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ユニセフ協会からのお知らせ

予防可能な病気から子どもたちを守る活動を加速

【2012年6月14日 ワシントンDC発】

1990年時点で年間1,200万人以上にのぼっていた世界の5歳未満児死亡数は、2010年には年間760万人に減少しました。しかし、予防可能な病気が原因で、いまだに毎日数千人もの子どもたちが命を落としています。6月14日−15日の2日間、ユニセフは、エチオピア、インド、米国政府によるハイレベル会合“The Child Survival Call to Action”(子どもの命を守るための世界的行動を求める会議−仮訳)の開催をサポート。予防可能な子どもの病気を撲滅させるという、野心的な、しかしシンプルな最終目標に向かい、世界が結集するよう呼びかけました。今回のハイレベル会合は、政府、パートナー団体に対し、子どもの生存を守るためにさらに努力することを約束する“A Promise Renewed”(あの約束を再び)への署名を求めました。

© UNICEF/NYHQ2012-0417/Markisz
米国ワシントンD.Cで開催されたハイレベル会合“The Child Survival Call to Action”(子どもの命を守るための世界的行動を求める会議−仮訳)の開会式で話すヒラリー・クリントン米国務長官。

ヒラリー・クリントン米国務長官は、14日、ジョージ・ワシントン大学に集まった国際的な指導者たちに、子どもの死亡数を削減するための取り組みとさらなる資金援助を訴えました。

「私たち全員が、ひとつの目標を持って今日この場にいます。その目標とは、世界中全ての子どもたちが、5歳の誕生日を迎えられるようにすること、そして、予防可能な病気を撲滅させるというものです。現在、このような目標が達成可能であるなんて、誰も同意しないことでしょう。あるいは、私たちの目標設定が高すぎると思うかもしれません。しかし、私は、この目標設定を信じていますし、楽観的に考えられる十分な理由もあります。すでに、多くの手段と必要とする知識も豊富にあるのです。」(クリントン国務長官)

ユニセフのサポートで、エチオピア、インド、米国政府によって開催された今回のハイレベル会合には、公的機関、民間組織、宗教団体の首脳陣・指導者、専門家など700人が参加。5歳の誕生日を迎える前に命を落とす子どもの数を大幅に削減する方法について、綿密な話し合いが持たれました。

子どもの命を守る行動へのコミットメント

© UNICEF/NYHQ2012-0415/Markisz
ハイレベル会合“The Child Survival Call to Action”(子どもの命を守るための世界的行動を求める会議−仮訳)で話す世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長(中央)。そのほか(左から)レイ・チェインバース マラリアに関する国連事務総長特使、UKのアンドリュー・ミッチェル国際関発大臣、司会を務めたリンダ・ダクラスさん、通訳者、マリア・ダ・ルス・ゲブーザ モザンビーク大統領夫人。

過去40年の間に、新しいワクチンや保健習慣が改善されたおかげで、子どもの死亡率は、50パーセント以上改善されました。

しかしながら、未だに、予防可能な病気が原因で、毎年何百万人もの子どもたちが命を落としています。その大部分は、サハラ以南のアフリカと南アジアの子どもたちです。 “The Child Survival Call to Action(子どもの命を守る世界的行動)”は、2035年までに、全ての国で、5歳未満児死亡率を出生1000人に対して20人以下の水準に減らすため、具体的な活動を訴えています。

インドの保健家族福祉省のグラム・ナビ・アザド大臣は、1990年には非常に高かかった同国の5歳未満児死亡数が、2012年には世界の平均値とほとんど変わらなくなり、子どもの死亡数削減が確実に進展していることを報告。また、インドでポリオが根絶したことについて触れ、特に誇りに思っていると話しました。

「2010年、インド国内で製造されたワクチンを用いて8億人の子どもたちに予防接種を実施。非常に支援を届けることが難しい流行地域も含めて、99パーセント以上の予防接種率を達成しました」(アザド大臣)

また、ポリオの感染症例が1例も確認されない期間は、1年5ヵ月になりました。

エチオピアのテドロス・アダノム=ゲブレイェスス保健大臣は、中所得国の仲間入りを目指して奮闘している同国の2011年の全国人口保健調査によると、5歳未満児死亡率は、過去10年間で、出生1000人あたり166人から88人に半減。コミュニティレベルの保健活動が功を奏していると話しました。エチオピアは、2035年までに5歳未満の死亡率を(出生1000件あたり)20人よりも少ない値にすることを目標としています。

「もしこの目標を実現できれば、私たちは、過去を振り返って、すべての子どもたちに公平に対応したと言い切ることができるでしょう。また、人類史上、重要なこととして歴史に残ることになるはずです」(ゲブレイェスス保健大臣)

“あの約束”をもう一度

ハイレベル会合は、期間中、民間企業や宗教団体、各国政府に対し、子どもの命を守る各国の国家計画を推進すること、その進捗状況を確認しながら、最も脆弱な立場の国や地域により大きな注意を払う、“A Promise Renewed”(“あの約束を再び”)キャンペーンへの支持を表明するよう求め、エチオピア、インド、アメリカ合衆国の3政府は、ユニセフのアンソニー・レーク事務局長の立会いの下、その合意書に署名しました。

「私たちは、毎年、数百万人もの子どもたちの命を守れる手段、治療法、技術を持っています。それらを使わないことに対する言い訳は通用しません」「世界の子どもたちに対する新たな約束のために、私たちは、下痢性疾患や肺炎、マラリアといった子どもの死亡の原因に重点的に取り組まなければなりません。効果的で低価格な治療を受ける人の割合を拡大させ、より革新的な方法を展開し、政治的な対策に拍車をかけることで、もっとも手の届きにくい子どもたちに支援を行えるのです。子どもの死亡を防ぐという壮大な目標は、私たち共通の願いに違いありません」ユニセフのアンソニー・レーク事務局長はこう話しました。

俳優で、東部コンゴイニシアティブの設立者でもあるベン・アフレックさんは、世界で最も貧しい国のひとつであるコンゴ民主共和国のような国々では、もっとも弱い立場の人々に支援を行うことに的をしぼった計画は、子どもの命を左右する状況の改善に大きく貢献すると話しました。

「コンゴは、潜在能力を十分に持っています。コンゴの耕作可能地の90パーセントには、まだ誰の手も入っていません。ここがアフリカの穀倉地帯になれば、この未開拓の自然が、何百万人もの子どもたちの命を守ることになるかもしれません」

また、米国のデニス・マクドナウ大統領次席補佐官は、バラク・オバマ大統領は、子どもの保健問題を、倫理的かつ戦略的な課題として捉えていると語りました。

「こうした問題には、明らかに子どもの死を防ぐという内容が含まれています。そうした取り組みは、私たちの価値観に合致するだけでなく、経済成長を促し、世界の安定にもつながります。」(マクドナウ大統領次席補佐官)

民間企業の役割が話し合われた分科会では、ある医療用医薬品を製造する企業の上級副社長ゲラリン・リッター氏が、総額2億米ドルにのぼる官民パートナーシップを通じた支援を、ウガンダとルワンダでスタートすることを発表しました。

また、世界宗教者平和会議のウィリアム・ ベンドレイ事務局長は、宗教団体がサポートしている10の習慣を促進する世界キャンペーンを紹介。この習慣には、母乳育児、予防接種、有害な伝統的慣習の根絶が含まれています。ベンドレイ事務局長は、(この習慣を)世界の2億5,000万人の信奉者に届けることが目標だと話しました。すでに、202人の宗教指導者と60の団体がこのキャンペーンを支持しています。

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