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ユニセフ協会からのお知らせ

肺炎=世界の子どもの最大の脅威
11月12日は「世界肺炎デー」

【2012年11月12日 ニューヨーク発】

© UNICEF/BANA2012-00889/Khan
バングラデシュの保健センターで、肺炎の治療を受ける1歳半の男の子。

11月12日は、「世界肺炎デー」です。今年で4回目を迎える「世界肺炎デー」の今日(11月12日)、児童肺炎に対するグローバル連合(Global Coalition Against Child Pneumonia)や国際社会で先導的な役割を担う各界リーダーたちは、5歳未満の子どもの死亡原因の第1位である肺炎に対する最大限の取り組みを訴えています。肺炎で命を落とした5歳未満の子どもの数は、2011年だけで130万人。世界の子どもの死亡のうち、約5人にひとりが肺炎で命を落としていることになります。

「肺炎は、予防可能で、治療すれば治る疾患です。しかし、あまりにも長い間、世界の子どもたちの命を奪い続けています。我々は、何をするべきか分かっています。事実、大きな前進も遂げてきました。しかし、まだまだやらなければならないことが山積みしています。既に有効であることが証明されている支援をさらに拡大させ、必要とする全ての子どもに手を差し伸べなければならないのです」潘基文国連事務総長は、こう語りました。潘事務総長は、さまざまな組織・団体からなる包括的な世界運動「Every Woman Every Child」を推進。世界中の女性と子どもたちの健康水準の改善を目指したこの運動を通じて、2015年までに1,600万人の子どもたちの命を救うために、これまでに、200億円以上の資金が確保されています。

© UNICEF/NYHQ2010-2381/Asselin
地域の保健ボランティアから、肺炎の特徴について説明を受け、子どもをよく観察するよう指導をうける親子。(マリ、2010年)

肺炎に対する予防や治療、子どもたちを守るための支援活動によって、過去10年以上の間に、子どもの死亡数は劇的に削減されました。しかし、肺炎で亡くなる子どもの99パーセントが暮らす開発途上国の多くの子どもたちは、いまだに医療施設へのアクセスがなく、治療を受けられない状態です。「児童肺炎に対するグローバル連合」は、各国のリーダーやドナーは、予防接種や抗生物質による治療の拡大、改善された衛生設備(トイレ)の設置に加え、完全母乳育児やこまめな手洗い、治療を受けられる環境の整備、屋内の煙害を減らす改善されたキッチンストーブの利用といった、既に有効であることが証明されている解決策に資金を投じることを、最優先に行わなければならないと訴えています。こうした支援の中には、子どもの死因の第2位である下痢性疾患の削減に繋がるものもあります。

肺炎の治療法として、アモキシシリンのような抗生物質による治療は、もっともシンプルで安価な治療法のひとつです。しかし、実際に抗生物質の投与を受けているのは、肺炎を疑われる子どもの3分の1にも及びません。少量のアモキシシリンを水か母乳に溶かして与えるという幼い子どもにとって理想的な治療法を受けることが出来ているのは、非常に少数なのです。女性や子どもの命を左右する様々な物資に関する問題を討議する国連の委員会(UN Commission on Life-saving Commodities for Women and Children)も、最も命の危険にさらされている子どもたちに、水溶性の錠剤にしたアモキシシリンが(より広く)活用されるようになれば、今後5年以上の間に、156万人の子どもたちの命を救うことが可能としています。

本日、ジョンズ・ホプキンス大学の国際ワクチンアクセスセンター(IVAC)が発表した報告書「肺炎問題への取り組みの進展(仮)」(Pneumonia Progress Report)によると、世界の子どもの肺炎による死亡の75パーセントは、わずか15ヵ国で発生。的を絞った支援により、劇的な改善が可能であると指摘しています。また、報告書は、これらの国々で、「肺炎の予防・抑制のための国際行動計画(GAPP)」で示された肺炎に関する目標の90パーセントをカバーしている国は、一ヵ国もないと示しています。

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研修を受けた保健員の支援を受けて、肺炎から回復した生後1歳3ヵ月の男の子。(バングラデシュ、2012年)

GAPPは、2009年にユニセフと世界保健機関(WHO)が共同で発表。子どもの保健に関する主要な3つの支援—母乳育児、予防接種、適切な抗生物質の提供を含む感染した子どもへの支援・管理を実行すれば、子どもの肺炎による死亡を3分の2削減できるとしたもので、これまでに、世界の子どもの90パーセントを網羅できる規模に、その支援は拡大されてきました。例えば、GAVIアライアンスは、過去3年以上にわたり、子どもの肺炎の最大原因を予防するため、20ヵ国以上に肺炎球菌結合ワクチンを提供。こうした進展が見られる一方、IVACの報告書が指摘した15ヵ国中、予防接種の普及率が80パーセントを超えていたのは、わずか7ヵ国に過ぎません。また、これらの殆どの国では、母乳育児や抗生物質の普及率も同様に低い割合です。

最も支援を必要としている子どもたちが予防接種や治療を受けるためには、多くの子どもたちにとって最初の、そしてほとんどの場合、唯一の医療サービスを提供する立場に居る、最前線の保健スタッフが鍵を握っています。しかしながら、世界保健機関(WHO)の推定では、現在、そうした最前線では、少なくとも100万人の保健スタッフが不足。特に、アフリカやアジアの一部では、深刻な状態です。

「世界肺炎デー」を記念したイベントは、今年、アルジェリア、ブルキナファソ、カメルーン、コートジボアール、ハイチ、インド、ナイジェリア、フィリピン、米国、ザンビアはじめ、世界数十ヵ国で行われる予定です。米国では、子どもの肺炎の問題について市民一人ひとりができることを訴えるため、シカゴ、ニューヨーク、シアトルを含む全米15都市の象徴的な建物が、青い光でライトアップされる予定です。

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