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ユニセフ協会からのお知らせ

取り残される10代−ユニセフ「子どもたちのための前進」No.10発表

【2012年4月24日 ニューヨーク発】

過去20年以上もの間、教育や公衆衛生分野での前進において、10代の若者たち(青少年)は恩恵を受けてきました。それにも関わらず、多くの青少年のニーズは今もなおざりにされたままです。本日ユニセフが発表した新しい報告書によれば、毎年100万人以上の青少年が命を失い、数百万人以上が教育を受ける機会を逃しています。

この報告書では、青少年にとって生活していくのが最も厳しい場所は、サハラ以南のアフリカであるとされています。この地域における青少年の人口はいまだに増加しており、2050年までには世界で最も青少年が多い地域になるであろうと予測されています。しかし、サハラ以南のアフリカでは半数の子どもしか初等教育を終了することができず、また若者の就職率も低いのが現状です。

「子どもたちのための前進:青少年(10代)に関する報告書」は、前進によってもたらされる恩恵が、世界中のさまざまな地域で暮らしている約12億の青少年(国連が10〜19歳と定義した世代)の中で平等に享受されていないという問題を強調しています。「貧困、社会的立場、ジェンダー、障害といった不利な要素は、何百万もの青少年の質の高い教育、保健サービス、保護や参加といった基本的な権利の実現を妨げています」こう話すのは、ユニセフのギータ・ラオ・グプタ事務局次長です。「この包括的な報告書は、最も貧しく、最も不利な状況にある青少年たちが直面している問題への私たちの理解を深めてくれます。今こそ、彼らのニーズに応えるときです。彼らを取り残された存在にしてはいけないのです」

©UNICEF/NYHQ2007-2404/Roger LeMoyne
*写真は本文と直接関係はありません

この報告書はまた、青少年の生活や福祉から、彼らが生き抜くための闘いまで、あらゆる側面において彼らにはより確かな投資が必要であることを示しています。毎年、交通事故や出産時の合併症、自殺、エイズ、暴力やその他の原因で、140万もの青少年が死亡しています。中南米のいくつかの国では、青少年の男子の死亡原因が、交通事故や自殺より、殺人事件によるもののほうが多いくらいなのです。アフリカでは、妊娠期と出産時の合併症が15〜19歳の女の子の死亡原因の一位となっています。

病気や栄養不足が主な脅威であった乳幼児期と変わり、青少年期に入った子どもたちには、暴力のリスクが高まります。特に青少年期の女の子は、結婚によって暴力の犠牲になりやすい存在です。コンゴ共和国で実施した調査によると、15〜19歳の年齢ですでに結婚した女の子の70%が、現在もしくは過去のパートナーから暴力を受けたことがあると答えています。

多くの青少年、特に女の子は、子ども時代を楽しむことを諦めさせられ、成熟する前から大人の役割を担うよう強制されています。こうして彼女たちが学んだり成長したりする時間は限られ、健康と安全上のリスクが高まってしまうのです。この報告書は、中国を除いた開発途上国における20〜24歳の女性の3分の1以上が、18歳までに結婚もしくは性的関係を持ったとしています。さらにその約3分の1の女性は、15歳までに結婚していたと報告しています。

©UNICEF/NYHQ2005-0432/ Roger LeMoyne
*写真は本文と直接関係はありません。

青少年期の出産率は、特に中南米地域、カリブ海地域、そしてサハラ以南のアフリカで高くなっています。ニジェールでは、20〜24歳の若い女性の実に半数が18歳以前に出産しています。世界的に見ると、90%の初等教育学齢期の子どもたちが小学校に在籍しており、多くの国では中等教育のシステムも拡充されつつあります。しかし、開発途上国(特にアフリカとアジア)では、中等教育への就学率は依然として低いままであり、中等教育学齢期の多くの子どもたちは、小学校で学んでいるのです。サハラ以南アフリカは、ほかのどの地域と比較しても中等教育のさまざまな指標が低くなっています。

約7,100万人の前期中等教育学齢期の子どもたちは、学校に通っておらず、12,700万の若者(15〜24歳)は読み書きができません。彼らのほとんどは、南アジアとサハラ以南のアフリカの子どもたちです。

すべての青少年の権利を実現するため、アドボカシー、支援プログラム、政策、各方面でのさらなる努力が必要であると、報告書は述べています。青少年期は、適切な支援が行われれば貧困のサイクルを壊し、青少年だけでなくコミュニティや国家にとっての社会的・経済的・政治的な恩恵を生み出すことができる、子ども時代のなかでも非常に重要な期間なのです。

しかし同時に、報告書は、青少年自身が彼らのコミュニティにおける変革の真の主体者として受け入れられるべきであるとも指摘しています。支援プログラムも政策も、青少年を子どもとして保護する一方で、問題を解決するための創造性や革新、エネルギーといった彼らに秘められた可能性も認めたものでなければならないのです。

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