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ユニセフ協会からのお知らせ

世界水週間:6億500万人の基本的人権

【2012年8月27日 スウェーデン・ストックホルム発】

今週は「世界水週間」です。過去20年間に、数十億人もの人々が改善された水源を利用できるようになりました。しかしユニセフは、こうした目覚しい進展があった一方で、この問題の解決までの道のりは簡単ではないと訴えています。

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ブルキナファソの中央プラトーで、食事の前に手を洗う双子の子どもたち。

「世界の全ての地域で、著しい進展が見られました」「しかしながら、世界中の全ての人、一人ひとりが、安全な水源から毎日十分な飲料水を利用できるようになるまで、この改善のための取り組みは終わりません。そして、残念ながら、最も難しい課題はまだ残されたままなのです」ユニセフが世界中で展開する水と衛生プログラムを統括するサンジャイ・ウィジェセケラ部長はこう話しました。

ウィジェセケラ部長は、ユニセフと世界保健機関(WHO)が今年の初めに発表した報告書「飲料水と衛生設備(トイレ)における前進2012」の統計を引用しながら、1990年から2010年の間に、20億人が水道や保護された井戸といった改善された水源を利用できるようになったと説明します。この報告書は、ミレニアム開発目標(MDGs)のターゲットの指標のひとつ「安全な飲料水を利用できない人々の割合を半減する」という目標は、目標達成期限より5年も早い2010年に達成されたものの、いまだに7億8,300万人がいまだに安全な飲料水を利用していないことを忘れてはならないと訴えています。

報告書は、また、いまだに安全な飲料水を利用していない人々は、最も支援の届き難い都市のスラムや、山奥の農村地域などに暮らす、そのほとんどが最も貧しい人々であるとも指摘しています。

ユニセフは、(そうした人々も含めた)普遍的な(安全な水源への)アクセスを実現するための最も重要なステップは、全ての地域、そして全ての社会階層に存在し、最も貧しい人々や女性が最も不利益な状況に置かれている'不公平性'を解消する取り組みであると訴えています。

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地域の井戸から組んだ水を運ぶ女の子。(チャド)

ユニセフによると、安全な水が家庭で得られない場合、女性や女の子が水汲みの役割を担わされる傾向が極めて強く、地域によっては、1日平均6キロも歩いて水を汲みに行かなければならない例も見られています。

貧しい国々は、富裕国に比べて大きな遅れを取っています。世界人口の50パーセント以上が水道を利用していますが、後発開発途上国だけを見た場合、その割合は、わずか11パーセントに過ぎません。

また、一つの国の中でも、都市と農村の間には、安全な水へのアクセスという面の格差が存在し、その状況は、ほぼ全ての国に当てはまっています。世界全体で、都市部に暮らす80パーセントの人々が水道を利用していますが、農村地域では30パーセント未満。こうした農村部と都市部の相違は、特にサハラ以南のアフリカ諸国で深刻な状況で、その差は、29ポイントにも達しています。後発開発途上国では、農村地域に暮らす100人中97人が、水道水へのアクセスがありません。

2010年、国連総会は、安全な飲料水へのアクセスを人権の一つとする(The Human Right to Water)原則を承認。人々の基本的なニーズを満たすための十分な量の飲料水が、無理なく、確実に、安全で、いつでも利用できる状態で確保されなければならないと訴えました。

ユニセフは、現状のままでは、ミレニアム開発目標達成期限の2015年になっても、約6億500万の人々の基本的人権が満たされない状態が続くと予測しています。

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