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ユニセフ協会からのお知らせ

ユニセフ・シアター
ドキュメンタリー『いおりといぶき〜私たちが生まれた意味〜』
上映会 ・ トークショーを開催しました

【2013年8月24日 東京発】

© 日本ユニセフ協会/G.Bando
登壇してくださった小長谷和美さん、小長谷唯織さん、橋本真理子さん(左から)

日本ユニセフ協会は『世界子供白書2013』日本語版完成を記念して、アジア・太平洋「2011年子どもの権利賞」受賞作品『いおりといぶき〜私たちが生まれた意味〜』特別上映会を開催いたしました。本作は障がいのある姉弟の10年間の心の記録をつづったドキュメンタリー番組で、私たちに命の大切さを教えてくれます。

すべての人が平等に受け入れられる社会を

上映会に先立ち、『世界子供白書2013-障がいのある子どもたち』の案内をさせていただきました。障がいのある子どもたちは社会サービスや教育の場から見過ごされ、受けられるべきサービスを受けられない、また、より暴力にあいやすい、搾取される危険が高まるなど、子どもの権利条約で保障されるべき「生きる権利、守られる権利、育つ権利、参加する権利」が徹底されていない状況があります。『世界子供白書2013』では障がいのある子どものみならず、すべての子どもたちが恩恵を受けられる社会づくりのために「すべての人が平等に受け入れられる格差のない社会=インクルーシブな社会」を提言しています。

今のままでいいから、のんびりいこうね

© 日本ユニセフ協会/G.Bando
「息吹が弟でよかった。息吹の存在に救われ、勇気付けられた」と、息吹君について語ってくれた唯織さん。

上映会の後には、番組ディレクターの橋本真理子さん、主人公の小長谷唯織さん、そしてお母さんである小長谷和美さんに登壇いただき、トークショーを行いました。近況を聞かれた唯織さんは「現在は埼玉県であん摩治療やはり師の国家資格の勉強をしています。勉強は難しいけど、自分で決めた道なので、前を向いて、負けないようにがんばります。」と話してくださいました。息吹くんの近況についてはお母さんから、ドキュメンタリー後にもう一度手術を受けたこと、肺炎を患い、気管切開をするか、声を残すかの難しい選択を迫られたことなどのお話がありました。お母さんは「この子がこの子らしく生きてほしい、と思って声を残し、気管切開はお断りしました。今は、名前の通り“息を吹き返す”息吹となって、私たちに元気を与えてくれています」と、当時の心境を踏まえて報告してくださいました。上映会では、2013年に行われた息吹くんの成人式の様子を映像で紹介。会場は温かい笑顔に包まれました。お母さんが息吹くんに「今までも、本当にたくさんがんばってきたから、がんばって、とはもう言えない。今のままでいいから、のんびり行こうね」と話しかける姿には、ただただ、一緒にいるこの瞬間を大切にする、生きていること、生かされていることに感謝することの大切さを、そっと私たちに教えてくれました。

障がいのある子どもたちは、誰にでも訪れる体の不調が少し早く来ただけ

© 日本ユニセフ協会/G.Bando
当日は多くの方にご来協いただきまいた。ありがとうございました。

番組ディレクターの橋本さんは、このドキュメンタリーを通じて「命の大切さ」を何よりも伝えたかった、と言います。「障がいのあることがかわいそう、というイメージを先行させてしまったり、取材に行くと、顔を映すことができなかったりといった現状を変えたかった」と、当時の思いを教えてくださいました。橋本さんは「唯織ちゃんは、本当に感性が豊か。ピアノだって上手だし、物語をつくる想像力もすごい。私にはないものをたくさん持っている」と語り、唯織さんと橋本さんの絆の深さをうかがわせました。

橋本さんは「障がいのある子どもたちにやさしい環境を整えることは、自分たちにとっても生きやすい社会をつくること。人間は誰でも歳をとれば不自由な思いをしたり、障がいを持ったりする。障がいのある子どもたちは、たまたま人より少し早く、その症状がでただけ。彼らにとってよりよい社会とは、自分たちにも恩恵が受けられる社会のことだと思う」と述べられました。

『いおりといぶき』が私たちに届けてくれた愛情と絆

© 写真提供:テレビ静岡
「いぶちゃん」「ねえちゃん」と呼び合うことで、お互いの存在を確かめ合う唯織さんと息吹さん。二人の絆の強さを感じさせます。

会場からは「将来どんな風になりたいか」「唯織さんにとって息吹くんとはどんな存在か」「その芯の強さはどこから来るのか」など、唯織さんへ多くの質問が向けられました。「息吹がいたから、私は今、生きていられるし、命の大切さも教えてもらえた」と笑顔で語る唯織さん。唯織さんにとって大切にしていることは「笑顔を絶やさないこと」だといいます。将来のビジョンを聞かれたときには「早く国家資格をとって結婚し、子どもを産んで開業したい!」と頬をほころばせ、20代の女性の等身大の姿も覗かせてくれました。

上映会に参加くださった皆さまからは「自分の障がいを受け入れ、色々と葛藤はあると思いますが、できることとできないことを認め、表現できる。たくましく、お母さんも含め好きになりました」「障がい者についての苦労や力強さを知り、とても勇気をもらいました」「まだまだ障がいのある方に対しての視線がノーマライゼーションに叶っていない部分がある気がします」「家族のお互いが思いやり、感謝の気持ちがあって「絆」の強さを感じました」など、唯織さんや息吹くん、そして彼らを見守る家族やテレビ静岡の皆さまの間にしっかりと流れている愛情や信頼、絆に感銘を受けた声が多く寄せられました。

今回のユニセフ・シアターが皆さまにとって新しい世界の扉を開くきっかけになれば幸いです。多くの皆様のご参加、ありがとうございました。

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今後も日本ユニセフ協会ではイベントを開催予定です。詳細は随時ホームページ・Facebook等でお知らせいたします。

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