREAMで配信予定です。
※世界子供白書2012「都市に生きる子どもたち」 日本語版は5月中旬に完成予定です。
今、地球上では、史上最大の規模で都市部の拡大が進んでいます。
28日、世界同時に発表された最新のユニセフの代表出版物『世界子供白書2012』は、現在、世界の子どもたちのおよそ半数が都市で暮らしていると指摘。こうした子どもたちが抱えるニーズを確認し、それに応えることが重要だと訴えています。
「私たちは、ある種の転換期に近づいています。世界人口の半数が都市で暮らしていると言われていますが、そこには、10億人を超える子どもたちが含まれています。世界の子どもたちの大部分が、都市環境の中で育つ時代が、急速に近づいているのです。」 白書の編集者のひとり、アビド・アスラム氏はこう話しました。
© UNICEF India/2011/Crouch |
拡大を続けるスラムの場所を地図で示す子どもたち。このインド・コルカタのスラムで子どもたちが集めている様々な情報は、グーグル・アースにアップロードされています。 |
従来、家族や子どもたちは、仕事を求めて都市に移り住んできました。しかし、現在の都市部の人口増加の大部分は、こうして都市で暮らし始めた人々の元で新たな命が生まれてきたことに起因しているようです。そして、様々な社会サービスが、こうした人口急増の速さに追いついていないのです。
「都市環境の中で生まれ育つ人が増えています。そして、驚嘆すべきは、その中でも、あまりに子どもたちの数が多いということです。こうした子どもたちが住む環境は、非常に厳しいものです。」 アスラム氏はこう話しました。
ケニアのナイロビにあるキベラやブラジルのファヴェーラと呼ばれるスラムで育つ子どもたちは、暴力や搾取にさらされ、清潔な飲料水や教育といった基礎的な社会サービスも満足に受けることができない状態です。また、出生登録をされていない可能性が高く、こうした子どもたちが住む家庭は、正式な賃貸契約が無いままの状態で住んでいたりするため、一方的に立ち退きを迫られても何等の保護も受けられない場合があります。こうした状況は、人々の生活を非常に不安定にさせています。
「こうした子どもたちは、一年先のことはおろか、一ヵ月先のことも、一週間先でさえ、自分が暮らす場所がどこになるのか明確なことが分からない状況なのです。ましてや、学校に行けるのかどうか、水道の水を使用できるかどうかも分からないのです。」(アスラム氏)
本白書は、都市に生きる全ての子どもたちの生活が、農村部の子どもたちの生活よりも必ずしも良いわけではないと報告しています。また、都市の子どもたちの多くは、学校や病院の近くに暮らしているという地理的な利点があるにもかかわらず、貧困や差別のために、こうした社会サービスを受けていないとしています。
白書はまた、貧困層の人々が住む地域の状況に関する情報、特に子どもたちに関連するデータが不足していることにも注意を喚起しています。都市の貧困や不公平さに対する理解を深めること、そして、こうした取り残された人々の生活を改善させるための政策の実施を求めています。
「都市に生きる子どもたちに特化したデータが少ないことが問題のひとつです。」「多くの技術的な問題がありますが、最終的に政治的な決断が必要です。隠れている問題や子どもたち一人ひとりにしっかりと関心を向け続けること。こうした面での変化が求められています。」
『世界子供白書2012-都市に生きる子どもたち』では、都市で生活する利点を活用する機会を奪われている子どもたちやその家族の生活を改善させることは、全ての人々に恩恵を与えることだと指摘しています。例えば、ラテンアメリカからアジア諸国の都市では、地域の取り組みに(そうした人々が)参加することによる改善例が報告されています。取り残された人々が都市計画や政策決定の場に参加している場所では、識字率の向上や社会インフラの整備、地域の安全性の向上等の進歩も見られているのです。
「白書は、貧しい人々や社会の片隅に追いやられた人々、声を上げることのできない人々が、本来持っている権利を行使すること、すなわち、政策決定の過程に参加する状況を作ることが、全ての人々に恩恵を与えることにつながることの証左を示しています。」